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Microsoft のクラウド経済学

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Microsoft の Rolf Harms,Michael Yamartino 両氏は先々週,クラウドの経済学 (The Echnomics of the Cloud) と題する白書を公開した。その中で氏らは,クライアント/サーバからAmazon AWS や Microsoft Azure に代表されるパブリッククラウドへの,IT 界の急激なシフトを予告する。同社では以前 .NET に関連して,1800 年代前半の標準化以前の鉄道業界を例に引いたことがあった。その時と同じように,今回はクラウドコンピューティングを,初期の自動車 (Horseless Carrage,馬のない馬車) と比較するアナロジから議論が始められている。

昨年のアナロジと違うのは,今回の資料の対象が IT 意思決定者と経営者である点だ。この白書は,Azure や Office 365,Windows Live などのテクノロジに Microsoft が行う投資について,その背景にある動機への重要な洞察を提供している。従来の「ソフトウェア + サービス」というテーマから現行のビジネスモデルを転換しようという意図もそのひとつだ。Microsoft は昨年,これまで .NET とサーバテクノロジに注力していた Developer and Platform Evangelism ビジネスグループを Azure に特化させて,世界中の開発者と独立ソフトウェアベンダへのメッセージ伝道を行う組織にする,という事業再編を実施している。

クラウドの経済学に関する今回の資料で両氏は,規模がもたらす重要な経済性としての3分野をあげている。

供給側における経済性 – 大規模データセンタによるサーバ当たりコストの削減

  1. 電力コスト
  2. インフラストラクチャに関わる人件費
  3. セキュリティと信頼性
  4. 購買力

需要側の集団化 – コンピューティング需要の集合化による使用率向上と変動低減

  1. 不確定性
  2. 時間推移パターン
  3. 業界特有の変動性
  4. マルチリソース変動性
  5. 不確実な成長パターン

マルチテナントの効率性 – テナント単価低減とアプリケーション管理

  1. アプリケーション作業量の固定化
  2. サーバー使用コンポーネントの固定化

白書は報告内容としては十分とは言えない。なぜなら PaaS ないし SaaS モデルに関するソリューション提供における Microsoft の戦略を示すのみで,その他のクラウドテクノロジやベンダについて何も言及されていないからだ。従って紹介されているパートナー支援情報も,同社の成熟度モデルに従ったアプリケーションあるいはデータレベルにのみ適用可能,ということになる。

Tim Negris 氏はこれを次のように解釈する。

どうやら Microsoft の最終目標は,Azure PaaS に加えて Office や Bing,Windows Live SaaS,さらにはマルチテナントサービスに再構成されたパートナーのアプリケーションによって,世界最大のパブリッククラウドになることのようです。

クラウドコンピューティングの聖地はこれからも,より効果的で柔軟性が高く,導入効果に優れた情報管理機能を与え給うだろう。さらにエンタープライズソフトウェア機能が,日用品レベルの価格で提供されるようになる。レドモンドのお告げは明快だ。すなわち,パブリッククラウドは長期にわたる賭けであり,Microsoft がその勝者だである,というものだ。

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