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Release Cadence Report - アジャイルに関する調査のローンチ

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原文(投稿日:2013/03/28)へのリンク

 

Ryan Cromwell 氏が Release Cadence Report Survey をリリースした。ソフトウェアをリリースする速さはチームが監視,報告すべきもっとも重要な指標のひとつであるという前提に基づいて,チームの活動を5つの領域から評価する調査のローンチである。調査は2013年5月24日まで継続され,その後コミュニティに対して結果が公開される予定だ。

調査の内容とそれをローンチした意図について,氏はInfoQに話してくれた。

InfoQ: 簡単な自己紹介と,今回の調査についての説明をお願いします。

私はこの12年間,垂直市場(vertical market)で幅広くソフトウェア開発に携わってきました。エキサイティングな成功プロジェクトも,失敗して当然のようなプロジェクトも経験しています。そして3年前,プロジェクトをもっと恒常的に成功させるのに必要な理論と原則を追求しようと決心したのです。その後MicrosoftのALM MVPとしてScrum.orgのコミュニティに参加する機会があり,それ以降はScrum創設者のひとりであるKen Schwaber氏から学ぶことに時間を費やしています。氏はScrum.orgでProfessional Scrum FoundationとProfessional Scrum Developerトレーニングを担当するとともに,アジャイルの適用を通じて多くのチームや組織のメンタも務めています。ここ1年は Applied Information Sciences で製品開発の現場に戻っています。そこでは家族の成長を近くで見守りながら,世界中の素晴らしく優秀な人たちとともに,私がこれまで学んだことから収入を得ることができています。

作業の過程で会社のサポートを受けてはいますが,Release Cadence Report自体は私が個人的に行っているものです。アジャイルに関する最近の報道や論評に関する ちょっとしたツィート がきっかけでした。業界にとってアジャイルが望ましいものかどうかを議論する段階はとっくに過ぎていると思います。今の私たちに必要なのは,その原則を効果的に利用するためのツールなのです。この調査と結果の公開が,"進捗の最重要指標としての動作するソフトウェア" に関するアジャイルの議論に,改めてコミュニティの注目が集まる機会になればと思います。

InfoQ: 今回の調査を実施した理由について聞かせてください。確認したい問題,あるいは課題は何でしょう?

私はこれまでの数年間,多くの組織でアジャイル達成を指導する,という機会に恵まれてきました。最初のうちは大抵うまくいくものです。コラボレーションと透過性が新たなレベルに達したことに感動し,大いにモチベーションがわいてきます。それまでに体得した情報のおかげで,品質のよいソフトウェアがどんどん作り出されていきます。そうなると多くの場合,次のような疑問に対する葛藤が生じてくるものです – もう出荷してもよいだろうか,と。

この疑問に答えるには,単に機能が揃ったというだけでは足りません。リリースではアーキテクチャの選択やユーザエクスペリエンス,機能の選択,操作性,そしてそれまでに立てられた無数の仮定が検証されるのです。Daniel Pink氏が著書 Drive で立てたように,製品がエンドユーザの手に渡って初めて成立するような条件も存在します。

 

Mary Poppendieck氏が指摘しているように,リリース間のインターバルの違いが開発組織を大きく差別化するようになってから,それほど長くは経っていません。リリースの頻度に関しては私自身も,この業界にも興味深い事例がたくさんあります。そのような議論に実証的データを提供しようというのがRelease Cadence Reportなのです。

InfoQ: Release Cadence Report という名前を付けたのはなぜですか?

Cadence (足並み,掛け声) という言葉は,PoppendiecksDiana Larsen,James Shore といったリーンあるいはアジャイルの識者たち数人が,新しいソフトウェアのリリースのリズムを説明するために使ったものです。今回の調査に関する計画を作り上げた頃,私はBrian Harry氏の記事を読み返しました。Microsoft Visual Studio と Team Foundation Server の出荷 に関するその記事には,3週間周期のリリースに関する言及があったのです。これはまさに,私が注目を呼びかけたかった話題でもありました。最終的には今回の調査によって Release Cadence という用語あるいは概念が,TDDやユーザストーリなどと同じように,アジャイルに関する議論で自然に用いられるものになればと思っています。

InfoQ: 質問で重視している点は何でしょう,どのような分野を調査したいと思っていますか?

最も重要な問いのひとつは,ユーザに対してソフトウェアをリリースする頻度に関するものです。それは間違いありません。その情報に関連して,注目している領域が5つあります。

  • 市場の将来性
  • 従業員満足度
  • 組織構成
  • 方法論とフレームワーク
  • パターン,プラクティス,テクニック

今回の調査結果は,リリースのリズム(cadence)というスケールで見たソフトウェア業界の様相について,明確なイメージを作り上げるのに役立つものと考えています。それと同時に,どのようなプラクティスが効果的に用いられているかを明確にすることで,他での成功例について十分な情報を得た上で判断できるようになれば,とも思っています。

InfoQ: 調査はいつ完了する予定ですか?

調査期間は2013年5月24日で終了を予定しています。その後に調査結果を解析して,無償のコミュニティレポートを用意するまでに数ヶ月は必要でしょう。2013年の初秋にはRelease Cadence Reportを公開したいと思っています。調査に参加して頂いた方,問合せを頂いた方については,そのお礼として公表資料の早期コピーをお送りします。

InfoQ: 調査結果の速報,あるいはこれまでの結果から見えるトレンドのようなものはありますか?

今回の調査については,私たちもとても興味を持って見ています。これまでの結果はかなり広範囲にわたっていますが,今のところお伝えできるような傾向は見えていません。調査結果を参加者の本当のエクスペリエンスとして発表したいので,不完全な結果を公表して影響を与えないようにしたいと思っています。

InfoQ: 調査結果はいつ,どこで発表されるのでしょう?

調査に参加して頂いた方には,レポートの早期版をEメールでお送りします。時間を頂いたことと,コミュニティへの貢献の意思に感謝したいと思います。早期版の期間が終わったら,コミュニティの他の方々には http://releasecadencereport.com から2013 Release Cadence Report をダウンロードして頂けます。

InfoQ: 他の分析を行うために,調査の元データを入手することは可能でしょうか?

調査回答の一定レベルを参照するパートナに対しては,より詳細な調査データを公開する予定です。詳しい内容は http://releasecadencereport.com/partnerships/ を読んで,署名をして頂ければと思います。ただしEメールや,ドメインのような個人を識別する情報を提供することは決してありません。この点は明確にしておきたいと思います。この条件はすべてのパートナに適応されます。

2014 Release Cadence Report のデータに関しては,Creative Commons ライセンス下で公開する方向で現在検討を行っているところです。2013年については,無償のコミュニティレポート公開だけになると思います。


こちら をクリックすれば調査に参加できる。

調査結果が発表されたら,InfoQの記事に注目してほしい。

 

 

Shane Hastie 氏はアジャイルコーチ,トレーナ,コンサルタンとして,オーストラリアおよびニュージーランドのソフトウェア教育に携わっている。

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