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企業ナレッジ用チャットボットObie - 開発者とのQ&A

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原文(投稿日:2017/06/26)へのリンク

Tasyttは先頃、企業ナレッジ用のSlackチャットボットとしてObieをローンチした。“当社のコンピュータポリシは何ですか?”というように、“何を(what)”、“どのように(how)”、“どこで(where)”という質問が可能だ。Obieはドキュメントから答を見つけ出すが、あるいはあなたに答を尋ねて、次に他の誰かが同じ質問をした時にそれを答とする。

ObieはGoogle DocsやConfluence、Google sites、Evernote、Dropboxといった、既存のサービスとも統合することができる。つまり、既存のナレッジへのアクセスをObieに与えれば、Obieのトレーニングを最初から始める必要がなく、トレーニング時間が短くて済む。

創業者でCEOのChris Buttenham氏に、Obieについていくつか質問した。

InfoQ: 私たちのSlackでObieを少し試してみたのですが、既存の会話を分析していないように思えました。これは将来のバージョンで追加される機能なのでしょうか?

Christ Buttenham: その質問をしたのは、多分あなたが始めてではないと思います!SlackにすでにあるコンテンツがObieの開始地点だと考えるのが自然かも知れませんが、実際には、ほとんどの会話は構造化されておらず、チームの知識を組織化するためには役に立たないのです。SlackにあるコンテンツをObieから参照可能なものとして追加することはもちろん検討していますが、組織内のさまざまな組織に分散しているリッチなコンテンツを活用する方が手っ取り早いと思っています。

InfoQ: 今のところObieは、自分自身で作ったナレッジベースしか読めないということですが、AlexaやSiriのように、外部のインテリジェンスを追加可能にする計画はありますか?

Buttenham: 私たちは“内部”のナレッジという概念を強く意識しています。どの方向に向かっていくのかは分かりませんが、内部的に何かを学ぶための最もインテリジェントなソリューションになる、というのが私たちのビジョンです。つまり、私たちの関心の先は単に企業のナレッジだけではない、ということです –  どのようなチームでも、あるいは家庭でも、個人でも構いません。あなたの知っている人と、暗黙のうちに何かを共有したいと思うならば、あなた個人のObieに質問する – 私たちはそんな姿を思い描いているのです。

InfoQ: 同じ質問をさまざまな方法で、何度も繰り返し尋ねられることはよくありますが、Obieは質問の意図をどうやって認識するのでしょう?

Buttenham: サードパーティ製と自社のNLP(自然言語処理)技術を併用して、意図やコンテキスト、キーワードなどのメタデータをObie経由で収集しています。このために、さまざまなサービスでフォールバック機構も使用しています。

InfoQ: 自然言語処理は最近のホットな話題ですが、Obieでは内部的にどのようなテクニックを使っているのか、簡単に教えて頂けますか?

Buttenham: 最適な結果が得られるように、テクニックを組み合わせて使用しています。これらのテクニックはスコアリングパイプラインに関わっています。パイプラインの各知識エンティティには、多数の属性とメタデータをベースとしたスコアが割り当てられています。正確性を高めるため、Obieでは、結果に対するユーザの行動に基づいた学習を継続的に行ないます。抽象的なレベルでのドキュメントの分類にはエンティティ分類(Entity classification)を使用しています。また、代替結果が取り込まれることを保証するためには、キーワード抽出が単語ベクトルと組み合わせて使用されます。大規模な知識ベースのパフォーマンスを向上するための結果の前処理には、Luceneのようなスコアリングメカニズムを併用しています。

InfoQ: ObieはDropboxやOnedriveやAtlassians Confluenceのような、既存の“知識ベース”との統合も可能であるということですが、そのような場所に企業として非常に重要な機密情報が保持されている場合でも、Obisでこのデータを分析することは認められるものでしょうか?

Buttenham: もちろんです。そのような質問はたくさん受け取っています。私たちはセキュリティとプライバシを重視しています – 認証されたサーバのみが情報にアクセス可能なように、厳格なアクセス管理ポリシを適用しています。統合対象の情報が私たちのサーバに保管されることはありませんし、ダッシュボード/CMS内で作成されるすべてのコンテンツを暗号化するオプションも用意しています。暗号化キーはセキュアなインフラストラクチャ上で安全に処理され、頻繁にローテーションされます。

InfoQ: Slackを使用せずに、HipChatや、もっと古いEメールに依存しているチームがまだたくさんあります。他のチャットクライアントへの対応について考えていることはありますか?

Buttenham: Slack以外のマーケットが存在するのは間違いありません。ですが、小規模なチームにあまり無理な提案はできないので、私たちにとって理想的な顧客セグメントを対象とした事例が急速に充実しているSlackは、Obieにとって最高の出発点になっているのです。近い将来にObieをMicrosoft Teamsに導入するために、message.ioやMicrosoftと提携しました。これが実現すれば、HipChatやSkype、Cisco Spark等への移植が簡単にできるようになります。いつの日か、どこにいても会話が楽しめるようなObieを作り上げたいと思います – SMSからでも!

InfoQ: このようなボットの開発を考えたのはなぜですか?

Buttenham: きっかけは、まったくの思い違いなのです!私と起業仲間たちは、かつて在籍した会社でこの問題を始めて経験し、それを解決するためのアプリを開発することにしました。初めてすぐに、他のツールは必要ないということに気付いたのです!ボットの興隆と会話型インターフェースから、私たちの製品をObie – チャットボットにするというアイデアが閃きました。

InfoQ: 他のチャットボットは既存のワークフロープロセスを妨げている、という話がありましたが、具体的な事例はあるのでしょうか。また、Obileが優れているのはなぜでしょう。

Buttenham: 今の質問に対する私の理解が正しければ、ボットに関する一般的な誤解のひとつに、それがすべてを包含するソリューションである、という考え方があります。私たちの製品は技術、ユーザエクスペリエンス、ブランドという点で競合他社より優れていますが、競合対象ではないボットもたくさんあります。例えばGrowbot(growbot.io)は、チームが勝利を祝福し、“称賛”や“敬意”を促進するためのボットです。ボットが問題を特定したソリューションになる余地は十分にある、と私たちは考えています。ですから、ひとつの問題の解決に焦点を絞ることが可能なのです。ボットを取り巻く今の興隆は、かつての“アプリ”時代に準えられるでしょう。

InfoQ: あなた以外の開発者が、同じようなSlack統合サービスを開始したいと考えたとしたならば、始める前に知っておきたいことはありますか?

Buttenham: 高度なボットを開発しようとすれば、業界と一緒に成長の痛みを味わうという、まったく新しい体験ができるでしょう。Webやモバイルアプリはすでに確立していて、標準が定められていますが、Obieのようなボットはまったく新しいものなので、ソフトウェアとのインタラクションも新たな方法で行います。最初からうまく行くことはまずないでしょうから、新しいAPI機能やトレンドを取り上げたブログ、新たに登場した開発ツールなどは常に把握するようにしてください。

ボットの見た目のシンプルさに騙されてはいけません – 入力だけのWebページと同じようなものです。大量のインプットの処理には常に困難を伴いますし、ユーザは期待した操作をしてくれないものなのです。例えば、クリックしてほしくないボタンを無効にすることはできません。優れたユーザエクスペリエンスを保証するためには、すべての入力を美しく処理できなくてはならないのです。

 
 

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