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InfoQがBPEL4PEOPLEの代表と対談

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BPEL4PeopleとWS-HumanTaskが標準化団体に向かって進んでいることが始めて発表される(参考記事・英語)前から(リンク)、多くの関心事(参考記事)がBPMの標準(リンク)を提供する新しい試み(リンク)の周辺にありました(リンク)。BPEL(通称、WS-BPEL)は、ワークフローのコミュニティを分裂させ続けたので(参考記事・英語)、BPEL4Peopleも同じ運命をたどるのではないでしょうか? 技術委員会が始めて対面での会議を行ったので(リンク)、InfoQではその作業に携わる何人かと対談する機会を得ました。

Manoj Dasは、オラクルのBPM製品管理の責任者です。彼がフォーカスしていたのは、BPMN、BPEL、ワークフロー、ビジネスルールです。Manoj氏は、Siebelが買収されてからオラクルに加わりました。Siebelでは、次世代のプロセス中心のアプリケーションプラットフォームを扱っていました。

Dave Ingsは、IBMのソフトウェア標準化グループのプログラムディレクターです。スカッシュのゲームをしながら、彼の情熱はビジネスプロセスマネジメントとSOA標準にあります。彼は、現在OASIS でBPEL4Peopleの技術委員会の議長を努めています。

Ivana Trickovicは、SAPの業界標準グループの標準化のアーキテクトです。彼女の仕事は、ビジネスプロセスマネジメントとWebサービスの領域に関して、技術標準にフォーカスしています。Ivanaは、SAPからOASIS WS-BPEL TCとOASIS BPEL4People TCを含むいくつかの標準でSAPの代表に選ばれました。彼女は、BPEL4People仕様とWS-HumanTask仕様の共著者です。

Q: 知らない人のために、BPELの簡単な概要を教えて頂けませんか?

(IBM, Dave Ings)OASISのWS-BPEL標準は、プロセスとそのパートナーの間のステートフルで長期のインタラクションをベースとした、ビジネスプロセスの振舞いを記述するためのモデルを提供します。もう少し具体的な表現をすると、SOA環境でビジネスプロセスのコンポーネントを表現しているWebサービスの集まりがあるならば、BPELは完成したビジネスプロセスとして一緒にサービスを構成する方法を提供します。

(Oracle, Manoj Das)Webサービスビジネスプロセス実行言語(WS-BPEL)は、一般にBPELと呼ばれ、広く採用されているプロセスオーケストレーションの標準を提供しています。それは、今日、多くのベンダーによってサポートされ、エンドツーエンドのビジネスプロセスとコンポジットアプリケーションとサービス、システム、人々とのオーケストレーションのためのビジネスプロセスを定義するために利用されています。

高レベルでは、BPELは実行可能なビジネスプロセスを記述するためにアクティビティの豊富なセットを提供するXML言語です。プロセスとアクティビティは、同期または非同期があり、短命であるか長時間にわたります。つまり、BPELは高度な言葉遣いをプロセスフロー、システムインタラクション、データ操作、例外処理、補償ルール、などを定義するための洗練された言語を提供します。

(SAP, Ivana Trickovic) BPELが必要とされるプロセス機能を導入するように、BPELは企業サービス指向アーキテクチャの重要な素材です。それは、主に自動化され、再使用可能な(Web)サービスから成る種のプロセスのために設計されたXMLベースの言語です。

Q: BPEL4Peopleを簡単に説明して頂けますか?

(IBM, Dave Ings) 「BPEL4People」は、「WS-BPEL Extension for People」と「WS-HumanTask」の2つを補足する仕様です。これらの仕様は共に、ビジネスプロセスで人がおこなう活動(「ヒューマンタスク」)を統合しサポートするためのWS-BPEL 2.0を拡張しています。

(Oracle, Manoj Das) BPEL4Peopleは、BPELでヒューマンインタラクションを解決するためのBPEL拡張の標準として第一級のものとして提案されています。現実世界のビジネスプロセスの多くは、通知だけでなく、承認、例外の管理、その他のマニュアル作業を目的としたヒューマンインタラクションがあります。BPEL4Peopleの仕様は、BPELでヒューマンアクティビティの仕様を可能とするために、新たに人々の活動や関連する考えをBPELに追加しています。具体的には、実行するために必要な作業は何か、その作業を誰がおこなうべきか、誰がステークホルダーなのか、いつ実行されるべきなのか、時間通りに実行されなかった場合はどうするのかといったことです。

(SAP, Ivana Trickovic氏) BPEL4Peopleは、よりダイレクトな方法でヒューマンインタラクションをサポートするためのBPEL機能を拡張するための提案です。それは以下の 2つの側面を持っています。それは、サービスが利用可能なヒューマンタスクの定義と、BPELプロセスの中のヒューマンタスクの統合です。

Q: 何故BPEL4Peopleが必要なのですか? 単純にBPELを使えば良いのではないでしょうか?

(IBM, Dave Ings) WS-BPELは、主にWebサービスベースの実行可能なプロセス定義に関係があります。BPEL4Peopleの主要目的は、BPELプロセスの一部として人間のユーザーインタラクションをサポートするためにBPELを拡張することでした。

(Oracle, Manoj Das) 先に述べたように、BPEL4PeopleはBPEL上で階層化された拡張です。BPELは、人々のインタラクションのオーケストレーションに必要なすべてのメカニズムを提供するので、人のアクティビティとシステムのアクティビティを区別しません。私たちが知るべきことは、人のアクティビティには多くの特定の特性があるということで、それは先に述べたとおりです。これらのことがBPELで扱われている間は、それはより複雑なものとなるでしょう。多くの点で、Cでオブジェクト指向プログラミングをしようとしていることと似ています。

強力で直観的な方法で人々のインタラクションの重要な側面について対処することによって、BPEL4PeopleはBPELがBPMに対する共通語となる道を開きます。

(SAP, Ivana Trickovic) 一般的に、ビジネスプロセスには人間の関与が必要です。例えば、ある規則に従うためには、4つの目の原則(重要事項は複数の人間でチェックする)を実行することが必要です。これらの種類のビジネスプロセスに対して、WS-BPELとは異なるヒューマンインタラクションのより直接な統合が必要とされます。 BPEL4Peopleは、まさにそれらを解決するものです。

Q: あなたの企業がBPEL4Peopleに関心を持っているのは何故ですか?

(IBM, Dave Ings) ビジネスプロセスは、しばしばヒューマンタスク(例えば、マネージャーによる注文書の承認)を伴います。多くのビジネスプロセスとワークフロー製品は、ヒューマンタスクのシナリオをサポートしていますが、独自の手法ではありません。ヒューマンタスクを統合するための標準のアプローチによって、インターオペラビリティとポータビリティに対する顧客の重要な要求が解決されます。

(Oracle, Manoj Das) 私たちの顧客の多くは、現在、弊社のBPEL製品でサポートされているピープルアクティビティを活用しています。顧客によって、これらの機能の利用が広がるにつれ、これらの標準化は、ポータビリティやインターオペラビリティだけでなく、選択の幅を増やしコストダウンを可能とすることに関心があります。標準化は、教育コストを減らしスキルのあるリソースの入手可能性が高まります。

(SAP, Ivana Trickovic) SAPは、BPEL4WS 1.1仕様の共同作成者の一人で、BPEL技術の早期導入者であり、OASISのWS-BPEL TCで重要な役割を担っています。SAPは、顧客の重要な要求に対処できるように、BPEL4Peopleの標準化に新規参入しました。例えば、重要な要求の一つとして、別のところからプロセス基盤と共にあるベンダーのタスク基盤を利用できるようにするインターオペラビリティや、サードパーティのタスクリストクライアントがあります。

Q: あなたがBPEL4Peopleの重要な側面を挙げるとしたら、それは何でしょう?

(IBM, Dave Ings) 技術的観点では、それがヒューマンタスクをサポートするためのBPEL 2.0の拡張であるということです。業界的な観点では、主要なBPMベンダーが、標準化することで業界全体に利益をもたらす仕様を共にしっかりと作成し寄贈したという事実です。

(Oracle, Manoj Das) タイムアウトとエスカレーション(技術的には、WS-HumanTaskの一部です)の扱いです。ヒューマンインタラクションのオーケストレーションのメリットの一つは、それらをアドホックにするのとは対照に、タスクがSLAと他の目的に従って実行されるということを確かなものとし、望ましいゴールによって達成されていないタスクのリスクがある場合に補正措置をとることです。タイムアウトとエスカレーションのメカニズムによて、複数のタイマーが開始や終了の時点でタスクと関連を持ち、通知とエスカレーションのアクションが(条件付で)タイムアウトを関連を持つことを可能とします。初めの質問に戻ると、これは場合によってはBPELでおこなわれることができるであろう何かのすばらしい例です。しかし、非常に困難である思われます。

(SAP, Ivana Trickovic氏) サービスインタラクションとヒューマンインタラクションに関する統一見解は、強調されなければならないものです。それは、ヒューマンタスクの呼び出しが、サービス呼び出しとして同じように見なされるということを意味します。具体的には、例えば、プロセスとヒューマンタスクの協調は、BPELプロセスではっきりとモデル化される必要はありません。その代わり、協調プロトコルは、プロセスとタスクの基盤の一部として下層で実装されます。これは、多くのビジネスプロセスモデリングを単純化します。

Q:WS-HumanTaskに何が起きたのですか?

(IBM, Dave Ings) それは、決して無くなっていません!砕けて言うなら、「BPEL4People」が両方の仕様を参照していて、実際に名前のついたBPEL4Peopleだけではないのです。

(Oracle, Manoj Das) BPEL4Peopleが人々のプロセスのインタラクションを扱っているので、WS-Human Task はタスクのプレゼンテーションとパフォーマンスを扱います。それは仕様の一部であり、デッドライン、通知、エスカレーションに関連があるだけでなく、タスクがどのように割り当てられ、公開され、翻訳されるかを詳述しています。

(SAP, Ivana Trickovic) それは、BPEL4People標準化活動の一部です。ヒューマンタスクがBPELプロセス無しで利用されるシナリオの多くに対処するものとして、それは重要な部分です。

Q: 今までBPMが波乱に富んだ歴史を経てきたということは、公正であると言えます。あるアナリストはそれに対して大きな声をあげる一方、そうしない人たちもいます。これらの議論に対し、BPEL4Peopleが助けとなると思いますか?

(IBM, Dave Ings) BPMは、多くの新生技術に対して典型的な経路をたどっています。つまり、新しい技術の全てが一夜の成功ではないということです。しかし、一部のアナリストが、ヒューマンタスクをきちんとサポートしていないBPELに対して批判的なことをいうのは公平であるといえます。この重要な要求に対処することによって、BPEL4PeopleはBPELベースのソリューションを主流におく助けとなるでしょう。

(Oracle, Manoj Das) 市場は標準化によって利益を享受します。特にBPMの市場において、それはかなり断片的なものです。モニターして積極的に補正措置を取るために、エンドツーエンドのプロセスの可視性と能力を持つことの利点は明らかです。問題があるのは、リスクとコストが含まれていることです。BPELや BPEL4People、関連のある標準は、選択の幅を増やし、コストを下げ、リスクを制限し、BPMがメインストリームに進む手助けとなります。

(SAP, Ivana Trickovic) BPMアナリストとして最も尊敬を集めている人の一人であるBruce Silverのブログで、彼はこう書いています。「BPMSの世界は、BPELを愛する人とBPELを嫌う人に分かれます。そして、BPELを嫌う人が最も嫌うのは、ヒューマンタスクを"排除する"OASIS標準です」したがって、私は、BPEL4People がこれを解決してくれるものとして非常に関心をもっています。

Q: BPEL4Peopleに至るまでに何故これほど時間がかかったのでしょうか(2003年にBPELが登場したのがその例です)?

(IBM, Dave Ings) 作成者たちは、BPEL 2.0がBPEL4Peopleを仕上げる前の承認された標準であることが重要であると感じていました。それは、BPEL 2.0と共に、ちょうど2007年におきました。

(Oracle, Manoj Das) 初めに記録を正しますが、BPEL4WS 1.0は2002年7月に公開され、1.1は2003年3月にOASISに提出され、2007年4月12日に標準となりました。この期間の間、堅牢な BPEL標準を促進するために時間が費やされました。つまり、RDBMSのSQLのような、プロセスオーケストレーションとなる準備ができたということでしょう。加えて、3年間にわたり詳細な作業をした技術委員会は、OASISで最も大きな技術委員会の一つとなりました。BPELの作業が完了した後だけ、 BPEL4Peopleを標準化する流れにはフルギアが入りました。それ故、良い進展を得るのに多くの時間がかかりませんでした。

(SAP, Ivana Trickovic) 私たちは、標準化活動が手間のかかることであることを知っています。SAPとIBMは、顧客やコミュニティから早い段階でアイデアのフィードバックを得たいと思っていたので、2005年にBPEL4People のホワイトペーパーを公開することにより、BPEL4Peopleの活動を開始しました。さらに、私たちは、去年の夏に最終公開された BPEL4PeopleとWS-HumanTaskの仕様の作業が完了する前に、OASISのWS-BPEL TCの結果を見たかったのです。

Q: 良いBPMソリューションはエンドユーザーからのフィードバックを通して得られるものです。エンドユーザーのBPEL4Peopleに対するサポートは、今のところどうでしょうか?

(IBM, Dave Ings) 私たちは、多くの顧客から得られる要求に対応する中でBPEL4Peopleを開発しました。そして、早い段階でのフィードバックは積極的なものでした。

(Oracle, Manoj Das) 多くの顧客は、BPELに人々のインタラクションを含んだ似たようなアプローチを使います。彼らのユースケースと彼らのインプットは、この活動での私たちの作業に情報を与えるものでした。

(SAP, Ivana Trickovic) BPEL4Peopleのホワイトペーパーが公開されたので、私たちは顧客、パートナー、ユーザーから積極的なフィードバックを得ました。最も重要な面のうちの1つとして、異なるタスクリストクライアントとのインターオペラビリティがあると思います。

Q: BPEL4Peopleの実装として何かありますか?

(IBM, Dave Ings) いくつかのBPEL製品、BPEL4Peopleを作った人たちも含まれており、既にヒューマンタスクのサポートを提供しています。よって、一つの答えとして、主要なコンセプトの実装は既に利用可能です!もちろん、より完全な答えは、全てのベンダーより前にOASISが完成すべき標準プロセスに準拠した実装をリリースすることができるということです。

(SAP, Ivana Trickovic) SAPのNetWeaverは、人が実行したアクティビティのみならず自動化されたアクティビティの両方を持ったビジネスプロセスのモデル化と実行の機能を既に提供しています。BPEL4Peopleの標準化が進むにつれ、より一層仕様に準拠した実装をするでしょう。

Q: 多くの人がBPELについて理解している主要な関心事の一つは、それがWSDLに依存していることでした。おそらく、それはBPEL4Peopleでも残されるのでしょうか?

(IBM, Dave Ings) BPELは、ビジネスプロセスと呼び出されたサービスの間で交換されるメッセージを定義するためにWSDLを利用します。同様に、BPEL4People は、ビジネスプロセスに参加している人が取り組む必要のあるデータ構造を定義するためにWSDLを利用します。WSDLが使われないならば、別の何かが作り出される必要があるでしょうし、私たちの一般的な考えとして、適切で可能であるならば既存の標準を再利用します。

(Oracle, Manoj Das) BPEL4PeopleはWSDLに依存しています。しかし、それは適切なエンドユーザーの経験知を提供するためのツールの実装次第です。

(SAP, Ivana Trickovic) BPELは、主にWebサービスベースのプロセスのために設計されていて、WSDLは、単にWebサービスのための記述言語です。BPEL4People では、ヒューマンタスクは「サービス」として扱うことができるので、WSDLはタスクのインターフェースを記述するために利用することもあるでしょう。これは、SOAベースのアプリケーションから、それらのヒューマンタスクを利用することができるものとして重要です。

Q: 技術委員会のスケジュールはどのようですか?

(IBM, Dave Ings) OASIS技術委員会は、2008年3月5日に初の会議を開催しました。スケジュールは、委員会自体で決められるでしょう。

(SAP, Ivana Trickovic) 技術委員会が開設され、標準化の活動が約18ヶ月おこなわれるでしょう。私たちは、この作業がスケジュール内に完了することができるだろうと信じています。

Q: この作業の結果として、何かしらの変化があると思いますか?

(IBM, Dave Ings) 作成者たちがBPEL4Peopleを終える前にBPEL 2.0の完了を待つのであれば、何の変化も無いと考えています。

(Oracle, Manoj Das) BPELへの変化は期待していません。BPELは、その上で階層化されるための拡張として設計されました。そして、BPEL4Peopleは、BPELの拡張メカニズムとして一貫性があります。

(SAP, Ivana Trickovic) その意図は、BPEL4PeopleがBPELの拡張モデルを利用することです。その結果として、OASISのWS-BPEL 2.0標準での変更は期待していません。

Q:BPEL4Peopleの次は何ですか?

(IBM, Dave Ings) OASISへのBPEL4Peopleの寄贈は、BPM標準の発達において重要なマイルストーンを残しています。私たちは、BPM標準への次の大きなステップは、モデリング表記のための同レベルの標準を提供することだと考えています。この目標に向かって、BPEL4People作成者の数名が、オブジェクトマネジメントグループ(OMG)でビジネスプロセスモデリング表記法(BPMN)2.0の活動に積極的に参加しています。

(Oracle, Manoj Das) 次の主な作業は、プロセス表記法の分野で、BPELとBPEL4Peopleが協調するものを含んでいます。一般的なヒューマンワークフローパターンに対する第一級のサポートも現れるかもしれません。

(SAP, Ivana Trickovic) BPEL4Peopleの標準化活動と平行して、人間のインタラクションが同様にBPMNでモデル化されることができるように、私たちはこのBPEL拡張を確かなものとし、ビジネスプロセスモデリング表記法(BPMN)に関連するOMGの作業を提携したいと思います。

原文はこちらです:http://www.infoq.com/articles/bpel4people-tc
(このArticleは2008年4月24日に原文が掲載されました)

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