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ソフトウェア開発チームのメンタルヘルスを維持する

原文(投稿日:2020/03/14)へのリンク

仕事に関連する不安や精神障害がテクノロジー会社の共通の課題になっています。International Journal of Social Sciencesによると、ソフトウェア開発者は機械的な仕事をしている他の職業の同僚と比べ、倦怠感、燃え尽き症候群、不安、ストレスを経験しやすいです。精神的な健康の劣化は従業員の幸福の脅威になるだけでなく、企業全体の生産性に悪影響を与えます。シュトゥットガルト大学のソフトウェア技術研究所の研究者によれば、精神的な疲れや抑うつのある開発者の品質が低く、締め切りを守れない傾向があります。現在、テクノロジー会社は精神的な健康の重要さを認識し、自分たちの献身的な開発チームが健康的で正気を保っていられるよう行動しようとしていています。

私たちBeetroot社では、チームが感じる圧力が宰相になるように家庭的で快適な雰囲気を作ろうと努力しています。しかし、最良の努力をしていても、課題が発生します。そこで私たちの人事の代表者であり心理学者でもあるVova Vovkにメンタルヘルスについて話を聞きました。Vovaは精神的健康の指標と開発者を健全さと生産性を保つために支援できることについて話してくれました。

まず、メンタルヘルスを定義するところから始めましょう。世界保健機関によれば、メンタルヘルスとは、個人が自分の能力を実感し、日常のストレスに対処でき、生産的に働き、地域社会に貢献できる健康的な状態です。私たちの仕事は私たちのメンタルヘルスに大きな影響を与えます。これは驚くべきことではありません。私たちは多くの時間を仕事に費やすため、影響を受けることは避けられないのです。

プログラミングとメンタルヘルスの関係を理解するために、その背後にある理論を見てみましょう。私たちのメンタルヘルスはふたつの領域で構成されます。それは、認知の領域と感情の領域です。脳の神経生理学はコンピュータと比較できます。例えば、コンピュータには入出力の仕組みがあります。キーボードやウェブカム、マウスなどです。これらは私たちの五感に対応します。コンピュータのプロセッサは私たちの思考と同じです。ビデオカードは私たちの想像力に対応します。操作メモリは私たちの通常の記憶に対応します。これらの4つは認知の領域の基本要素です。しかし、私たちを機械と区別するのは感情の領域です。つまり、気持ちと欲望です。これらの要素が私たちのメンタルヘルスにどのように影響を与えるか、詳しく見ていきましょう。

認知の領域

入出力の仕組み

良好に動作する入出力の仕組みは外部の刺激に対して素早く労力なしで反応します。言い換えれば、不快感なしで外部の情報を受け取ることができるならメンタルヘルスは安定しています。反応は人によって異なります。賑やかで開放的な場所で働くのを楽しむ人もいれば、集中ために完全な沈黙が必要な人もいます。しかし、照明が明るすぎる場合や、周囲がうるさすぎる場合、あるいは、スーザンの継続的で一方的なハグにストレスを感じ始めたなら、認知の領域で問題が起きています。

メモリ

私たちは皆、マルチタスクに馴染んでいます。私たちの脳はシングルコアのプロセッサで、同時にひとつのタスクしか処理できません。マルチタスクについての話とは、記憶の中に同時に持つことができる物事の数の話です。その数が少なくなっているなら、慢性疲労症候群や神経衰弱の症状があるかもしれません。絶え間なく疲労状態にあるかストレスや不安に満ちているとき、それは記憶に影響します。物事を覚えるのが大変になり始めたら、それはメンタルヘルスに問題がある兆候です。

ビデオカード

創造的な仕事にとって想像力はとても重要です。理想的な創造的プロセスは次の通りです。情報が脳にアップロードされ、数時間から数週間、寝かされ、そして、ビデオカードによって創造的な結果が生み出されます。残念ながら、締め切りや熱心なクライアントに囲まれると、私たちの想像力は過負荷になり限界を超えてしまいます。私たちはいつも創造的あアイディアを絞り出そうとベストを尽くしています。脳は一時的にはストレスや必要な生産的な仕事を補えますが、やがて燃え尽きてしまいます。創造的な仕事をする動機が感じらず、自分のアイディアにも喜びを感じないなら、ビデオカードはオーバーヒートしており、休みが必要です。

プロセッサ

私たちはIQテストに親しんでいます。しかし、あまり知られていないですが、IQはどれほど知的であるかを示していません。IQが示すのは、どれほどうまく思考ができるか、ということです。メンタルが強い人にとっては、単純なパズルや20から数を逆に数えていくことは難しいことではありません。しかし、慢性的に疲れていたり、不安だったり、落ち込んでいたりすると思考プロセスの速度が低下し単純な方程式を解くのにも困難になります。また、考え過ぎで不快感や頭痛を感じることもあります。

感情の領域

感情の領域はもっと複雑です。認知の領域は身体の健全さ(ビタミンとブドウ糖のレベル)と精神的な健全さ(不安やストレス、落ち込みのレベル)に直接関係します。両方とも医療テストで簡単に検査できます。しかし、感情は複雑で計算できません。4つの基本的な感情について見てみましょう。

悲しみは過去に向けられています。悲しみは、すでに過ぎ去ってしまった状況から、感情の繋がりを切断するために使われます。例えば、仕事のために引っ越しをして、一時期悲しい思いをして、それを受け入れて前に進んだとします。何度も何度も過去を再現するのではなく、過去を手放すことができることが大切です。このために悲しみが必要なのです。対照的に恐怖は未来に向いています。その目的は、会議や近々のプロジェクトの立ち上げなど、次に何が起ころうとしているかに備えて、私たちが身を引き締めるのを助けることです。しかし、あまりにも多くのことが危険にさらされていたり、次の状況があまりにも危険であったり、複雑であったりすると、恐怖は私たちの行動を鈍らせてしまいます。私たちの脳は非常に苦しみ、何千もの可能なシナリオを描き、それぞれの解決策を見つけようとします。その結果、私たちはエネルギーを浪費しすぎて、今ここで効率的に機能することができません。

怒りは喜びと同様に現在の感情です。怒りの使命は、トム・クルーズが多くの映画で担っている使命と似ています。それは成果を保護し達成することです。個人の境界を定義するために私たちは怒りを必要をします。また、目標を達成するための意欲を高めるのにも役立ちます。そして、満足したときに喜びを感じます。机の埃を払うというような小さな達成だとしても、少しの喜びを引き起こすことができます。タスクを完了させると、私たちの脳は神経生理学的レベルに再ロードされ、オピオイドを生成し、継続するためのエネルギーを与えてくれます。

感情の領域は古く強力であり、私たちの認知能力に影響を与えます。悲しみすぎたり興奮しすぎたり、激怒したり呆然とすれば、私たちの認知力は低下します。そうなった場合、"悪い"感情は存在しないことを覚えておくことが重要です。すべての感情は特定の状況下で役に立ち必要なのです。介入する必要があるのは制御できなくなった場合です。メンタルヘルスが悪化していると感じたら、まずは、認知能力をテストしてみましょう。認知能力に遅延があるなら、自分の"バックエンド"(つまり感情の領域)で何か問題が起きていないか確認する必要があるかもしれません。

コーディングはメンタルヘルスにどのように影響するか

開発者がコーディングを始める場合、認知の領域の4つの基本的な要素を全部活用します。スクリーンから脳へデータを落とすには気持ちと知覚の両方が必要です。それから、思考が起動しデータを処理します。想像力が創造的な解決を見つける手助けをします。記憶には既存の解決策があり、適しているなら使うことができます。開発者の仕事はエンジニアリングと密接に関係しており、集中した思考を必要とします。現代の科学的な理論では、私たちが集中して仕事ができるのは2時間から4時間程度だとされています。もちろん、私たちの脳は柔軟で適応力があります。実際には、1ヶ月から3ヶ月の間、過負荷になりながらも生産的に仕事ができるのです。しかし、その2時間から4時間の集中した思考の間に処理すべきタスクを過剰に割り当て続けるならば、開発者は慢性的な疲労困憊の奈落の底に突き落とされることになるでしょう。

ハードにコーディングしながら正気を保つためのヒント

1. 集中モードと集中していないモード

私たちの心の健康を守るためには、日々の認知の限界を超えて無理をしないことが大切です。実際には、これは言うは易く行うは難しです。メンタルヘルスを安定させる方法のひとつは集中した思考と集中していない思考を切り替えることです。 例えば、重要なことに2時間を使います。スタンドアップミーティングへの参加や集中したコーディングです。そして、それから複雑な解決策を必要としない機械的なタスクに取り組むことで集中してしない思考に切り替えます。こうすることで、集中していたときにアップロードした情報を処理するために必要な脳の休息を得られます。

2. 運動を忘れない

身体の健康は心の健康に欠かせません。不快な姿勢で座っているなどの些細なことでも、首の血管が痙攣したり、神経線維が圧迫されたりすることがあります。これは脳に十分な酸素やブドウ糖が行き渡らなくなる原因になります。短時間の休憩をとり、1時間に1回程度の短時間の運動を取り入れることが大切です。腕立て伏せのことを考えるだけで気分が悪くなるなら、せめてたまにはオフィスの周りを散歩してみてはいかがでしょうか。

3. チームワークがすべて

ソフトウェア開発チームの雰囲気は、特に物事が感情的になるときに重要です。お気に入りのチームメンバーが突然プロジェクトから離脱したら悲しくなるでしょうし、うっとうしいQAが残ったら怒りを感じるかもしれません。どちらにしても、認知の領域(仕事に必要な)からのエネルギーが代わりに感情領域に送られてしまい、集中力や生産性が低下してしまいます。社内の雰囲気をバランスよく健全に保つためには、話し合うことが大切です。これがチームビルディングが重要な理由です。悩んでいる課題について話し合ったり、過去に起こったことを嘆いたり、将来についての懸念を共有したりすることができます。簡単なようですが、これらの基本的なステップを踏むことで、感情のバランスを保つことができます。

4. オキシトシンを得る

ポジティブな感情が徐々に迫る締め切りによるストレスを覆い隠してくれるとは言いませんが、役には立ちます。オフィスの中で最もオキシトシンを放出する場所の一つがキッチンです。チームメンバーと集まって美味しい料理を作ったり、集中した思考から集中していない思考にシフトしたりすることができます。集中モードで苦労しながら次のタスクを必死に解決しようとするよりも、キッチンで1時間ほど休憩してリラックスする方がはるかに健康的です。おしゃべりも役に立ちます。ハグをするのが苦手な人でも、チームメイトの近くに座って食事をするという単純な行為だけで、集中力をリフレッシュできるかもしれません。心理学的な観点からは、このような相互作用は安全性と快適さの感覚を作成し、ストレスに対処するために必要な回復力を構築するのに役立ちます。

他の仕事と同じように、プログラミングもストレスの多い仕事です。休みなく続けていると、最終的には完全に消耗してしまい、やる気がなくなってしまいます。自分の心のバッテリーを充電するための具体的な方法を見つけることをお勧めします。心の健康が保てなくなってきたと感じたら、恐れずに助けを求めてください。

著者について

Lena Kozarは、Beetrootのコピーライター兼コンテンツクリエーターです。ソフトウェア開発、メンタルヘルス、チームビルディング、リーダーシップに関するトピックをカバーしています。彼女は自分のライティングスキルを応用して、ウクライナのソフトウェア開発チームの日常業務、課題、成功を紹介する魅力的なテキストを作成するのが好きです。

Vova VovkはBeetrootでフルスタックの人事担当者を務めており、持続可能で弾力性のあるチームの構築において豊富な経験を持っています。心理学とアジャイル技術の応用に関する深い知識を備え、企業が快適で生産的な作業環境を開発するのに支援します。心理学と教育管理の修士号を取得しています。

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