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EclipseCon2008総まとめ

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先日開催されたEclispeCon(source)には1400人を超える聴衆が集まり300以上のプレゼンテーションやチュートリアル(source)が行われた。EclipseConは一昨年と昨年に引き続きOSGi DevCon(source)と共同で開催された。

注目すべきプレスリリースのまとめ

開幕での大きなニュースはEclipse Runtime、略してEclipse RT(サイト・英語)と呼ばれるトップレベルプロジェクトの発表だった。ApacheのようにEclipseではプロジェクトがトップレベルプロジェクト(top level projects)とコンポーネント(components)に分けられている。トッププロジェクトではレポジトリや時にはメーリングリストなどが共有され、コンポーネントではSWT(source)やECF Jabber(source)のサポート機能のような特定の機能を開発している。

新しいランタイムプロジェクトはEclipseのOSGi(SOAによりネットワーク上のサービス/コンポーネントを容易に利用するための仕様)ランタイムであるEquinox(サイト・英語)プロジェクトやEclipse Communication Framework(サイト・英語)のようなキーとなるコンポーネントプロジェクトを行うことを目的にしている。さらに、潜在するランタイムの分野でより広範囲でコミュニティ活動を盛り上げるため、新しくEquinox Portal(サイト・英語)も作られた。これはしばしば(Javaの)IDEとして認知されるEclipseあるいはEclipse Platformとの違いを明確にするため、それらとは異なるものとして作られている。

Eclipse Foudationはオープンソースのランタイム技術を開発し促進させるための新しい第一歩を今日発表しました(source)。この技術はOSGiに準拠した軽量ランタイムであるEquinoxをベースにしています。Eclipseは開発ツールとして広く知られていますが、今回の第一歩はランタイム技術にフォーカスしたEclipseオープンソースプロジェクトについてのコミュニティを作ります。そのランタイム技術はモバイル、デスクトップ、サーバ環境においてソフトウェアの開発・デプロイをより柔軟にする方法を提供します。

Eclipse FoundationのエグゼクティブディレクターであるMike Milinkovich氏は「ランタイムにフォーカスしたEquinoxコミュニティの開始は自然な流れである」と語っています。「我々のコミュニティは既にRCPやRAP、Swordfish、EclipseLink、ECFといったランタイムプロジェクトを開発しています。この新しいコミュニティはソフトウェアの開発やデプロイを容易緒することに焦点を当てた付加的なプロジェクトをまとめたり、促進させる手助けとなるでしょう。」

EclipseConでのもう一つの大きなニュースはEclipseLink(source)がJPA2.0(別称JSR317)(source)のリファレンス実装に選ばれたことだった。このJava Persistence APIはJavaEEおよびJavaSE環境での永続化およびORマッピングの管理を行うJava APIだ。

Eclipse Foundationは、Java(TM) Persistence API(JPA)2.0についてのJSR317標準を主導するSunが、そのリファレンス実装としてEclipseLinkを選んだことをお伝えします(source)。このEclipse Persistence Services Project(EclipseLink)は、Oracleが主導していて、キーとなる永続化の標準仕様をサポートするオープンソースのランタイムフレームワークを開発しています。EclipseLinkプロジェクトは、複雑なマッピング、パフォーマンス、スケーラビリティを実行するためのリッチサービス、そしてエンタープライズJavaアプリケーションに必要とされるより進んだ機能を提供します。

JSR 317のJava Persistence APIは、Java Platform Enterprise Edition(Java EE)およびJava Platform Standard Edision(Java SE)環境で永続化とORマッピングを管理するためのJava APIです。リファレンス実装として、EclipseLinkはJavaSE・JavaEE両方において実績ある商用品質の永続化手段を提供することになるでしょう。

Eclipse FoundationのエグゼクティブディレクタMike Milinkovich氏はこう言いました。「JSR 317のリファレンス実装としてEclipseLinkが採用されたことは、Javaソフトウェアアプリケーションの開発を効率化するためにJCPと Eclipseのコミュニティが一緒になって取り組んだ素晴らしい実例です。」「このようにオープンなコラボレーションが行われることで、技術を広く採用されるよう促進がされます。」

EclipseLink(source)プロジェクトが昨年Oracle(サイト・英語)から寄贈されたTopLink(サイト・英語)によって始まったことを考えると、今回のリリースは特に注目すべきことだ。そして今後Glassfish 3(source)にも採用されようとしている。SunがEclipseプロジェクトに今すぐ参加することは考えにくいが、このような協力はみなにとって間違いなく役立つことだ。

最後に、MicrosoftのSam Ramji氏(source)からSWTを利用できるようなWPF(.NETのGUI基盤)上で動くリソースを投じる(source)という展望を示した。ただしこれはまだ合意がされていない。さらに、Windows CardSpace(ID管理技術)(source)のチームがID管理プロジェクトHiggins(サイト・英語)に取り組みを始めた(最近そのプロジェクトからHiggins 1.0)(source)がリリースされた)。

Eclipseの進化

Eclipseにはこれまでも健全なエコシステムがあった。最近の唯一の大きな変化はOSGiランタイムの採用だったが、Eclipseの将来にについての健全な議論がされている。今年のEclipseConでは、カンファレンス後のセッション(source)(メモ)(source)でE4(Eclipse 4.0)(source)をターゲットにしたプレゼンテーションが行われていた。あるEclipseセッションでのトピックは、ユーザインターフェースとしてブラウザを使うこととサーバ上にコードを置くことだった。これによってどこでもログインしてコーディングが可能になる。この取り組みの結果の一部として、より非同期なAPI (ウェブベースの非同期環境で動作する)が作られていて、これは将来Eclipse3.xで取り入れられる可能性がある。今の時点ではE4は時間とともに進展するであろうアイディアの集まりで、いずれ目にすることになるアイディアの集まりだ。それが実現するまでにはいくつかのデモ(source)が見れるはずだ。

Rich AJAX Platform(source)では既存の実装をウェブブラウザ内で変換するコード(デモもある(source))が作られていて、ごくわずかなコード変更をする(source)だけで既存のGUIを実行することができる。ただしデータの永続化には注意が必要でServlet風のやり方でハンドリングしないといけない。

最前線におけるOSGi

ここ3年間、OSGi DevConがEclipseConと共に開催されている。Eclipseは3.0からOSGiランタイムを使用してて、今ではBEAのmicroServicesArchitecture(サイト・英語)やIBMのWebSphere(source)(将来はJBossJ(source)も)のような多くのエンタープライズアプリケーションがOSGiランタイムの上に構築されている。 OSGi実装としてFelix(サイト・英語)(旧Oscar(サイト・英語))、ProSystのmBedded Server(サイト・英語)、Knopflerfish(サイト・英語)、そしてEquinox(サイト・英語)などがあることを考えると、特定の性能を満たすランタイムやその技術供与に対する需要があるようだ。

昨年までの2,3年は、OSGiは何か、OSGiはどのように使うか、といったビギナートピックが多かったが、今年は特定のことに特化したトピックが数多くあった。例をあげると、Spring Dynamic Modules(旧称Spring OSGi)の使用(PDF・英語)についてや、OSGiをAndroidで使う(PDF・英語)ことやOSGiを備えたカスタムハードウェアを使う(PDF・英語)BugLabs(サイト・英語)といったハードウェア関連の話があった。さらに、J2MEプラットフォームでユーザインターフェイスを構築する(Nokiaも使用するeRCP(サイト・英語)もサポートされる)ためのOSGiプラットフォームとしてSprint Titan(サイト・英語)(Windows Mobileデバイス向けのJavaプラットフォーム)が発表された。Sprint Titan開発プラットフォームについて近くウェブセミナ(source)が開かれることになっている。

JSR 277(source)とJSR 294(source)で定められたゴールがOSGiへの準拠(JSR 291(source))であること、top 25 REF(source)(機能拡張要求)に押し上げられるほど優先度が高くなっていっているSun bug 6650394(source)(モジュールシステムの相互運用性を求めて報告)、そしてマルチベンダによるOSGiの浸透およびマルチベンダ以外のベンダでのOSGiの採用を考えると、数多くのモジュラシステムが将来もOSGiをベースにし続けることだろう。

まとめ

他のカンファレンスと同様、EclipseCon(とOSGi DevCon)はアイディアと実装について人と会い話をする場であり、今年も例外ではなかった。そして特定のプロジェクトウェブサイトについて議論する場というよりは、より広いコミュニティの場でもある。ここで行われたプレゼンテーションはそのうちEclipseConで利用可能になるものもある(source)

Eclipse Runtimeプロジェクト(source)が創設されたことはEclipseが単にIDEのためのものではないことを明らかに示している。(RAP(サイト・英語)や来たるE4(source)を使った)ウェブ、Rich Client Platform(サイト・英語)を使ったクライアントサイド、eRCP(サイト・英語)を使ったモバイルクライアント、そしてEquinoxサーバ(サイト・英語)を使ったサーバサイドのすべてにおいて、Equinoxベースのシステムは十分に実績のあるモジュラアーキテクチャとして成長しそうな予感がある。

原文はこちらです:http://www.infoq.com/news/2008/03/eclipsecon2008

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