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討論: なぜほとんどのソーシャルソフトウェアは失敗するのか?どうすれば失敗を避けられるのか?

いくつかのソーシャルサイトは、他のサイトが顧客を獲得に動き出す前に、大きな成功を手中に収めている。なぜそのようなことが起きるのだろうか?Clay Shirky氏は、多くの場合に共通して見られる、ある事実に注目しているとBuzzwatchに対するインタビューを通じて述べた。それは「機能が少ない状態で公開されるソフトウェアは、成功しやすい(リンク)」ということである。ウェブにおけるシンプルさの重要さについて、何人かの賛同者が同じようなことを述べている(参考記事・英語)。ソーシャルなソフトウェアの成功の鍵となるのは「極端にシンプルなメンタルモデルを構築し(中略)、それがすべてのユーザに共有されることである」と彼は述べた。

Michael Nielsen氏は自分のブログの中でなぜプログラマはこの法則に慕うことができないのか、というのを分析した(リンク)彼は、彼の意見や議論の中で、ある洞察について説明してきた。それは成功するソーシャルソフトウェアを構築する上で避けなければならない落とし穴についてである。

Nielsen 氏は、多くのプログラマが共有されたユーザモデルに合うソフトウェアの作成に失敗していると考えている。それは、プログラマが決定を下す場合の根拠となる暗黙のメンタルモデルが失敗しているからである。プログラマが接するソフトウェアは二つの部分のシステムで構成されている。プログラマはこのシステムを通じて日々経験していることは、より多くのユーザ経験を提供しようとするソフトウェアとユーザ間のインタラクションである。しかし、これはユーザと他のユーザの間のインタラクションが、ユーザとソフトウェアの間のインタラクションにどのように影響を与えるかということに関して課題を残すことになる。

実際のユーザのメンタルモデルは完全に異なっています。それは、ソフトウェアと、他のユーザとのネットワークです。他のユーザがどのようにそのソフトウェアを使用しているのかというメンタルモデルは、そのユーザがどのように使用するかということに強く影響を与えます。そのメンタルモデルに関して確信が持てない場合には、ユーザはそのソフトウェアを使用したいという気持ちが弱くなっていきます(中略)。ソフトウェアがソーシャル化すればするほど、このような特性は強くなっていきます。

[...]

一人のユーザ体験を良くしていくことは簡単ですが、そこに注力すると、ネットワークを構成しているユーザの体験は悪くなっていきます。

Shirky 氏の法則のもう一つのキーワードは「シンプル」である。大規模なユーザ数を抱えるには、根底となっているユーザモデルはシンプルである必要がある。 Michael Nielsen氏によると、2つの理由によって、これが守られないケースがあるという。最初の理由は、プログラマーが技術的に凝ったことをしようとしてしまうというものである。これに対して、成功しているソーシャルのソフトウェアは「もっともすばらしい一つのタスクからスタートする」という特徴があるが、このようなタスクを一つだけ見つけるのはとても難しい。このタスクは、便利で、オリジナリティがあり、シンプルでなければならない。そして、「減らしたり、既存のタスクの用語で置き換えることができない」という特徴がある。このようなタスクを見つけることは技術的な挑戦というよりも、社会的な挑戦と言える。それは、多くの成功したアプリケーションを作成してきたのが純粋に技術的な背景を持つ人々ではない、もしくはこのようなアプリケーションが「たまたま」開発された、というところからも説明できる。例えば、Bloggerはプロジェクトマネジメントシステムの一部である。Flickrは当初はオンラインゲームの一部で、プレイヤーが写真を共有できるようにする目的で開発された。最初のwikiはWard Cunninghamは「ユーザの要望に応えて自分が運営するウェブサイトを更新するのに疲れた」という理由で開発された。

Michael Nielsen氏は簡単なメンタルモデルは、技術的にシンプルなソフトウェアのことを表すわけではないと述べている。いくつかのソーシャルソフトウェアはとても複雑なアルゴリズムを使用している。例えば、GiggやFriendFeedでは、投稿された項目の重要度のランキングを行うのに複雑な計算をしている。しかし、この技術的な複雑さはユーザからは見えないようになっている。

この意見とは対照的に、ユーザモデルの水準をシンプルにしようとすることが制限となってくると述べる人もいる。例えば、Chris Granade氏とPedro Beltrao氏はShirky氏の法則を適用しようとして、シンプルになりすぎてしまうことは問題であると述べている。Chris Granade氏の意見によると、この結果として、「微妙さの欠如による、共通理解の妨げ」につながるとしている。彼は、人々を「ともだち」としてしかマーキングできないのは正確さに欠ける、という例を挙げた。これにより、混乱が生じ、友人のネットワークという矛盾したメタな情報が生成されてしまうことになる。Pedo Beltrao氏は別の混乱の原因について述べた。現実の生活の中では、FriendFeedのような友人のネットワークと違い、多くの顔を持っていてそれぞれ違う人々に対して接することが多い。FriendFeedでは人々の一つの面だけを抜き出すことはできない。そのため、すべての顔をそれぞれ違う人々と共有することになり、時間を浪費するノイズを増やすことになるとしている。

Michael Nielsen氏は、ユーザがそのアプリケーションに慣れてしまっていて、「共通理解が得られていると自信がある」場合には、メンタルモデルにより多くの複雑さを導入することができると述べた。つまり、これは既存のソフトウェアの最終段階でのみ行うことができる、ということである。これの例としては Facebookが上げられる。Facebookは一定の支持が得られた後に、徐々に複雑さを加えていっている。

アプローチに微妙な差があるにせよ、ソーシャルなアプリケーションにとって、シンプルさというのは重要な成功の要因でありそうなことは確かである。しかし、これらのコメントを考慮すると、Nielsen氏はShirky氏の法則というシンプルな考え方は重要であるとしているが、これだけでは成功するソフトウェアを構築するには十分ではないと言える。とてもすばらしいアイディアがあったとしても実行時に失敗する可能性がある。純粋に技術的な問題や、ビジネス上の問題は置いておくとしても、ソフトウェアとユーザモデルの一致性については、開発プロセスの間中、常に維持され続けなければならない。もちろん、開発者の認知の精度という課題はあるが。これらを達成するためにMichael Nielsen氏が重要であると述べているのは、ベータユーザにとって十分な機能を早期に作り上げ、なるべく早く、頻繁にリリースを行うということである。

原文はこちらです:http://www.infoq.com/news/2008/08/why-social-software-fails

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