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SOAケーススタディコンペティションの結果に見る、SOAを成功させるための主な要素

SOAコンソーシアムとCIOマガジンは、SOAケーススタディコンペティションの受賞者を(リンク)発表した。このコンペティションの優勝者はSynovus Financialで、各部門の特別賞を受賞した企業は、Penn National Insurance(保険部門)、Con-way, Inc.(運輸部門)、US Department of Defense, AT&L(政府部門)、SunGard Financial Systems(技術部門)、およびCanada Health Infoway(医療部門)だ。

受賞したすべてのケーススタディに対して、企業のバックグラウンド、ビジネスシナリオ、ROI(Return On Investment)、プロジェクト組織、そこから学んだ教訓が述べられている。企業のバックグラウンドやビジネスシナリオが大きく異なるにもかかわらず、ROI(Return On Investment)、プロジェクト組織、そこから学んだ教訓については、(InfoQが以前、報告したように(参考記事・英語))多くの共通点を見ることができる。
 

すべてのケーススタディ受賞者のROIは、具体的なコスト削減によるビジネス利益に集中している。
 

  • Synovus Financial. 既存のSOA基盤、ホスティングおよび既存サービスの多くを活用することで、ITプロジェクトの実装コストを100万ドル近く節約した。そのソリューションは追加のプロジェクト費用なしで、Synovusの子会社である37の金融機関すべてに展開された。
  • Penn National Insurance. 単純な3層の価格設定システムを25層にして、価格設定の区分を大幅に改善することで、価格設定の精度が劇的に向上した。結果として新しいビジネス相場で、前年の同期間より65%の増加を達成した。ポリシー処理の効率が向上したことで、130万ドルのコスト削減が計画された。そのSOAの実装から全体として、年間で330万ドルの具体的なコスト削減を達成できると予想している。
  • Con-way, Inc. ビジネスプロセスの自動化とイベントのトリガーによって、Con-wayは1日あたり500人時を節約した。ミッションクリティカルなデータの流れの遅延をなくすことで、業務、販売、財務の人員も、リアルタイムな意思決定のサポートを得た。何百万ものビジネスイベントが発行され、イベントドリブンな方法で処理される。
  • US Department of Defense, AT&L. SOA基盤と関連するガバナンスプロセスは、信頼できるソースから必要に応じてプログラムの値を引き出すことで、総額1030億ドルの調達の意思決定を支援する情報を信頼できるものとした。
  • SunGard Financial Systems. それまで隠れていた重要なアセットの公開など、とても多くのソリューションを実現した。ソリューションを実現する効率が向上する。顧客のSOA環境との統合を改善することで、より高いビジネス満足度が得られる。
  • Canada Health Infoway. Booz Allen Hamiltonは、InfowayのためにiEHR(Interoperable Electronic Health Record)の費用便益について、独自の研究を行った。ヘルスケアシステムを実現するためのITの総費用は、99億ドルになると見積もられた。ヘルスケアシステムによる節約やコスト回避による利益は、年間で61億ドル、20年間では824億ドルになると見積もられた。
     

SOAの実装によるビジネス利益と現実の数を明確にすることで、ケーススタディコンペティションの受賞企業は、さらなるSOAの進歩のために、経営陣の支援を手に入れることができるだろう。

各受賞者のプロジェクト組織についても、顕著な共通点が見られる。

  • Synovus Financial. このプロジェクトはとても先駆的なので、すべての要求をより大きなドメインで採用するために、ビジネスアナリストとアーキテクトが綿密な分析を行った。さらに戦術的および戦略的なSOAガバナンスのために、Synovusのアーキテクチャと開発チームは、CCB(Configuration Control Board)によって統治された。このガバナンス機構は、適切な技術を決定するためのプロジェクトの構造に、SOAを慎重に統合した。
  • Penn National Insurance. ビジネスチームとITプロジェクトチームのメンバーは、共有サービスの再利用性とビジネスアラインメントのために、常に協力してサービスのデザインを行った。さらに、引受、請求、営業、財務、保険の意思決定者、IT部門、企業データガバナンスの責任者から成る、DSC(Data Stewardship Council)を設けた。DSCの役割は、セマンティックなデータ定義に基づいて、サービスの相互接続性を確保することだ。
  • Con-way, Inc. ビジネスケースは、主要なプロジェクトに着手する前に、Con-way運輸のプロジェクトガバナンスの一環として、ビジネススポンサーと共に開発された。プロジェクトを遂行している間、数名のビジネスユーザが、ユースケースの分析、ユーザインタフェースのデザイン、ユーザの受け入れなど、ソフトウェア開発サイクルの様々な部分に関与した。アジャイルなソフトウェア開発のプラクティスを導入したことで、新しいアプリケーションや機能の出現に、ビジネスユーザも密接に統合されるだろう。
  • US Department of Defense, AT&L. . 技術チームは、(陸軍、空軍、海軍および国防調達管理情報検索プログラムオフィスからの)データプロバイダ、ホスティングパートナー(BTA)、ソフトウェア技術者の3つのソースから、テクニカルリソースを作り上げた。これは関係するすべての当事者を、積極的にプロジェクトに関与させる。
  • SunGard Financial Systems. 品質保証チームや認証および性能研究室を含む、SOAのCOE(Center of Excellence)を設けた。コモンアーキテクトは各ビジネスセグメントを代表して、ビジネスサービスの作成に対するレビューや投票を行う。さらに、互いの作業結果をリアルタイムに活用するため、コミュニティへの呼び掛けや活発なwikiによって、コラボレーションを促進した。最後に、エンタープライズアーキテクトや、一流の銀行、投資サービス、エネルギー組織、保険組織の技術役員から成る顧客諮問委員会が、順調にプロジェクトを進めるのを助けた。
  • Canada Health Infoway. Infowayのソリューションアーキテクチャグループのスタッフアーキテクトと標準専門家、プロジェクトマネージャ、変更管理とナレッジ管理のスペシャリストから成るコアチームを設けた。このチームは、臨床専門家(医師、看護師、薬剤師など)と、様々な分野(HL7、プライバシー、セキュリティなど)の技術専門家によって補われた。
     

もう一度これらの例を見ると、トップダウンのSOAアプローチによる、ビジネスとITの密接な連携だけがSOAを成功させている。

最後にSOAの実装から学んだ教訓について、ケーススタディの受賞者は同様の見解を述べている。
 

  • Synovus Financial.SOAは技術ではなく、アーキテクチャと哲学だ。よいガバナンスと結びついたときにだけ、それは価値をもたらすことができる。全体のアーキテクチャが正しければ、実装の誤りのいくつかは、途中で修正することができる。
  • Penn National Insurance. TSOAを成功させるために絶対に必要なのは、ビジネスサポートの獲得とSOAの実装がビジネスの機能にどう影響するかの議論に、最初に時間を費やすことだ。加えて、統制されたアーキテクチュラルガバナンスとコミュニケーションプロセスは、SOAプロジェクトを成功させるために不可欠だ。
  • Con-way, Inc. プロジェクトの重要な成功要因は、最初から上級エグゼクティブの後援を得ることだ。もう一つの成功要因は、再利用できるかどうかにかかわらず、事前のモデリングやビジネス機能のサービスへの分割などの、SOA計画に対する全体的なアプローチだ。
  • Con-way, Inc.実装の成功は、セマンティックなデータの適切な定義によってなされる。それはデータ定義と信頼できるデータソースの識別に責任を持つ、データガバナンス機構を設けることで達成される。
  • SunGard Financial Systems. 重要な成功要因は、SOAプロジェクトを順調に進めることだ。それには各ステージの目的とスコープを明確に保ち、追跡し、測定し、報告すること、明確な役割と責務を定義することでチームが組織化されること、明確なマイルストーン、プロジェクト計画、リスク、課題、リソース割り当て、進捗報告などが含まれる。
  • Canada Health Infoway. 非常に正確で詳細な仕様が、全国共通の方式で定義され、公開される、重要なサービスのために必要だ。それはまた、HL7メッセージングなどのメッセージング標準や、サービス定義のための管理された医学用語集を利用するのにも、とても有利だ。
     

SOAコンペティションの結果は、SOAの実装が正しく行われれば、かなりの利益を生むことを裏付けるものだ。それはまた、「正しく行われる」ことが、実装面のすべて、エグゼクティブの賛同を得ること、ビジネスモデルから始めること、「アーキテクチャファースト」のアプローチ、適切なSOAの分解と適切なガバナンスを含むことも示している。

原文はこちらです:http://www.infoq.com/news/2008/10/SOACase

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