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JetBrains のメタプログラミングシステムは言語指向プログラミングと DSL をサポート

JetBrains(リンク)の新しい言語指向プログラミングツールMPS(Meta Programming System: メタプログラミングシステム(リンク))を利用すると、開発作業時にプログラミング言語を拡張したり、企業アプリケーション用のドメイン固有言語を作成したりすることができる。JetBrainsの開発チームはこのほど、MPSソフトウェアのβ版を公開すると発表した。

MPSを利用すると、新しい特別仕様言語を作成したり、既存の言語を拡張したりすることができ、そのような言語を使ってドメイン指向のアプリケーションを開発することも可能になる。また、言語のtypesystem、制約、専用エディタを定義して、新しい言語を作り出すこともできる。MPSには、プロパティ、子、参照を持つノードで構成される抽象構文木のコードを維持し、プログラムのコードを完全に記述する機能がある。新しい言語を作成する場合、開発担当者はコードの編集とレンダリングの規則を定義する。また、言語のタイプシステム要素も指定することができる。したがって、その場でプログラムを確認して、エラーが発生しにくい新しい言語を使ってプログラミングを行うことができる。また、MPSでは生成的アプローチを採用しているため、言語は高いレベルで記述され、Java、XML、HTML、JavaScriptなど、ほかの言語でコンパイル可能なコードが生成される。MPSで新しい言語を作成する場合は、BaseLanguageを拡張する必要がある。また、MPSにはBaseLanguageを拡張する便利な機能がいくつか付属しており、文字列、収集、日付、正規表現などを処理することができる。

LOP(Language Oriented Programming: 言語指向プログラミング)は、新しいスタイルのプログラミングであり、従来の言語でクラスやメソッドを作成するのと同じ感覚で、特殊な言語を作成し、その言語を使ってソフトウェアを作成したり、必要に応じて言語を拡張したりすることができる。Martin Fowlerはブログの記事で(リンク)、IDEのツールとして使うことで言語指向プログラミングを現実的なアプローチにするLanguage Workbenchesについて取り上げており、MPSをLanguage Workbenchのツールとして使用することについても記事を書いている(リンク)

MPSはDSLを作成する際にも役に立ち、特別な言語エディタなど、任意の新しい言語に対する制約を定義することができる。特定分野の専門家が従来のプログラミングに精通していない場合は、MPSで、その分野に固有の専門用語を使って、ドメイン固有言語を処理することができる。

MPSは完全に無料のソフトウェアであり、ソースコードの主要部分はApache 2.0のライセンスl(リンク)に基づいて公開される。2003年に研究プロジェクトとして始められたものであるが、JetBrainsの開発担当者はこのソフトウェアを使っていくつかの新製品を開発してきた。JetBrainsの開発チームは、MPSのβ2版を来月に、バージョン1.0を2009年の第1四半期に公開することを目指している。これ以外にも、JetBrainsはIDEツールであるIntelliJ IDEAの新しいバージョン(Ver. 8.0(リンク))とチーム協働ツールであるTeamCityの新しいバージョン(Ver. 4.0(リンク))を去る11月に発売している。MPSの原理に関するさらに詳細な考え方(リンク)や新しいβ版はJetBrainsのWebサイトで公開されている。このツールの詳細を知るためのユーザーガイド(リンク)、チュートリアル(リンク)、ブログ(リンク)も用意されている。

InfoQは、MPSソフトウェアの特長とプロジェクトの今後のロードマップについて、JetBrainsのMPS開発チームを率いているKonstantin Solomatov氏の話を聞く機会を持ち、その場でEMF(Eclipse Modeling Framework(リンク))やoAW(openArchitectureWare(リンク))など、ほかのモデリングツールやコード生成ツールとMPSとの違いについて尋ねた。

MPSは、EMFやoAWとよく似た概念に基づいたソフトウェアです。これらのテクノロジーではすべて、メタモデルを作成することができ、メタモデルのエディタだけでなく完了、モデル変換(MPSでは「ジェネレータ」と呼んでいます)といったその他の要素も記述することができます。EMFモデルは通常グラフィカルエディタで編集するので、ボックスとラインを使って要素を表現する図を作成することができます。この方法はER図などではうまく機能しますが、比較的完成度の高いソフトウェアを作成する手法としては適していないと思います。

oAWの最も興味深い部分はxTextフレームワークです。このフレームワークは、テキスト形式のDSLを定義してEMFモデルに解析することができます。しかし、この手法による言語の作成には限界もあります。ファイルの内部にある言語を組み合わせたい場合、生成される文法が不明瞭なものにならないということ、つまりすべての入力に対して、1とおりの解釈しかできないことが確実である必要があります。これは、テキストベースの言語ではほぼ不可能なことです。たとえば、2つの異なるベンダーが、Javaに金銭的価値のサポートを組み入れる言語を作成したいと考えるかもしれません。どちらのベンダーも、新しいお金の種類を言語に付加します。新しい種類の両方を使うコードがあるとしましょう。そのような、お金の種類の変数が記述されたファイルを解析した場合、その種類が最初の言語からのものなのか、それとも2番目の言語からのものなのかを判断することはできません。

MPSの場合は、モデルを抽象構文木として保存し、直接編集することができます。コードはテキスト風であり、挙動も多くの点でテキストと同じです。しかし、コードをテキストに変換したり、テキストをコードに変換し直したりすることは絶対にないので、文法の不明瞭さについて心配する必要はありません。

MPSでは、言語の文法も作成できるようである。この機能は、Oslo(リンク)やOMeta(リンク)といったツールに備わっている類似機能とどこが異なるのだろうか。

MPSはテキストベースではないため、テキストベースの文法は一切ありません。言語の定義は、その言語の抽象文法である抽象構文木の構造を定義することによって行います。MPSにはテキストベースの文法はないため、言語の互換性に関する問題はありません。各言語は、本質的に互換性があるからです。OsloもOmetaもテキストベースであるため、xTextと同じような問題があります。

言語のパーサーの定義しかできないOsloやOmetaとは異なり、MPSにはエディタ、制約、タイプシステム、データフロー分析、ジェネレータといった付加的な機能が備わっています。

JetBrainsの開発チームがMPSをモデリングツールや開発ツールとして使用している新製品にはどのようなものがあるのだろうか。

そのような新製品の1つに、2009年の第1四半期に公開予定のJetBrains問題追跡プログラム(コード名: Charisma)があります。Charisma(リンク)は、100%MPSで記述されたプログラムであり、MPS自体やTeamCityなどの製品の問題追跡プログラムとしてすでに使われています。Charismaの開発中に、MPS版のJ2EEのような役割を果たすWeb開発言語を数多く開発しました。

MPSプロジェクトの今後のロードマップと新しい機能について。

β版の主な目的は、MPSユーザーの意見を収集して、今後のロードマップを決定することです。バージョン1.0の発表を計画していますが、このバージョンの公開以前には、大きな変更点や新しい機能の追加はありません。2009年の第1四半期にMPS 1.0をリリースしたら、さらに将来を見据えたロードマップを発表するつもりです。そのロードマップに、デバッガーのサポートや、UIを定義するための言語など、いくつかの新しい言語が盛り込まれるでしょう。

 

原文はこちらです:http://www.infoq.com/news/2008/12/jetbrains-mps

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