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SOAの教訓をWeb 2.0に生かす

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IBMの有名エンジニアKyle Brown氏とRachel Reinitz氏が新しく書いた記事(リンク)は現在のWeb 2.0のアプローチについて触れるとこから始まっている。

新しい技術が生まれると旧来の技術でおこなってきた全てのことは廃れて消え去っていきます。一見すると、新しいWeb 2.0の登場もそのような変化を起こすように思えます。新しいWeb 2.0テクノロジの中心的な提唱者たちはSOAPサービスを捨てよと訴えるでしょう。SOAPやWSDLではWebアプリケーションを長期に渡って維持することはできず、それどころか利益をもたらしもしないと言うでしょう。(中略)RESTはある種のサービス、特にインターネットに露出するサービスや Ajaxクライアント向けのサービスを作ることを簡単にしましたが、SOAPやWSDLやWS-*仕様を適用する方がメリットのあるウェブサービスもまだあります。またSOAPのタイプによってはそのサービスをRESTサービスに変換することでWeb 2.0の波に乗ることもできるかもしれません。特にデータ指向のサービスにおいてはそうです。

彼らはいくつかの有名なエンタープライズ向けSOAで得られた教訓がどのようにRESTの導入で活かされているかの説明もおこなっている。

新しいビジネスモデルを可能にすること。これはSOAの主な売り文句のひとつで、大抵の場合、企業のビジネスプロセスの柔軟性が向上することで新しい市場や新しい地域へのリーチを企業が得ることを意味する。同じようにWeb 2.0技術は顧客やビジネスパートナとの新しいつながり、コミュニケーション、コラボレーションを生む。

Web 2.0の考え方はさまざまな方法で新しいビジネスモデルを加速することに応用できます。Web 2.0と同じようにビジネスでもコミュニティが作られ、ユーザが重要なデータを生み出し、ユーザを取り巻く生態系が生まれ、ユーザとコミュニケーションをおこなうための新しい手段が現れ、情報を「マッシュアップ」することで新しいものや見方が生まれます。(中略)これはもちろん単純化した話ですが、もしリッチなユーザインターフェース、Atomフィード、RESTfulサービスにだけ目を向けて、Web 2.0をクールな技術であるとしか見ないなら、Web 2.0がビジネスを根本的に変える可能性をもっていることを見逃してしまうでしょう。

ビジネスコミュニティに伝えること。SOAの導入を成功させる(参考記事)主な条件のひとつは、導入にかかる投資額と、投資に対するリターン(ROI)の両方を簡潔に示すことでビジネスとITとのバランスを取ることです。

・・・ビジネスの価値をなるべく具体的にし、さらに、Web 2.0を採用するのに必要な投資に対するリターン(ROI)の見通しを立てる必要があります。(中略)必ずしもビジネスコミュニティがディベロッパと同じように新しい技術について騒ぎ立てるとはかぎりません。そのため、Web 2.0をうまく促進するには(おそらくディベロッパに対して既におこなっているように)ビジネスコミュニティが分かる言葉でビジネスコミュニティに伝える必要があります。

確固とした方法論を基礎にして導入を促進すること。SOAの別の成功要因なってきたのは、SOAの方法論の基礎となっている実践、やり方、ルールだ。この記事では、ビジネスユーザの関心を集めるのと同時にビジネスユーザがビジネスとITのバランスを理解する上で助けになるものとしてサービス指向モデリング・アーキテクチャ(リンク)(SOMA)とコンポーネントビジネスモデル(リンク)(CBM)を引き合いに出している。Web 2.0を成功させるには、既存のSOAおよびオブジェクト指向設計の手法を発展させた確固とした方法論的な基盤も必要になる。

・・・ Web 2.0アプリケーションがターゲットにするコミュニティを把握する方法と、そのコミュニティでのコミュニケーションスタイルを把握する方法も必要になります。(中略)またビジネス価値を決めることも必要で、それは自分たちのサービスをコミュニティに評価してもらうことから得られます。さらに、連携するのにふさわしいアプリケーションやリッチインターネットアプリケーションにするのにふさわしいアプリケーションを把握するために、SOMAのサービス特定法とサービスのリトマス試験を拡張したり変更したりして、サービスごとの違いを知ることも必要でしょう。

ビジョンを持ち、ロードマップを描き、計画を遂行すること。SOAを成功させる別の要因は、全体的なビジョンを持つことと、プロジェクトをそのビジョンへ向かわせるように実行することだ。

「リアルな」計画がないまま、Web 2.0についてのビジョンとロードマップ(実装インフラとフレームワークを含みます)にだけフォーカスすると、インフラや手法が計画に必要な要件を満たさなかったり、チームにロードマップ/アーキテクチャ/フレームワークを守らせることが難しくなったりするリスクを大きくすることになります。もし独自の Web 2.0プロジェクトをビジョンやロードマップなしに、そして一般的なフレームワークなしに始めるのであれば、ビジネス価値を低下させたり、学んだことのあることを再びやり直したり、プロジェクトでコードの再利用をしなかったり、プロジェクト共通のインフラややり方を築かない、といったリスクをおかすことになるのです。(中略)初期段階のプロジェクトは価値を生み出すほどのものである必要はありませんが、必ずそれらは新しい技術やビジネスモデルについての経験を積む機会となります。

ガバナンスを軽視しないこと。SOAガバナンスの重要性(参考記事リンク)を強調する書籍は多い。

Web 2.0の原則によったアプリケーションが出てきた時に分かったのは、Web 2.0を取り入れる主な理由がコミュニティ内のコミュニケーションとコラボレーションを円滑にして情報を共有することにあるとすれば、Web 2.0のガバナンスは大変なものになるだろうということでした。RESTfulなサービスやAtomを使ったサービスが出てくると、それはより明確な問いになりました。サービスの利用を阻害することなく、かつユーザによる資産の形成を阻害することなくコントロールをするにはどうすればいいか?もしコミュニティ形成の社会学的な側面がガバナンスによって制限されすぎれば、コミュニティが活気づくことはありません。一方で、多くのオンラインコミュニティが不十分あるいは不適切なガバナンスのために汚染されています。コミュニティに存在する価値のあるコンテンツを「ジャンク」に埋もれさせ人目から遠ざけてしまうことはあまりにも簡単に起きてしまうのです。

エンタープライズSOAと同じように、影響力をもつWeb 2.0技術は総じてエンタープライズをターゲットにするものだ。そのため、SOAから学ぶ教訓(参考記事)は成功例からであれ失敗例からであれ、Web 2.0アプリケーションの多くにもあてはまるのだ。

原文はこちらです:http://www.infoq.com/news/2009/02/SOALessonsWeb20

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