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アジャイル・ガバナンス:経営とITを結ぶ橋

従来のプロジェクトガバナンス(wikipedia)は、成功プロジェクトを確実にするために必要とされる、ルールやプロセスを述べるために使用されている。 従来のガバナンスは、プロジェクトの作業をプロセスの作業として管理しようとしている。しかしながら、タイムシートや費用、スケジュールの使用が、プロジェクトの利益やリスク管理、ステークホルダの参加、品質、スコープ、目標のコントロールのような、もっと重要な課題をはるかに上回っている。一見したところでは、ガバナンスの概念とアジャイルは両立しないように思われる。しかし大抵のアジャイリストは、過不足のないガバナンスが、アジャイルプロジェクトに悪いものよりも多くの良いものをもたらすかもしれないことに同意するだろう。

Andrew Clifford氏は、以下のガバナンスの利点(サイト)を述べている。

  • ITシステムが事業資産として管理されるので、株主の利益が高まる。
  • ITインフラの要求が測定可能な目標に置き換えられるので、業務とITの関係が改善する。
  • 経営陣が新しいインフラの利用を追跡して利用を強制することが出来るので、ITインフラへの投資利益率が向上する。
  • 技術的な、そしてコンプライアンスの課題が早期にわかるので、失敗プロジェクトが減少する。
  • 規則や内部標準の遵守は効率的なフレームワークの中で管理されるので、それらにかかる経費が下がる。
  • 経営陣はコンプライアンスの度合いが目に見えるので、標準の断片化に起因する長期的リスクやコストが減少する。
  • 業務システムのスチュワードとしての役割におけるITのパフォーマンスの評価が改善する。これは特に外部に委託された契約を管理するのに役立つ。

Matthew D. Laudato氏は、ガバナンスは多くの場合エンジニアリングが受け入れるのが難しい部分(サイト)であるが、ITに与えられた予算はVPやCIOによって説明されなければならない、と述べた。彼は、ガバナンスはアジャイルプロセスの一部となるべきであると薦めている。彼の意見では、

スプリントレビュー(各スプリントの終わりに行われる事後評価)の際に、プロジェクトの進捗を残りの業務に有用な形で正式に記録する手順を追加することは理にかなっています。 このレポートには少なくとも、どの機能が完成したのか、それらにかかったコストはどれくらいか、これらの機能を公開する計画はどうなっているか、そして今までに既知の要件の何パーセントが満たされているのかが含まれていなければなりません。

トヨタの竹内氏と野中氏(サイト)は、ガバナンスに関して次のような見解(サイト)を示した。

プロジェクトチームは主に彼らだけですが、彼らは野放しではありません。経営陣は十分なチェックポイントを設けて、不安定化やあいまいさや緊張が、無秩序へと変わらないようにします。同時に経営陣は、創造性や自発性を損なうような厳重な管理のタイプを避けます。その代わりに、「自制心」、「仲間からの圧力による統制」そして「愛情による管理」を重視します。

Ross Pettit氏(ブログ)によると、アジャイルガバナンスは2つの疑問に答える(サイト)ことになる。

  • 我々は金額に見合う価値を得ているのだろうか?
  • デリバリされたソリューションは我々の完全な期待に応えているのだろうか?

最初の疑問は支払ったお金の有効性に関するもので、目立ったスコープや完了した作業、総費用、正確な傾向の事実に基づいた測定で答えようと試みられている。2つ目の疑問はソリューションの完全性についてで、セキュリティやアーキテクチャ、品質、リスク等を含む、会社のあらゆる方針を扱うものである。Rossは優れたガバナンスは次のものをもたらすだろうと述べた。

「思いがけない出来事」の減少、信頼と信用の向上、そして戦略に沿った実行 - ITがそれ自身の問題にはまらないようにし、その後、ビジネスにもっと答えられるようにする。

このように、ガバナンスの重要性とそれがプロジェクトにもたらしうるメリットには十分に正当な理由があるが、アジャイルプロジェクトにガバナンスを導入する最良の方法は何だろうか?

Rossは次のアプローチを提案している。

  • もしガバナンスがアジリティを実現するものとなるのであれば、日々の活動で重荷とはなりえない。これを満たすには、重荷とならず継続的に組織を横断してデータを集める方法がなければならない。
  • ソリューションの完全性を評価するためには、ITガバナンスには、セキュリティやインフラ、アーキテクチャ、リスク管理、業務管理、PMO等を含む部門全体の積極的な参加がなければならない。その次に、ITのディシプリン一式からの参加がなければならない。
  • ITガバナンスは難解な高度な宗教となることはできない。そしてその代わりに、「家具の一部」でなければならない。我々は、全てのステークホルダと「母国語」で話せなければならないし、最も重要なことには、ビジネスにはビジネス用語で意思の疎通が出来なければならない。

Dean Leffingwell氏(ブログ)は、軽量なガバナンスのプロセス(サイト)を定義するための次のアプローチを提案している。彼によると、ガバナンスモデルは次のようでなければならない。

  • アジャイルが企業に意味するものを示唆するためにアジャイルのガイドラインを作成し、単体テストやふりかえり、スタンドアップ等に関して、アジャイルの権限を明確に定義する。
  • 軽量にし、3-5ページより多くしない。
  • 勧めはするが、規定しすぎない。

このように、アジャイル・ガバナンスは経営とITを完璧に結びつけるものとして役目を果たす。鍵となるのは、アジャイル環境の創造性ややる気を殺してしまうといけないので、やりすぎないことである。

 

原文はこちらです:http://www.infoq.com/news/2009/03/agile-governance

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