BT

最新技術を追い求めるデベロッパのための情報コミュニティ

寄稿

Topics

地域を選ぶ

InfoQ ホームページ ニュース 完了できないものに着手しない

完了できないものに着手しない

原文(投稿日:2009/4/8)へのリンク

多くのアジャイル・チームは、スプリントの終盤に近づくにつれ、新たなストーリーカードを手に取るとき、あるジレンマに直面する。それは、多少の時間が残されているが、今回は1つのストーリーを完了させるほどではないかもしれない、というものである。Scrum Developmentグループでの興味深いディスカッションでは、この懸案事項に対処し、解決策をいくつか見い出そうとしている。

ディスカッションを開始したAlan Shalloway氏は、次のように述べている(リンク)

仮に半分までコーディングしたものがある場合、どうなるだろうか?今度は(次のスプリントに回す未完了のストーリーで)あふれてしまいます。すでにあふれているならば、さらに追加するのは得策ではありません。どちらかといえば、開発者は、場合によって次のスプリントにあふれそうな他のストーリーを完了させるよう進めたほうがよいでしょう。仕掛中の作業には負の効果があります。われわれに必要なのは、負の効果の削減であり、決して新しいストーリーの追加ではありません。

この考え方は、新しいストーリーに着手するかわりに、完了を目前にし業務価値を高めるようなストーリーの完了により注力すべきである、と述べているようにみえる。

Rob Park氏は、あるスプリントから次のスプリントへ未完了のストーリーが多少持ち越されるのは健全な兆候であると提唱した(リンク)。これは、チームが一貫した速度で作業に取り組んできたということを示唆しているのであろう。仕掛中の作業がないということは、チームがアンダーコミットしており、スプリントの終了に向けて若干時間を持て余していることを暗示している可能性がある。

さらに、Jose M Beas氏は、スプリントの期間中、部分的に完了しているストーリーしかない場合は、そのストーリーを細分化しても良いだろうと付け加えている(リンク)。こうすることで、チームは、未完了の大きなストーリーを保持するのではなく、より小さなストーリーを完了させることができる。これに関連するInfoQの記事(参考記事)では、未完了のストーリーに対処する実行可能な選択肢として、ストーリーの細分化を勧めている。

Ron Jeffries氏は、未完了の作業を持ち越すのはそれほど有効ではないかもしれないが、ストーリーに着手しそれを次のスプリントへ持ち越すことは、スプリント期間中の週末、週明けまで未完了のストーリーを持ち越すことと大差はないと付け加えた(リンク)。氏によれば、スプリントの終了に向けて完了できるだけの有効なことがない場合は、新しいストーリーに着手するのも悪くはないとしている。

Philip Cave氏は、Jeffries氏の意見に同調し(リンク)、次のように述べた。

WIP(Work in Progress:仕掛品)は最小限に抑えますが、多少のWIPも必要です。いかなるプロセスも適量に供給されなければなりません。さもなければ、「生産ライン」は停止します。これはSWIP(Standard Work In Process:標準的な仕掛品)とも呼ばれています。
アジャイルにおけるタイムボックスの目的の一つに、(自らのフローを管理しやすくするために)SWIPを作ることがあります。また、別の目的として、顧客との短いフィードバック・ループの作成があります(誤りを防止するため)。このようにして、われわれは、適正な量の作業を定義し、適切なときに価値を生み出すことができるのです。

ディスカッション・フォーラムの大部分のアジャリストは、未完了のストーリーは、めずらしいことではなく現実的によくあることだとしている。次のスプリントに向けたスプリント計画期間において、未完了のストーリーのストーリー・ポイントは残作業の量に基づいて調整されなければならない。

では、スプリントの終盤では、新しいストーリーを取り上げるかわりに何をすればよいのか?

Alan氏は、次のように提案している(リンク)

次のストーリーのテスト仕様書作成により多くの時間をかける、多少の分析を行う、または未着手の事柄を片付ける、といったことがより適しているでしょう。

Philip Cave氏は、チームは自らの標準的な仕掛品を管理するのに適した問いかけをする必要があると提唱し(リンク)、次のように述べている。

サイクルの終盤に差し掛かり、残りのストーリーのストーリー・ポイントにより、そのサイクルでストーリーを完了させるだけの時間がないということがわかったならば、その時こそ、われわれが問う時です。もっと小さなストーリーを取り入れるのか、今すぐ顧客とのレビューをスケジュールするのか、次の作業サイクルに向けて「分析」ストーリーを取り入れるのか、あるいは、他のことをするのかと。

このように、共通するメッセージは、新しいストーリーに着手する前に、付加価値となるような様々な選択肢について、チームは評価すべきだということである。新しいストーリーに着手し、次のスプリントに持ち越すことで、最大の価値が導き出せるのであれば、意に反してこの方針を採用する必要はない。

この記事に星をつける

おすすめ度
スタイル

BT