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Oracleが計画したSunの買収はJavaにとって何を意味するか

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原文(投稿日:2009/4/24)へのリンク

Sun MicrosystemsとOracleが、OracleによるSunの買収をJavaにとっての大きな後押しとして称えている一方で、コミュニティの多くの人々は、Oracleがプラットフォームに対してどのような統制力を発揮しようとしているのだろうかと確信を持てずにいる。

 

両社は買収を公表する共同声明で次のように述べています。「Javaは、コンピュータ業界で最も良く知られたブランドであり、非常に広範に展開された技術として、Oracleが獲得した中でも最も重要なソフトウェアです。Oracleで最も急速に成長している事業であるOracle Fusion Middlewareは、SunのJava言語およびソフトウェア上で構築されています。Oracleはこの買収により、顧客とJavaコミュニティに恩恵をもたらすJava技術の革新と投資を継続的に確かなものとすることができます。」

Interarbor Solutionsの主席アナリストであるDana Gardner氏は、次のように同意している(リンク)。:

「取引の勝者には、非常に広い真の意味でJava自体が含まれます。OracleとIBMは最高のJavaベンダーであり、市場におけるIBM(およびその顧客と開発者)の力によってOracleはJavaをオープンかつ活気あるものに維持することを余儀なくされ、一方Oracleの統制的な傾向と商業上の成功はJavaを安全かつ唯一無二なものに維持するでしょう。」

また、OracleはJavaコミュニティにおいて長年続いている論争のいくつかを解決するかもしれないと考えられる。Eclipse FoundationのエグゼクティブディレクターであるMike Milinkovich氏は、OSGiが勝者になり得ると考え、InfoQに次のように話している。:

「OracleによるSunとJavaの獲得によって、Javaコミュニティにおける熱い論争の1つが解決される大きな期待が見込まれます。すなわち、Javaにおけるモジュラリティに関する技術的な方向です。OSGiは長年存在しており、そのユーティリティを、モバイル(リンク)からエンタープライズ(リンク)向けのミドルウェア(PDF)に及ぶ分野においてよく設計されたJavaモジュラリティソリューションとして実証してきました。OSGiは、程度の差はあれ、Oracleを含むあらゆる主要なJavaライセンサーによって採用されてきました。

ここ2~3年の間、Sunはおおむね「車輪の再発明」を行うという道を歩んでいたように見えました。Oracleが指揮を執るようになることで、Javaプラットフォームがモジュラリティの標準化モデルとしてOSGiを推進するようになる可能性があります。」

エンタープライズ分野ではほとんどのコメンテーターが、JavaはOracleによってそれなりに安全に保たれることに同意しているようである。確かに彼らはJava EEの長期にわたる支持者であり、JSFやEJBのものを含め多くのJSRに大きく関与している。そして、彼らが投資を続けなくても大して問題にならないと、SpringSourceのRod Johnson氏は主張している(リンク)。:

「...Javaプラットフォームを中心とする革新は長年にわたり、メガベンダーではなく、オープンソースを通じて開発者によって推進されてきました。コミュニティの革新によって、生産性は一変し、Sunに設計された石器時代のJ2EEから抜け出してエンタープライズJavaが推進されました。」

しかしながら、短期的効果は有害である可能性が高い。Alex Miller氏(リンク)は、Java 7が遅れると予想している。:

「新しい会社との統合は痛みを伴うプロセスであり、戦略を策定して、新しいIT、HR、その他のシステムに切り替えるために、ことによると一時解雇や、九分九厘は従業員による自主退職により、事業部門とチームを再編成するための時間が必要です。そのすべてがソフトウェアの構築から離れている時間を意味し、私にはJava 7の目標がすでに厳しいように思えます。私は、これによってタイムフレームが3~6カ月遅れを取るとしか想像できません。」

また、Javaエコシステムの他の部分、すなわち、ブラウザ、携帯電話、スマートカード、その他の埋め込みシステムに関する大きな懸念がある。Ars Technicaに関する記述で(リンク)、Paul Ryan氏は次のように述べている。:

「OracleにとってのJavaの価値はほぼ完全にサーバー市場に限られるため、Adobeの深く定着したFlashフレームワークと真っ向から競争する狙いのあるJavaFXのようなプロジェクトでブラウザにおけるJavaの現状を回復するというSunの取り組みを、Oracleが遂行したいと望む可能性は極めて低いと考えられます。

同様に、モバイル機器上のJavaに対するSunの新たな推進も、Oracleは不要であると見なす可能性があります。モバイル分野のネイティブツールキットとフレームワークへの傾向はJava MEを過去の遺物にしています。Java MEは、現在すべてのモバイルプラットフォームベンダーが真似ようとしようとしているiPhoneエクスペリエンスとまったく競合していません。モバイル環境におけるJavaの唯一の利点はデバイス間の一貫性であり、その一貫性は実際のところそれほど良くありません。」

とはいえ、Oracleは迅速な投資収益を実現したいと切望しているであろう。SunのJavaの管理に関して広く行き渡った神話は、Sunがその技術から財務リターンをまったく得られなかったということである。実際、サービス収益を無視すると、Sunは2008年度についてはJavaからの収益を約2億2000万ドル、2009年の第1四半期については3400万ドル計上した。この収益の多くは、エンタープライズISVとデバイスメーカー(特に、iPhoneやGoogleのAndroidからの圧力にもかかわらずJava MEの強力な支持者であり続けている携帯電話機のメーカー)にライセンスを付与することでもたらされている。JavaFXは、一般的にAdobeのFlashやMicrosoftのPCブラウザ用のSilverlightの競争相手として位置付けられているが、JavaFXは少なくとも、携帯電話と埋め込み市場におけるJavaの優位性を守る方法と同じくらい重要である。したがって、Oracleはおそらく、ここでの継続投資を価値があるものとして見なすであろう。また、Oracleはライセンスコストの引き上げに消極的であったことが一度もないため、Javaプラットフォームのライセンス価値を向上させる方法として、この確立した収益源を利用する可能性がある。このような状況において、HarmonyはJavaライセンス収益への短期的な脅威を明確に示しているため、OracleがApache Harmony論争に関して何を行うかを目にするのは興味深い。もしOracleがSunの戦略を実行してライセンス料の大部分をJavaブランドからJavaFXに移行することができたら、Harmonyのそれらに関する問題はずっと少なくなり、チャンスであるとさえ考えるかもしれない。この件に関して大々的にブログを書いたStephen Colebourne氏はいまだ懐疑的である(リンク)。:

「...私たちは、2007年12月からOracleがSunとの議論で積極的にASFをサポートしていたという明らかな兆しを得ています。

 

もちろん、それはSunに対する競争上の手段であったかもしれません。Oracleが権力を握った今、まったく違った形でその権力を行使することを選ぶかもしれません。」

より問題があるのは、残りのSunのJava指向のソフトウェアスタックである。Oracleは、NetBeansより優先してEclipseに公式に取り組んでおり、NetBeansのサポートをかなり疑わしいものにしている。GlassFishは、JBossに代わるものとして開発者の間で良い評判を確立しており市場シェアが急上昇しているが、いまだOracle所有のWebLogicから大きな後れを取っており、投資が打ち切られる可能性がある。2つのポータル提供(それぞれBEAポータルサーバーとSunポータルサーバー)について同様の事が言える。ある意味で最も興味をそそる問題は、JRocketとHotspotに起こることである。Alex Miller氏は、この2つのJVM実装は非常に異なっており、その両方に余地があるが、もしどちらか一方のみが生き残ることになった場合、リファレンス実装として、Hotspotのほうが生き残る可能性が高いように思われると指摘している。

もう1つの関心分野はJCPを通じたJavaの全体的管理である。Alex Miller氏は、Oracleが支配権を握ったにもかかわらず現状を維持しようとするのではないかと推測している。:

「IBMとOracleは、明らかに同じ領土権を主張し、同じ言語に賭けています。間違いなく、Oracleは、買収とその後のJCPの支配からすべての戦略的価値を引き出したいと思うでしょう。私は、彼らがよりオープンな組織を支持してJCPの支配をあきらめることを厭わないなんて想像できません。」

Forrester ResearchのJames Staten氏はさらに一歩踏み込んでいる。BusinessWeekの引用で(リンク)、Staten氏は、IBMのソフトウェアの多くが現在Javaをベースとしているが、Oracleは将来の製品においてライバルによるJava言語の使用に制限を課すことができると論じている。しかし、これは少しこじつけに思える。Oracleは、Javaにあまりに多くの制限を加えようとすると、獲得しようとしている重要資産の1つを弱体化させる危険を冒すことになる。James Gosling氏は、それに対して警告するに違いない。Computer Business Reviewにおける彼自身の役割(リンク)についての話で、Gosling氏は次のように述べている。:

「私は正しい方向で物事に影響を及ぼそうとしていますが、誰も制御できないほど大規模な人々のコミュニティがあります。誰かが試みたとしても、コミュニティがすべて台無しにするでしょう。」

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