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OASIS,SOA 参照アーキテクチャ基盤の新ドラフトを提出

原文(投稿日:2009/11/25)へのリンク

OASIS サービス指向アーキテクチャ参照モデル技術委員会 (The OASIS Service Oriented Architecture Reference Model TC) では先日,「サービス指向アーキテクチャのための参照アーキテクチャ基盤 (Reference Architecture Foundation for Service Oriented Architecture) バージョン1.0」 (SOA-ROF) 仕様を公開レビューに向けた委員会ドラフトとして承認した。

SOA-RAF は SOA 参照モデル (Reference Model for SOA,SOA-RM) 上に構築されている。実装に使用する技術,プロトコル,製品などに依存しない,抽象的なアーキテクチャ要素を定義するものだ。

この参照アーキテクチャは,SOA ベースシステムを実現するための完全な設計図ではありません。SOAベースシステム実現に必要なすべての技術を明確化するような技術マップでもありません。すぐれた設計の SOAベースシステムが保持すべきキー要素とコンポーネントを明らかにするものなのです。実際に SOA ベースシステムの構築管理に適用するには,多くの設計判断と技術選択を加える必要があると思います。

SOA-RAF は SOA ベースシステムの利用,実現,所有に必要な要素とその関連性に着目して,SOA 具体化の概念を定義する。キーとなる前提条件は次のようなものだ。

  • オーナーシップ境界を越えて分配されるリソース
  • オーナーシップ境界を越えて交流する人々とシステム
  • オーナーシップ境界を越えて存在するセキュリティ,管理,ガバナンス
  • 利用方法と目的に適した信頼性を持つメッセージ交換を主な手段として実行される,人々とシステムとの対話

結果的に SOA-RAF では,SOA を単一の複雑な機械ではなく,ひとつのエコシステムとして認識している。それは人々と機械とサービスが居住する単一の空間であり,その中で彼らは2つの目標 (自分自身の目標,上位コミュニティの目標) への到達を試みる。

SOAエコシステムを定義するキー原則は次のものだ。

  • SOA は,独立活動する参加者が相互に価値交換を行うためのメディアである。
  • 参加者(一般的に利害関係者)は,SOA を通じて取得したリソースの正当な所有権を持つ。
  • 参加者は,一連の方針や契約に則した活動規則に従って行動しなければならない。

SOA-RAF は3つの主要なビューポイントに対応するビューに分かれているが,これは関心の対象が分割されていることを反映したものだ。

「エコシステム的視点(Ecosystems Perspective)」のビューポイントは,人々がSOAベースシステムを用いてビジネスを行う方法について注目するものです。「サービス指向アーキテクチャ具体化(Realizeing Service Oriented Architecture)」 ビューポイントでは,SOA を構築する上で顕著な側面に注目します。そして「サービス指向アーキテクチャ所有(Owning Service Oriented Architectures)」 ビューポイントは,SOA を所有し,管理し,コントロールする側面に注目しています。

InfoQ では,OASIS SOA 参照モデル TC 主事の Francis McCabe 氏,および同主任の KenKaskey 氏と SOA-RAF について議論する機会を持つことができた。

InfoQ:

SOA-RAF とは何でしょうか。

FM:

SOA パラダイムのアーキテクチャに関する解説資料です。つまり,SOAベースのエコシステムを機能させるキー概念と,その関連性について解説したものです。

InfoQ:

SOA-RAF は何を目的としていますか。

KL:

SOA の概念と関連性について述べた RM に対して,RAF は SOA ソリューションに使用されるアーキテクチャ的な要素を明確化するものです。ソリューションを実現するには,さらにアーキテクチャの具体化が必要です。RAF だけでソリューションを構築することはできません。それでも RAF をガイドとして用いることで,具体的なアーキテクチャの中での RAF 的要素が明確になるはずです。

InfoQ:

Web サービス,REST サービス,SOAML などとの関連性について説明してください。

FM:

SOA-RAF はその目的とスコープにおいて,Web サービスや Rest サービスといった特定のテクノロジよりもはるかに上位レベルにあります。私たちは特定のテクノロジの適用を意識的に避けているのです。

それでも Web サービステクノロジへの適用方法を知りたいという希望に対しては,RAF は重要なガイダンスを提供します。サービス,セキュリティ,ガバナンスを利用し結合する分野と,真の SOA エコシステムとなるために必要な社会的構造において,取り組むべきキー要件を定義します。

SOA-RAF は 特定目的のための SOA エコシステム構築方法を解説するガイドではありません。そのような用途には SOAML が,実システムの個別事例を解明するための優秀なツールとなります。

InfoQ:

SOA-RAF の内容はどのようなものでしょうか

FM:

SOA-RAF は主として3つのセクション,あるいはビューで構成されています。第1のものは SOA エコシステムとは何かということについて,SOA システムを駆動する技術への関与や関連といった観点から取り上げるものです。2つめは SOA エコシステムを構築するためのキー要素である,機能説明の重要性, インタラクションとポリシーの重要性と役割,の2点を取り上げるものです。第3のセクションは,SOA エコシステムを所有することの意味に焦点を当てます。このセクションでは,SOAエコシステムのガバナンスとマネージメント,リブートされることのない大規模システムというコンテキストにおけるテストの意義,SOA エコシステムのセキュリティ面でのキーとなる局面,に注目しています。

InfoQ:

ジョイントアクション(Joint Action)について説明してください。

FM:

サービスの配信には,サービスの利用者と提供者のインタラクション(intercation)が必要です。SOA エコシステム参加者間のインタラクションは,電子的な手段で行われます。参加者たちは異なるオーナシップのドメインに所属している可能性がありますから,参加者同士がインタラクションを持つためには,それぞれが個々にかつ一斉に行動しなければなりません。個々に,というのはコミュニケーションの送信・受信の観点から,一斉に,というのは彼らが参加するインタラクションの観点から,です。

ジョイントアクションというのは,2人ないしそれ以上が参加する,すべてのアクションのことです。簡単な例はコミュニケーションです。すべてのコミュニケーションには話す人と聞く人が必要です。(ただしどちらも複数の場合があります)。どちらかの役割の人がいなければ,コミュニケーションは成立しません。本質的にはそれが,本来のジョイントなのです。

実際のところ,サービス提供者と利用者のインタラクションには,ジョイントアクションの概念的なレベルがあります。最低のレベルでは,単純にメッセージを送信・受信するのが基本的なジョイントです。もう少し上のレベルでは,コミュニケーションによって仲介されるアクションもまた基本的にジョイントです。アカウントをオープンする,緊急情報をブロードキャストする,品物を売買する,などがこれです。さらに上位のレベルでは,アクションは参加者の社会的ステータスに関連し,契約へのサインが参加者のステータスを変更します。約束が交わされ,方針が立案されます。これらの社会的なアクションもまた,基本的・本質的にジョイントなのです。

InfoQ:

今回のドラフトは,前回とどのように違うのでしょうか。

FM:

今回のドラフトには,ドキュメント上の改良点がたくさんあります。中でもエコシステムに関するビューは最大の改良点です。さらにガバナンスとテスティングという重要なセクションも追加されています。仕様自体の名称も変更しました。基盤(Foundation) ということばを追加したのは,私たちの作業と SOA ベースシステム分野における他の活動との関係に対しての謝意を表すためです。

InfoQ:

今後の予定を教えてください。

FM&KL:

RAF はかなり完成度が増したのですが,作業の継続を要することが明らかな部分もあります。特にガバナンスについては,本質的な部分は完了していますが,管理に関する解説の方法とそれがガバナンスの素材に不可欠なのか,あるいは現在のドラフトのように分離されるべきかについて判断しなければなりません。エコシステムの視点は前版のドラフトからの主要なワークですが,現在も完成に向けての重要な議題になっています。しかし現在の作業は順調ですので,その成果である仕様に対してのコメントを頂けたらと思います。

公開プレビュー は 2009年11月14日に開始され,2010年1月13日まで続く予定である。今回のドラフトは,SOAアーキテクチャ原理と理解のさらなる進行を目的としている。SOAソリューション実装時の基本デザインとなるものだ。

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