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エンタープライズSOA構想を実行するメリット - 新興企業にならう

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原文(投稿日:2010/02/25)へのリンク

Dion Hinchcliffe氏は、IT資産の価値を最大限に高めるために、どうやってサービス指向の構想を実行に移せば良いのかについて、詳細に検討している。氏はエンタープライズSOA構想の現状を、Web上でアクセスできるパブリックサービスのオープンAPIと対比している。これは特に新興企業("startup")を対象としたもので、観点としては、導入、製品化に要する時間、投資に対する最終的なリターン、そしてそのような知識のいくつかをどのようにエンタープライズSOAに適用できるかといったものがある。氏は次のように言っている。

ITと当時のオンラインの世界との間にある最も驚くべき違いの1つは、伝統的なサービス指向アーキテクチャとそれに対応するWebのオープンAPIとの対比に見ることができます。

氏はエンタープライズにおけるSOA構想の現状を嘆いている。氏によれば、2つの構想は目的を同じくしており、どちらも「異なる業務システム間の相互運用性を推進し、そうでなければ実現するのに難しすぎるか、資金や時間がかかり過ぎるようなチャンスをつかむことを可能にする」ものだ。しかし、SOA構想は未だWeb上で利用できるサービスの活動を示すことができていない。

SOAはほとんどの組織において、オープンAPIと同程度には業務上の緊急度が高くなく、このような観点に対して決定的に焦点が当てらることがありません。(中略)また現在、巨大な企業におけるSOA構想が、一般的に内部で行っている開発を公表することがないというのも事実なので、ほとんどの組織において何が作られ、あるいは使われているのかについての感触を得るのが一層難しくなっています。しかし、オープンサービスに対するこれら2つのアプローチの間に、重要な違いとそれによる帰結があるということは明らかです。これは両者が見かけ上同じ目的を持っていたとしてもそうなのです。その目的とは、異なる業務システム間の相互運用性を推進し、そうでなければ実現するのに難しすぎるか、資金や時間がかかり過ぎるようなチャンスをつかむことを可能にするというものです。

氏は、これら2つのサービス実現性が持つ外見上の対比は、エンタープライズにおいてROIを直接的に測ることの難しさに帰することができるとする。SOA構想は伝統的に企業の内部に向けられたものだったからだ。反対に、パブリックなWeb APIは新興企業に対し、サードパーティとの相互運用性と協業によって戦略的なアジリティを提供し、再利用できる部分の巧みな発見を促進することで、顧客に価値を提供している。

BurtonグループAnne Manes氏、およびMashery.comのCEOであるOren Michels氏との会話に基づき、Hinchcliffe氏は次のように観察している。

ITグループは、技術やインフラに注力する時間を減らさねばならず、代わりに計測可能な業務的価値を提供するシステム(すなわちサービス)を提供することに集中しなければなりません。

提供するWebサービスを使ってくれるパートナの広がりをうまく利用することで、それらサービスをより良いものにすることに注力することができます。これは他者との差別化をしているものに集中することができるということです。

氏は「伝統的なエンタープライズSOAはオープンAPIの世界から学ぶものが多い」と強く主張し、SOAを新興企業のように実現するためのガイダンスを提供している。その際、価値を推進するような主要な考慮事項を強調し、Web上で利用できるサービスAPIから考え方を借りることをエンタープライズに推奨している。

  1. 使いやすさ どのようなプラットフォーム、ツール、プログラミングからでもサービスを利用できるようにする。
  2. 報告/課金 何にコストがかかっているかを顧客にはっきりと理解させることが推奨されます。これはリソースを賢く使うためです。また、顧客が何を使っているのかを見えるようにすることで、ポジティブなフィードバックループが用いられ、サービスの適切で賢い利用が促進されます。
  3. アカウント管理 オープンAPIはどれも、誰が使っているのか、あるいはカスタマサービスの提供や利用の追跡、アカウンタビリティの生成のために誰が使われているのかということに強く結びつけられます。またこのことは、クラスの異なる顧客に対するサービスレベルの質や、その他のより洗練された尺度にとっても本質的なものです。
  4. セルフサービス パブリックAPIの主要な側面の1つに、時間のかかる企業対企業の交渉や提携の過程を経ることなく利用できるというものがあります。
  5. 開発者コミュニティ APIは開発者が利用するにあたって、群を抜いて魅力的で使いやすい選択肢を提供できるかということにかかっています。もし最初の概念実証("proof-of-concept")がうまくいけば、APIはそこで業務上の関係となります。
  6. 公正なライセンス 理想的なライセンスとはAPIサービスの利用者が、業務を行う上でその機能を再利用できるようにするものであり、そのようなライセンスは、APIをできる限り柔軟な仕方で利用できるような合法的権限を提供するものです。 

Hinchcliffe氏は、SOA構想がWeb上のサービスAPIと似た機能を提供できるようにするためにはどのように優先順位をつけ直せば良いのかについて興味深い視座を提示している。そこで考慮されているのは、開発され、市場に出され、協業に用いられた経緯であり、パートナが業務的価値を最大化するために、台頭しつつあるクラウドアーキテクチャに手を伸ばして活用できるような機会を提供するものでもある。

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