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'C' ワードはアジャイルコミュニティを分裂させるか?

原文(投稿日:2010/04/06)へのリンク

Scrum 認定制度 (Certification) に関しては,これまでにも数多くの 意見が出されてきた。アイデアに賛同する人がいれば,徹底的に反対する人もいる,といった具合だ。最近では,認定制度に代わるものを提供しようとする活動 も行われている。Ron Jeffries 氏はこれまで Scrum Alliance (SA) 認定制度のよい面について書いてきたが,最近になってこの忌まわしい 'C' ワード (C で始まる用語,ここでは Certification) が,アジャイルコミュニティの主要メンバの多くを遠ざけてしまうのではないか,と危惧するようになった。

Ron の意見によれば,Alliance は例の 'C' ワードを使い続けることで,主要メンバたちとの関係を悪化させている,という。

アジャイルコミュニティの重要なメンバの多くが,Scrum Alliance とその C ワードがもたらす混乱の予兆に対して,私のように禅の静寂を持って対処することができず,怒りをあらわにしていることを心配しています。その中には私の友人もたくさんいます。彼らは自らが正しいと信じることを実行しているのですが,代償は小さくありません。

Ron はさらに,'C' ワードを巡って続くこの闘争が「劣悪なソフトウェア」という本来の敵と戦う力を弱めている点を指摘しつつ,Scrum Alliance が現存メンバのさらなる成功と幸福を実現しながら,この言葉を撤回する方法を見つけるように提案する。

私はこの文章で Scrum Alliance (と scrum.org) に要求します。あなた方の提供するものから “認定(certified)” ということばを削除してください。人々への真の価値提供に基づいた収入モデルを構築してください。PDF の資格証明書に $50 の値段を付けたり,REP(認証機関)ライセンスに追加費用を求めたり,さらに “認定” トレーナになることに費用を要求するようなまねは即刻止めるべきです。Scrum Alliance — そして Ken,あなたも — の価値を,人々へのさらなる成功と幸福の提供に置くことです。

Ron のこの意見に対して Tobias Mayer 氏は,当初は自分も 'C' ワードの使用に反対していた が,それなしには Scrum の普及が非常に制限されたものになる,という事実を現在は受け入れている,と述べている。さらに氏は,'C' ワードが多くの企業において,従業員に予算を割り当てる上で明らかに有利に働く点を指摘する。

そうであっても,マネージャや人事担当者から “Scrum なんとかの資格を取ってこい”,と命令されてやってきたような,やる気のない大勢の中にも,Scrum に何かしらの驚きと素晴らしさ,今後の仕事のやり方を変えてくれる新しい考え方や行動の仕方,などを見出すことのできる人がいるかも知れません(いや,実際にいるのです)。そのためであれば私は,くだらない無意味な認定制度も,この例のように希少ながら素晴らしい変革に向けられがちな侮辱や負け惜しみも,すべて受け入れるつもりです。

Tobias の発言の実例である Kim Selletin 氏は,自らが仕事の上で Scrum に大きな影響を受けた経験によってそれを裏付ける。氏はさらに,会社がコース受講のために自分をオーストラリアからサンフランシスコまで呼んでくれたのは,公的な認定資格があったからこそ,とも発言している。

さらに Tobias は,'C' ワードの排除に時間を費やすよりも,そのプロモートに努めるべきだ,と主張する。なぜなら,George Dinwiddie 氏の言っているように 認定が新たな交流につながる からだ。

氏の意見に賛同する Nigel 氏は,SA(Scrum Alliance) 認定資格は変革への入り口としては決して悪いものではない,と付け加えている。さらにもし SA が 'C' ワードの提供を止めたならば,そのギャップを埋めようとする営利目的の組織がたくさん現れるだろう,とも言っている。つまり,

“認定” を廃止すれば,それに取って代わる機会を志の低い輩に与えてしまうことになります。(Accenture Certified ScrumManager の方はいますか?) 最終的にはいつもの “知識” と “資格” の対比の議論なのです。きっと何年も続いて,簡単には終わらないでしょう! そんなことに取り組むべきだとは到底思えません。どちらの側にも強い意見がある,それが理解できれば十分ではないでしょうか。

Nigel 氏に対して Paul Bekford 氏は,組織が変化のための意識を持たない限り, 認定資格が変革に結びつくことはないだろう,とコメントしている。重要なのは考え方であり,それは資格制度などで変えられるものではない,と言うのだ。

この問題に別方向での解決法を探る Tobias は,本来の変化とはそれ自身から始まるものだ,と言っている。氏は SA に対して 'C' ワードの廃止を求める代わりに,CST (Certified Scrum Trainer) が認定制度とは無関係に CSM (Certified Scrum Master) を指導し,その結果を評価してみてはどうか,と提案する。これは認定制度の問題を,違う方法で解決するものなのかも知れない。

このように 'C' ワードの扱いについては,異なった視点が未だに続いている。アジャル信奉者のあるものがそれを Scrum 運動の成果であると考え,別のものが被害として捉えているような状況だ。その一方で,中心的なアジャイル信奉者達との分裂を危惧する Ron は,次のように述べている。

私が心配しているのは,ほとんど欺瞞に等しい認定制度のせいでアジャイルコミュニティが分裂してしまうことです。これは望ましいことではありません。

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