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アジャイルへと向かう組織:慎重に歩こう

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原文(投稿日:2010/04/27)へのリンク

ほとんどの組織は、組織全体のアジャイル・トランスフォーメーションを実行するために、アジャイルコーチを雇う。その目的は、コーチがビルから去るまでに、無駄のない健全な組織にすることだ。ほとんどの場合、トランスフォーメーションはパイロットチームから始まる。しかし、トランスフォーメーションがチームレベルだけで始まり、周りの組織が参加していないのなら、エンドツーエンドのデリバリー・プロセスを改善して維持するというトランスフォーメーションを実現するのは非常に難しいだろう。

アジャイルコーチは、組織のトランスフォーメーションで何がうまくいかないのか、その考えを教える。Dave Nicolette氏は問題を2つのメタ失敗モードに分類する。

ひとつは「アジャイルコミュニティ問題」だ。これは個別のチーム、ソフトウェア原則やテスティング原則、チームの改善を支援することにフォーカスしすぎることだ。ほとんどのコーチはチームを手助けするために雇われており、組織にフォーカスしていない。もうひとつのメタ問題は「自分たちの失敗ではない」という問題だ。

一般的によく見られるマネジメントは、プロセスで煙が出ているところに、あらゆる火炎抑制剤を直接投入するというものです。火がついているのが最初に見つかったところではありません。従来の組織には、(特に)他人のせいにして、情報を隠すという特徴があるため、デリバリー・プロセスにおける問題はすべて下流へと押しやられ、プロセスの途中で報告される評価指標からは好ましくない部分がすべて削除されます。デリバリー・プロセスの終端に到達するまで、常にスコアカードはすばらしく見えるのです。

改善を始めるのにチームは最善の場所ではないかもしれない、とDave氏は言う。コーチは潜在的に最も弱いリンクを見つけるために自分で組織を調査すべきであり、それが認められるべきであると。

Rob Myers氏はトランスフォーメーション・プロセスにおけるすぐにわかる落とし穴について語っている。彼は先にやるべき最も重要なことのひとつとして、「経営陣を早期にトレーニングすること」を挙げている。

マネジメントはプロセス全体を始める前に、まずアジャイルについて学ぶべきだ、とRob氏は言う。そうすれば、マネジメントはチームがどのように機能すべきで、 「サーバント・リーダーシップ」や「自己管理したチーム」の背景にある真のコンセプトを理解すべきかがわかるだろう。Jean Tabaka氏はこれを、致命的な導入の失敗だと考えている。彼女によると、

「私たちはアジャイルへと向かいます」と発表する幹部は、意味のある情報や、意味のあるコミットメント、成功の基準を変えるための準備といったものを示さずに、単にチームを混乱させているだけです。アジャイルの導入に成功すると、情熱的に参加するエグゼクティブスポンサーと常に連携できます。

Rob氏はさらに、アジャイルへと向かう組織のために次のようなアドバイスをしている。

  • コーチにトレーニングをさせよう – すぐにコモディティ化を求めるのではなく、コーチに十分テストされたアプローチをとらせよう。
  • コーチにチームとコミュニケーションさせよう – チームはいつも締切という壁に直面している。このことがコーチにとって妨げになるべきではない。
  • マイクロマネジメントをしてはいけない – 時間は生産性と等価ではない。創造性や判断力が必要なときには特にそうだ。(アジャイルコーチングのようなソフトウェア開発にはどちらも必要だ)。
  • フィードバックを経験せずにプロセスを定義してはいけない – 人から聞いたり本を読んだりして、プロセスを定義している組織が多い。そうしたプロセスは自らの状況にぴったり当てはまるわけではない。

このように、組織には覚えておくべきことがたくさんある。しかし、アジャイルコーチが間違っていることもある。Lyssa Adkins氏はトランスフォーメーション・プロセスにおいて間違いなく問題になるであろう7つのコーチの人格、という興味深いリストを提案している。そこでは、トランスフォーメーションを失敗に導くアジャイルコーチの人格として、以下を挙げている。

  • スパイ – 振り返りのためだけに、チームを観察するのにちょうど足りるだけの時間を費やす。
  • カモメ – いくつかのミーティングにサッとやってきては、またどこかへ飛んでいく。
  • 意固地 – 自分の意見にこだわり、チームにその議論への関心を失わせる。
  • 管理者 – ミーティングの手配や管理業務など、不要な仲介者として振る舞う。
  • ハブ – チームメンバ間のコミュニケーションのハブとして振る舞う。
  • チョウ – チームからチームへと動き回り、十分フォーカスできていない。
  • 専門家 – あまりに細部を重視して、全体像を見失っている。

このように、組織とコーチは慎重に行動する必要がある。重要なことは、パイロットチームよりも高いところにいて、組織全体を見ることだ。Dave氏は次のようにまとめた。

やめるべきことは、まるでレスキューヘリから機能不全の海のど真ん中にいる「チーム」に飛び降りて、数枚のストーリーカードをチームルーム兼用の会議室の壁に貼るだけで、意味のある持続可能な組織の変革が起こるのを期待することだ。そんなことは起こらないんだ、友よ。

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