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モチベーション 3.0:McGregor氏のY理論が有効

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原文(投稿日:2010/05/11)へのリンク

McGregor氏のX理論が示唆しているのは、従業員とは先天的に怠惰な存在で、可能であれば仕事を避けるし、また先天的に仕事が嫌いだということだ。したがって、従業員は念入りに監視される必要がある。それに対してY理論が示唆するのは、従業員には志があり、自発的で、セルフコントロールができるというものだ。従業員は、仕事という精神的身体的な義務を楽しむのである。ほとんどのアジャイルチームはY理論と結びつきたいと考える。Mike Griffiths氏はこのことを容易に達成するにはどうすればよいかについて提言する。

Griffiths氏によれば、モチベーション1.0は、Maslowの欲求段階説で言う基本的な欲求を満たすものだ。モチベーション2.0は、伝統的なアメとムチ型のマネジメントだ。これは「If-Then」の論理に基づいている。もしこれをすれば、あれが手に入る、というわけだ。Griffiths氏はこのタイプのモチベーションには根本的な問題があるという。氏の論を引用しよう。

IF-THEN型報酬の問題は、最初その報酬が気に入ったとしても、すぐに飽きてしまうということです。そして報酬を私たちが興奮する水準にまで高め続けることは不可能ですから、私たちはその報酬に慣れ始め、条件を満たせずに報酬が得られなかったり、さらにはその報酬が無くなったりすると、がっかりしてしまうのです。

Daniel Pink氏はアメとムチ以上のものが必要だと提言する。モチベーション3.0は以下の本質的な概念に基づいている。

  • 自主性("Autonomy")
  • 熟達("Mastery")
  • 目的("Purpose")

これらの概念をアジャイルチームに当てはめた場合、自主性は現在のプロセスやプラクティスをはるかに越えて行かなければならないとGriffiths氏は提言する。チームはスタンドアップのためにその場所にいるというだけでなく、実行するタスクやそのための時間や技術について決断し、自律したチームを作る自主性を持たなければならないというのだ。氏は結果に基づく組織という概念を強調する。これについて氏はSemcoの例を引用している。 この会社は完全結果志向の職場環境 (ROWEs)の代表例である。

熟達とは、自分が情熱を傾けることを行う喜びである。人は「集中("Flow")」した状態に入る必要がある。

「集中」とは時間が消え、タスクに没頭した精神状態を記述する優れた用語です。集中した感覚は、職場環境が次々と障害を置く場合には見出し難いものとなります。このような障害は、私たちが気に入った役割を果たす時間を制限するような管理規則であったり、集中するにはあまりにも多くが制限されたプロセスである場合もあります。

目的とは、自分たちが行っている仕事には単にお金を稼ぐこと以上のものがあると信じさせることだ。Griffiths氏は以下の例を引用している。

これこそが、TOMS Shoesのような会社が作られた理由です。この会社は靴が一足売れるたびに貧しい国に靴を一足寄付しているのです。買い手は自分たちの買い物がチャリティーに役立っているので気持ちがいいですし、TOMSの従業員も株主への価値を生み出す以上のことをしているので気持ちがよいのです。

アジャイルチームはそこに達しているだろうか?

Griffiths氏によれば、アジャイルチームにとって良いことに、潜在的にわずかな努力でモチベーション3.0に達することができるという。タスク、技術、チームの自主性は本質的にアジャイルによって推進される。時間という側面も、カンバンによってその地位を築いている。さらにチームは、職人技への情熱を鼓舞し、コードキャンプ、カンファレンス、プレゼンテーションといったローカルなイベントを開催することで熟達を普及しなければならない。これを別にしても、チームは自分たちが行っていることの目的を探し始めなければならない。

あなたのプロジェクトは会社が環境的な責任をより果たせるようになることに貢献するかもしれませんし、コミュニティのイベントを開くサポートをするために自分の役割を利用することができるかもしれません。チームビルディングのためのイベントにおける「押し付けられた楽しみ」や「作られたモラル」は、多くの人にとって退屈なものとなっています。しかし、「人間性を作り上げるための環境」やそのような具体的な利益と結びつけられれば、突然私たちは目的というモチベーションを持ち、チームビルディングが持つ副次的な作用を享受できるようになるのです。

このようにアジャイルチームはモチベーション3.0ときわめて近い場所にある。適切な自主性を与え、熟達を促進し、目的を定義することが鍵である。これらが組み合わされることで、チームが持つ真の潜在能力が解き放たれるのである。

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