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アジャイルコーチング、牽引役を得る

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原文(投稿日:2010/05/20)へのリンク

今や、アジャイルコーチングはアジャイルチームの中やその周辺に本質的な役割として現れている。新しいチームにはアジャイルコーチングの基本原則が必要だが、有能なチームでも時々アジャイルコーチングを見失うことがある。素晴らしいチームはより優れたアジャイルコーチングを求めている。アジャイルコーチングが注目されるようになったのだ。


Lyssa Adkins氏

例えば下記の事例をアジャイルコーチングの興隆の証拠に挙げられる。

  1. Agile 2009ではカンファレンスのトラックとしてコーチング'ステージ'がもうけられた。
  2. 今やコーチング技術やアジャイルチームのコーチングについてのトレーニングクラスが存在する。
  3. Rachel Davies氏は既にAgile Coaching(Pragmatic Press)を出版している。
  4. スクラムアライアンスは比較的新しい、より高いレベルの資格である認定スクラムコーチを用意した。

そしてAddison-Wesley社はLyssa Adkins氏によるCoaching Agile Teamsという本を出版している。

InfoQは著者であるLyssa Adkins氏にアジャイルコーチングについていくつかの質問を投げかけた。

以下がそのやりとりだ。

あなたの本Coaching Agile Teamsが完成し、出版されました。今、どんなお気持ちですか。

信じられないくらいのスリルを味わっています。著者になんてなろうと思ったこともありません。突然、"なってしまった"、という感じです。私のことを知っている誰もが、"それはいい。書き留めておいたほうがいいよ。"とか、"君は本を書くべきだ。" とか言うのでそれに従っただけです。今は、自分のアジャイルコーチングの体験を本の形にできたこと、そして多くのコーチが自分たちの仕事を改善し、自身のアジャイルチームをより優れたチームにするのをこの本で支援できることをとても喜ばしく思っています。

アジャイルコミュニティに本当に知っておいてほしいことをひとつ挙げるとしたら何ですか。具体的に詳しく教えてください。

私のしていることは、次世代の優れたアジャイルコーチを生み出すことのお手伝いです。それはなぜか。私が思うに多くの組織は今までアジャイルを"小さく"使ってきました。つまり、プロジェクトマネジメントのひとつの手法として使ってきたということです。しかし、アジャイルの力を最大限に引き出せば単なるプロジェクトマネジメントのひとつの方法以上の力を発揮できます。もちろん、アジャイルを適用すれば同じ仕事をより素早くこなすことができますが、それ以上の力を発揮できるという印象をもちます。そして、実際その通りなのです。

優れたアジャイルコーチは、チームの助け方を知っているだけでなく、機械的にアジャイルを適用することからチーム自体がアジャイルの実践経験と原則を深く理解する状態へと導く方法を知っています。さらには、より高いパフォーマンスを達成するための計画的で楽しめる活動を継続する方法を知っています。これらのことが実現可能なのはチームのガイドとして優れたアジャイルコーチが存在するからです。このことが私がアジャイルコミュニティに本当に伝えたいことです。

なぜあなたはアジャイルコーチングに熱心に取り組んでいるのですか。

私はアジャイルが素晴らしい効果を発揮してきたのを見てきました。しかし、不十分な使い方をされているところやあげくには武器として使われている場合も知っています。使い方が不適切な場合や不十分な場合には、私には我慢できないようなたくさんの無駄が存在します。時間がかかりイノベーションを起こす能力を抑圧するという理由でアジャイルを嫌っている人に出会うとき、私は身をすくませて"そんなふうに思うことはないのに。アジャイルは人生と仕事を混ぜ合わせ、イノベーションを起こす精神を解放する準備をしてくれるのだから。"と叫んでいます。私が思うに、良くない体験が原因でアジャイルを憎んでいるチームとアジャイルの効果と活気を最大限に享受しているチームの違いはアジャイルコーチの技術と能力の違いです。そして、たまたまアジャイルコーチを出発点にしてアジャイルを私の巡る旅が生まれました。必要性と自分自身の関心が上手く結合したのです。これが私がアジャイルチームのコーチを手助けすることに熱心な理由です。

氏の著書Coaching Agile Teamsはすぐにでも書店に並ぶ予定だ。この本には"教師としてのコーチ"と"まとめ役としてのコーチ"という章がある。このふたつの章はチームの学びを促進させる方法が書かれていてとても興味深い。また、"衝突を操縦する"という章は、かなりの隔たりがある人同士のコミュニケーションを促した経験のないコーチにはとても便利だ。 隔たりとは実はグループ学習の原材料であり、この章ではチームが勝者になるように隔たりを操縦するための具体的な方法について書いてある。

コーチングはあるときは教師であり、そしてあるときは助言者である。まとめ役のときもあれば、調停役のときも、問題解決者のときもある。アジャイルコーチの役割は興味深いが、要求の多い役割でもある。今やコーチを受けることは価値のある実践であり、アジャイルコーチングはひとつの専門職なのだ。

Coaching Agile Teamsの著者Lyssa Adkins氏へのインタビューは近日中に公開予定。アジャイルチームにとってのコーチングの本質的な役割について詳細を聞いた。乞うご期待。

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