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Apple が iPhone 開発を開放

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原文(投稿日:2010/09/09)へのリンク

Apple は今日,同社が "開発者の意見を受け入れて","最終的なアプリケーションがコードのダウンロードを行わない限り,iOS アプリを作成するための開発ツールに関するすべての規制を緩和する予定である" と発表した。同時に "提出されたアプリの審査方法について開発者の理解を得るために,App Store レビューガイドラインを初めて公開する" とも発表している。

開発ツール

先の4月,Apple は iPhone のアプリ開発を (InfoQ でも 報告 したように) 同社の開発ツールを使用するものに制限した。その (契約書 3.3.1 章の) 制限が今回,完全に破棄されたのだ。特にここで追記された言語については,すべて削除されている。
アプリケーションは,Objective-C,C,C++,または iPhone OS の WebKit エンジン上で動作する JavaScript をオリジナルとして記述されなければならない。コンパイルおよび公式 API へのリンクは,C,C++,Objective-C で記述されたコードに限り許可される (例えば中間言語,互換性レイヤ,あるいはツールなどを経由する公式 API へのリンクは認められない)。
契約書の 3.2.2 章も変更されている。以前は "プラグインアーキテクチャ,他フレームワークの起動,他のAPIその他を含むが,これらには限定されない手段によって実行コードを起動" するアプリケーションが禁止されていた。これが今回緩和され,変更前のルールに戻されている。
3.3.2 アプリケーションは実行コードのダウンロードおよびインストールを行ってはならない。逐次解釈コードはすべてのスクリプト,コード,インタプリタがアプリケーションに同梱され,ダウンロードを行わない場合にのみ許可される。ただし Apple の組込み WebKit フレームワークによってダウンロード,実行されるスクリプトとコードについては,前項の唯一の例外とする。
このような規則によって,Adobe Flash などのツールを用いたアプリケーションの開発が再び可能になるものと思われる。ただし Stephen Shankland 氏が ブログに書いている ように,
Apple と Adobe にはすぐにコメントを求めましたが,回答は得られませんでした。しかし確かなことがひとつあります。それは Adobe が Flash-to-iOS プロジェクトを破棄する決断を下せていなかったということです。それを復活させるのは容易ではないでしょう。
Apple の iOS と競合する Google の Android モバイル OS が市場シェアを急速に伸ばしている最近の傾向を考えると,今回の変更は開発者が Android と同じように,iPhone のアプリケーション開発も確実に続けてくれるようにするための,先を見据えた動きなのかも知れない。クロスプラットフォームなモバイル開発に対する開発者の関心は確かに高い。そのことは,iPhone,Android,iPad 向けの開発を可能にする Appcelerator の利用が拡大していることでも証明される。Mashable の 記事によると
今日現在,Titanium の使用契約をする開発者は 65,000 以上,Titanium で構築された iPhone App Store と Android Marketのアプリは 4,000 以上に達しています。

データ共有制限の緩和

6月に Apple は,アプリケーションが多くの企業とのデータ共有するのをブロックした。 アプリケーションの動作に必要か,あるいは "モバイル広告の提供を主要なビジネスとする独立した広告サービスプロバイダ" を通じた広告サービスを行うためでない限り,"ユーザあるいはデバイスデータをいずれかのサードパーティのために収集し,それを利用ないし開示する" アプリケーションをブロックしたのだ。中でもそれは,Google (結果的にはその AdMob 部門) を排除するものだった。 "... (例えば Apple 以外のモバイル機器,モバイルオペレーティングシステム,開発環境を開発あるいは提供する企業の所有する,あるいは協業関係にある広告サービスプロバイダは,独立しているものと判断されない)。"

この変更は,D8 カンファレンスでの Steve Jobs 氏の返答に見られるように,Flurry Analytics による未発表のデバイスに関するレポートを発端としたものだった。その中で氏は,彼らの分析は "広告目的に限って” 許可されるものだ,とも発言している。新たな契約書では言語の制限が大幅に緩和されていて,ユーザによる同意の必須化と,デバイスの受信データを分析するソフトウェアの禁止にのみ焦点が置かれている。

3.3.9 開発者およびその開発アプリケーションは,ユーザないしデバイスの情報をユーザの事前合意なく収集してはならない。また提供するサービスおよび機能は,アプリケーション使用者に直接関与するものでなければならない。デバイスデータの収集と第3者への送信のために,アプリケーションで解析ソフトウェアを使用してはならない。
特筆すべきは Google に関する制限が解除されることだ。Google はこれを好意的に受け止めている
以前のバージョンと違い,今回の新たな条件は Apple 開発者の収益手段およびアプリケーション資金調達方法として,(Google や AdMob を含めた) より多くの広告ソリューションの選択肢を提供するものです。Apple の新たな条件によって,多くのモバイル広告の競業会社に対して iPhone のアプリ内広告のオープン性が確保され,幅広いプラットフォームを対象とした広告ソリューションが実現可能となるでしょう。

レビューガイドラインの公開

最後に,更新されたライセンス契約書には Apple App Store レビューガイドライン が添付されている。

Wall Street Journal の Jennifer Valentino-DeVries 氏はこの件について,次のようにブログに記している。"Apple はアプリを単にシステムを通じて配信されるものではなく,ブランドの中核である,と言っているように思えます。" さらに,

“私たちの App Store には 250,000 のアプリがあります。これ以上,くだらないアプリは必要ありません。役に立たないアプリや,継続的にエンターティメントを提供できないアプリは受け入れられないでしょう。” “数日間ででっち上げたようなアプリや,初めて作ったアプリを友達に自慢するためにストアに登録するような場合は,拒否されるものと覚悟しておいてください。自分たちの高品質なアプリが素人作品に取り巻かれることを望まない,本格的な開発者がたくさんいるのです。” このようなことを,Steve Jobs 氏は繰り返し言っているように思えるのです。ちょうど今月,消費者はインターネットテレビを見たいと思わない,という話をしたときにも氏は,これと同じ話題 - “素人作品(amateur hour)” - を取り上げていました。... しかしコメントから,Apple がアプリ市場の拡大を確信していることも明白です。がらくたアプリでも当初は用を足したのかも知れませんが,もはやそんなものは必要ないのです。

ワシントンポスト紙の Rob Pegoraro 氏は "ルールの大半は常識的なガイドラインである" と評する一方で,さらに議論を呼びそうな数々のルールの存在を指摘する。例えば,

2.11 App Store に同種のアプリがすでに登録されている場合,特にその数が多い場合には,登録を拒否されることがある。2.12 特別な有用性のない,あるいは継続的なエンターティメントとしての価値を提供しないアプリは,登録を拒否されることがある。3.1 他のモバイルプラットフォームの名称に言及するメタデータを持つアプリは,登録を拒否される。... 9.3 携帯ネットワークを介するオーディオストリーミングコンテントを,5MBあるいは5分を越えて使用してはならない。... 15.3 ゲームの文脈における "敵(Enemies)” は具体的な人種や文化,現実の国家や企業,その他の現実的存在を特定するものであってはならない。

開発プログラムに関する Apple の変更は,制限に関する懸念はいくらか残るものの,全体としては好意的に受け入れられている。

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