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Tobias Mayer氏、スクラムアライアンスについて語る

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原文(投稿日:2010/10/28)へのリンク

Tobias Mayer氏は間違いなくスクラムの世界有数の積極的支持者である。彼はスクラムを愛しており、スクラムアライアンスに対しては愛憎関係のようなものを持っている。

彼の多くのスクラムに関するブログ記事には、無数のファンやフォロアーがいる。多くのブログ記事で、彼はスクラムのことを精神の哲学であり、生き様であると表現している。彼のスクラムに関するキャリアとしては、最も早く認定スクラムトレーナー(Certified Scrum Trainers、CST)になって、認定スクラムマスター資格を認められ、スクラムコースに出席する生徒に教える資格を認められた、ということがある。また別のキャリアとして、スクラムアライアンスから追放され、その後スクラムフレームワークの共同制作者Ken Schwaber氏によって復帰されられた、というものもある。

Ken Schwaber氏は彼自身が創立を手伝ったスクラムアライアンスとのつながりを最近断ち切ったが、そのとき、Tobias Mayer氏はその新組織の'クリエイティブディレクター'になった。その職にわずかな期間従事した後、彼はスクラムアライアンスでの全ての認定資格を捨て、スクラムアライアンスを酷評するブログ記事を書き、そのリーダーたちのスクラムの知識とスクラムアライアンスの役員の高潔さに疑問を投げかけ、スクラムアライアンスは"機能不全組織の典型として、スクラム実践者が変えていかなければいけないものになり果ててしまった"と主張した。ブログ記事"スクラムコンプライアンス(Scrum Compliance)"全文はここで見ることができる.

Tobias Mayer氏は間違いなくスクラムの世界有数の積極的支持者である。だからどうだというのか? 以下のインタビューがこの質問に答える助けとなるだろう。

Tobias、あなたのブログでの“スクラムコンプライアンス(The Scrum Compliance)”というタイトルの記事はスクラムアライアンスの痛烈な批判です。あなたはKenが去ったあとスクラムアライアンスのクリエイティブディレクターの職に就いていましたよね。どうしてこの職を引き受けたのですか?

その、遠慮なくいわせてもらうと、Kenはスクラムアライアンス(SA)を抑圧的なやり方で動かし、彼自身のデザインではないどんな変更や開発も許しませんでした。組織はコミュニティの要求に見合うようになってはいなかったし、保留されていたマイクロソフトCSDパートナーシップによって、選ばれた一部の人たちのためのカネを稼ぐ機械になる方向に向かっているように感じました。Kenが離れたあと、私は変革の機会を得ました。私は希望を見たのです。私はSAを真にコミュニティ中心の組織に変えて、革新的なプログラムの作成や支援フレームワークを通じてそのメンバーシップを与えることを存在意義とすることを想像しました。私はそのような組織の一部になりたかった。私は最初、新しく議長に任命された(ただし、自ら任命された)Tom Mellorに役員にならないかといわれましたが、職員としての方がより効果的に変革への影響を与えられると感じたので、臨時のマネージングディレクタであるLowell Lindstromとともに新しい職員体制の一部として“クリエイティブディレクター”の役職をつくるよう動いたのです。

あなたはその後組織との関係を全て断ち切りました。公式には辞職したのでしょうか? それとも、首になったのでしょうか?

ある程度経つと、Kenが組織に消せない痕を残していることが私にははっきり見えてきました。いや、Kenに対して公正を期すならば、組織がそうなったのは組織自体の問題だったかもしれません。どちらにせよ、新しいリーダー陣(といっても、ほぼ古いリーダー陣にMike Cohn氏を役員に加えただけのものでしたが)は、Kenがやっていたとおりに組織を動かし続けたのです。すなわち、伝統的な、不透明かつ命令と統制による方法で、です。そして、中央集権と利益にフォーカスし、新しい考えに対しては見向きもしませんでした。それは苛立たしい体験でした。役員会が常勤のマネジメントディレクターを見つけるのにほぼ一年も費やしてしまった失敗による安定の欠如と彼ら自身の内部抗争の結果、大きなダメージをこうむり、その間中有効な決断が出来ませんでした。そして、そう、私は辞めたのです。しかし、私がTom Mellorと内部CSTリストにのっている他の役員メンバについての見解に関してのいざこざのあと、Tom Mellorが私を解雇しようと必死だったことは、私が言わなくても、彼が明らかにしてくれるでしょう。それらはすべて本当に醜いことでした。もちろん、私もその一部でした。機能不全が機能不全を生み、私たちは皆、役員レベルの内部抗争と不安定な職員グループによって腐敗していました。多くの懸念があり、職員の間にも多くの不満、不平がありました。

スクラムアライアンスは最近あなたが知っている誰かを解雇しましたか? 人は金曜日に解雇されていたのでしょうか?

私が理解している範囲では、職員機能を人材派遣会社にアウトソースする計画によって、職員チーム全体が最近解雇されました。私はその決断がなぜ行われたのか、その影響がどんなものかはわかりません。他の皆さんと同様に、私はその成り行きを見守っています。私はこの決断について意見はありません。SAはこの起きたこと(それが本当に起きていたなら!)についての明確なメッセージを出し、この行動がSAの仕事にどう役立つのかについての説明をするくらいには賢明であるはずです。

あなたの見方では現在のスクラムアライアンスの目的は何でしょうか? 規約に宣言されている目的は、“スクラムプロセスの利用を通じて仕事の世界を変える”で始まる9つの部分からなるものですが。

SAは何も変革していません。私は組織がそのフレーズを使い続けていることに大きな怒りを感じます。それは偽りです。私が見る限り、SAの目的はSAの成長です。私にはその目的が何なのかは分かりません。私の中の皮肉屋はそれは単に“Kenに打ち克つこと”だと信じています。私はSAの役員会や新しいマネジメントディレクターがその目的を明確にしたことを一度も見たことがありません。

Ken Schwaber氏の本“アジャイルソフトウェア開発スクラム”では、 5つのスクラムの価値(オープンであること、敬意を払うこと、勇気を出すこと、集中すること、コミットすること)を挙げています。スクラムアライアンスのスクラムについて記述したウェブページでは、これらの5つの価値については掲げられていません。その場所にはアジャイルマニフェストの4つの価値が載っています。あなたの見方では、どちらの価値が最重要だと考えますか? 一方を他方を使わずに掲げることができるのでしょうか? あなたは、Schwaber氏によって挙げられた価値は権威あるものとして信頼できると考えますか、それとも、アジャイルマニフェストがより優先すると考えますか?

どちらでもありません。私にはわかりませんし、どうでもいいことなのです。私が組織のコンサルティングをする時にその組織に求めるのは、信頼すること、勇気を出すこと、高潔さ、思いやり、奉仕、です。これらの価値はいずれも(Kenの挙げる価値も含めて)特にスクラムやアジャイルに限ったことではありません。私たちは単に人々に人間らしくあること、親切であること、そして、変化の影響を受けやすくいることを気づかせたいのです。

Jeff Sutherland氏とKen Schwaber氏によるスクラムガイドについては、信頼できるものと考えますか? もしそうなら、それはなぜですか? そうでないなら、なぜそうではないのでしょうか?

信頼できるとは思っていません。スクラムはどんな形であれ、成文化されるべきものではありません。権威あるスクラムなどなく、単に私たちが行うことがあるだけです。スクラムを一つの定義に固定しようとする試みはすべてその死の前兆と言えるでしょう。スクラムガイドはスクラムからその命を奪うものになろうとしています。スクラムアライアンスの脅威にさらされたスクラムBOKは、確実にスクラムを殺すことになるでしょう。

このブログの記事の内容について聞かせてください。あなたは強く主張していますが、あなたは特定の組織の機能不全について、名前も挙げていないし、エピソードも引用していないし、例示もしていません。私はここでいくつかの事実を集めたいと考えています。問題ありませんか?

どうでしょうか。この後のいくつかの質問がどんなものかによりますね。

あなたは“スクラムアライアンス自身が指導者の資質を試すようなものになれなかったし、組織の使命“仕事の世界を変える”に恥じない存在であり続けなかった”と述べています。説明してもらえますか?

SAはこれまでと何ら変わりのない道を通っています。例えば、私がマネジメントディレクターを見つけるプロセスについての不明瞭さ-私は秘密主義と呼んでいます-に対して異議を申し立てたとき、多くの役員会メンバ(それに対して口を開いた人たち)はこれは単にこれまで通りのやり方だ、と回答しました。これは体制への盲目的な固執であり、その言葉を顧客のいるところで聞いたときには怒りで頭が破裂しそうでした。スクラムのリーダーシップがある人ならこのやり方はあまりにひどいやり方だと考えるでしょう-基本的には彼らの考え方はこうです:他の誰もがやってるんだから、それは正しいやり方に違いない。その変革なんてどこにあるのでしょうか? SAは古い考えにとらわれることなく、職員を雇うことのようなプラクティスの新しい先例をつくろうとすべきです。それから、役員会が強く望む組織の動かし方に関する統制の度合いについても言うべきことがあります。彼らはそのビジョンを設定することはほとんど出来ず、マイクロマネジメントの手法を当然のこととし、その職員に何をすべきかではなくどうすべきかを伝えるのです。そこに対話はほとんどありません。例えば、とても面白くなりそうな国際集会を開こうとすると、私たち(職員)が何をしようとしているかの大きな絵柄を理解しないままそれぞれの役員会メンバが日時と場所を主張した結果、不満と無駄な努力の訓練になっただけでした。(今は解散した)職員グループはビジョンを共有していたし、目的意識も持っていました。SAに私がいた間、役員会は絶対にそれを持っていなかったはずです。

あなたは“SAは典型的な非スクラム組織であり、大きくて動きの鈍い機械であり、その体制を維持することだけを強く求め、奉仕よりも利益を重視し、信頼の統制や、曖昧で、非民主的で、高潔さの欠如したプラクティスを実行することばかりをやることに価値を見いだしている“と述べています。SAの最近の動きの特定の例として、そこで主張している利益、統制、不明瞭さ、そして、高潔さの欠如などに重点をおいていることを指摘するものを挙げてもらえますか?

私は一つ前の回答の中でこの質問の多くに答えていると思います。あなたが少し前に言ったように、オープンであることや敬意を払うことのような価値はスクラムに必要なものとして広く伝えられています。私はそのどれをとっても実行されているのをほとんど見たことがありません。試してみましょう:SAの財政状態について見てください。最近の職員の変更についての発表を探してください。役員会メンバの個人的な声明を探してください -- 何より、役員会に誰がいるかのリストを、なぜ彼らがその職に適任だと考えているかを見つけてみてくださいよ。オープンであることではなく、不明瞭さが長年受け入れられてきた価値なのです。噂では、SAは銀行に100万ドル~200万ドルものお金を持っているそうです。なぜでしょう? 将来への蓄えという側面もありますが、この金額は多すぎます。その理由は、私がSAメンバに対するサービスとして始めようと必死になっていた“トレーナー訓練”プログラムが、役員会の言い方を借りれば“予算に含まれていなかった”という理由で中止になったからなのです - それも、この決定はマネジメントディレクターが全ての出費を承認した後で行われたのです。このプログラムはコミュニティに還元するためにデザインされたものなので、役員会の言葉を使えば“損失を出して”運営されるべきものでした。それが、ワークショップのファシリテーターやサービスを受けるはずのSAコミュニティのメンバに対しての誓約が行われた後、中止になったのです。どういうことかは推測してください。

あなたは、“何かがコミュニティに還元されているということを知らない“と述べています。スクラムアライアンスはスクラムの調査に資金提供をしたり、スクラムに関係したユーザグループを支援、育成していたり、どんな人でもスクラムに関する知識を得ることができるようにスクラムの記事を数百本のせているウェブサイトを維持管理していたりしませんか? 私はスクラムアライアンスがユーザグループのイベントのスポンサーになっていたり、コミュニティに何かを還元するアイデアを支援しようとする活動を行っていることを知っています。

ええ、私の発言は極端な発言です。“コミュニティにはほとんど還元されていない”と言い直しましょう。ウェブサイト上にある古ぼけた記事はほとんど過去の遺物です。もっと世間的に認められているライターや思想家による最新のブログ記事を検索した方がずっとよいでしょう。ユーザグループのイベントのスポンサーにはなっていますが、その数は少なく、マネジメントディレクターか個々の役員会メンバの気まぐれによるもののようです。調査に関して私が信じていることは、KenはCMMiについての調査か何かに出資したということです。私はその結果については一切見たことがありません。私はそれ以外の誰かが出資をしたかどうか、また、それが有益な目的にかなうものかどうかについて知りません。私は“WelfareCSM”プログラムを始めようと試み、トレーナー訓練プログラムを立ち上げようとも試み、質の高いスピーカーやワークショップファシリテーターを得るための集会により時間を割こうと試みましたが、全ての領域で抵抗にあいました。コミュニティに還元することはSAの得意とするところではありません。

あなたは、SAの役員会に関して、“お互いに選出し合っているものが多く、2人はある種エリート主義的な非民主的選出プロセスによって当選した“と述べています。ここで、その内容を裏付けるような詳細を追加してもらえますか?

Tom Mellor (CST) - Ken Schwaberによって抜擢された、最初の役員会のメンバ。Kenが去った後に役員会に他に議長になりたがる人がいなかったためその職に就いた。

Mike Cohn (CST) - SAの創始者であり、おそらく役員会においてもっとも権限を持つ。

Steve Fram - Mike Cohnによって抜擢された、最初の役員会メンバ。

Michele Sliger (CST) - Mike Cohnにより抜擢。

Dan Hintz - 財務担当、Jim Cundiffにより推薦。

Harvey Wheaton - MikeかKenによって抜擢された、最初の役員会メンバ。

Mitch Lacey (CST) & Scott Dunn - 選任されたメンバ。

選出プロセスは2つの部分からなっていました。1人の役員会メンバと認定コミュニティからの抜擢されたアシスタント3人によるパネルがありました。このグループが役員会を運営するのにふさわしいのは誰かを決めました。彼らが使用した選出基準は公開されませんでした。候補者として採用されなかった志願者は候補者リストが発表されたときにだけわかるようになっていて、不採用の理由は明らかにされませんでした。それ以外のSA会員はその都合よく選ばれた2人の候補者に対して投票することが許可されました。

8人のメンバのうち4人がCSTだとわかると思います。そのため、認定プログラムが再度審査されたり、改善されたりする可能性はかなり低いです。程度はさまざまでしょうが、彼らの収入の無視できない程度の部分を提供している既存の構造を維持することに対する、これらのメンバの金銭上の関心は否定できないでしょう。

SA役員会は2010年9月にDenverで会合を行ったのですよね? それに関して、あなたは“私自身がこの会合に望むことは現在の役員会が自発的に一斉に辞職して、(議長も含めた)7人の新役員会メンバを決めるSAメンバが参加可能な選挙を求めることでした”と述べています。なぜ、このことが重要だと考えたのですか?

私はスクラムアライアンスがそのメンバによって、そしてそのメンバのために運営されているのを見たいと思っています。役員会で任務を果たす人が、組織の成長ではなく、本当にコミュニティに注意を払うなら、この組織には世界で何らかの素晴らしい仕事を成し遂げるチャンスがあります。もし現在の役員会メンバがSAの運営をするにふさわしい人たちであるなら、彼らそれぞれがマニフェストを書き、公正で真に開かれた選挙でコミュニティメンバに寄り添って、その価値を証明して欲しいと思います。そして、もしCSTが役員会での任務を果たしたいと望むなら、その期間と、その後6ヶ月間ほどはCSMトレーニングの仕事はあきらめるべきだと強く思っています。このことによって利己主義であるというあらゆる非難を避けられると思います。この独特な考えはMichele SligerとScott DunnとのDenver会合前の会話の中で支持を得られましたが、私たちの会話とその会合との間に、彼らはそれぞれその考えが重要なものではないと決めつけてしまったように見えました。不自然ですよね、このことを課題として挙げたのはScottとMicheleだったのですから。私はその考えにまったく賛成でしたが、私が出した話じゃなかったのです。

スクラムアライアンスのメンバはその組織に何を期待するべきだと考えますか?

愛、名誉、奉仕、コミットメント、信頼、鼓舞、試演、指導、コーチング、訓練... そして、お返しとして、SAは何を期待されているか、わかりますか? 変革された仕事の世界ですよ :)

 

編者注:この広範囲にわたるインタビューのパート2は来週公開する。より興味深いものになっている。Tobias Mayer氏へのこのインタビューの結論部分を来週必ずチェックして欲しい。

 

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