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ZapThinkが考える次の10年でのエンタープライズITのトレンド

原文(投稿日:2010/11/16)へのリンク

先日、Zapthink 2020が、次の十年でエンタープライズITをかたちづくるトレンドや転換を説明するためのZapthinkの概念フレームワークとして発表された。Jason Bloomberg氏(Zapthink LLCのマネージングパートナー)は、Zapthink 2020の出自をInfoQに次のように語ってくれた。

エンタープライズITに影響を与える多くのトレンドが存在するにもかかわらず、一般的に人々はそれらをばらばらに考えるという事実から、ZapThink 2020の着想は生まれた。SOAやクラウド、モバイル技術、アウトソーシングなどに関しては数多く語られてきている。しかしこれらのトレンドがどのように関連してくるかに関しては、誰も取り組んでこなかった。従って、ZapThink 2020のビジョンは、これからの10年でエンタープライズITに影響を与える全ての変革およびそれらがどのように結びつくかに関することを話題とする。

この連載の最初の投稿では、Jason Bloomberg氏が「スーパートレンド」とよぶ、ITをかたちづくる5つの大きなアイデアをまとめることで議論を始めている。Jason氏は、これらのトレンドの大半は、前の10年からの継続したトレンドだと認めている。しかし、近い将来にやってくる転換点によって、次の10年間でこれらのトレンドの効果に明らかな影響があるであろう。 次の10年の転換期やその他の転機に備えるなかで、それらが起こる文脈、つまりより大きなスーパートレンドを理解することが必須となると氏は考えている。

5つのスーパートレンドとは次のものだ。

  • ロケーション・インデペンデンス(場所に縛られない): この用語は見てわかる通り、ITの領域において物理的な接続の重要性を減らす考え方である。それは人であれ、プロセスであれ、ツールであれ同様だ。
  • グローバル・キュービクル(グローバルな労働場所): ユビキタスコンピューティング、ソーシャルメディア、ロケーション・インデペンデンスによって、人を集め、様々な方法で彼らを交流させるグローバル・キュービクルが可能となる。
  • テクノロジの民主化: 新しい価格モデル、とくにサブスクリプションベースのSaaSの提供によって、ボトムアップのソフトウェアの購買の文化が促進される。これは旧来の官僚的なソフトウェア購買プロセスにとって脅威である。
  • 深い相互運用性: 購買様式の変化によって、ベンダはITエコシステムのなかで他の製品とシームレスに連携する方針をとるようになる。
  • 複雑なシステムエンジニアリング: システムエンジニアリングの考え方が、ますますアジャイル的なものになっていく。統合から統治へ、静的なアーキテクチャから常に状態が変化するアーキテクチャへといった具合だ。これらは、継続的なビジネス変革と呼ばれる。

ロケーション・インデペンデントとグローバル・キュービクルは、IT業界以外の企業の基盤をオフプロミスにアウトソースし、エンタープライズITを破滅に導く。IPv4の枯渇は1980年代から懸念されてきたが、見積もりによると2011年から2012年の間に実際に枯渇する。グローバライゼーションの求心力は、サイバー・メディアまで及ぶテロリズムの破壊力と並べて語られる。Stuxnetは、もっとも最近に発生した疑いなくもっとも洗練されたおそらく地下組織を起源とするワームであり、リモート監視・制御システムに影響を与え、サイバー戦争が次のレベルに進んだことを示した。

氏は、フォローアップのブログ投稿の中で、七つのゲームをかえる転換ポイントを上げている。そのなかで予想されてるのは、エンタープライズITの崩壊、IPv4の枯渇、EAフレームワークの凋落、サイバー戦争、団塊ジュニア世代の登場、データの爆発、エンタープライズアプリケーションの崩壊だ。

Jason氏は、団塊世代の登場が現在の従業員にどのような影響を与えるかを述べた。

ZapThink 2020ビジョンの中のトレンドの一つに、若者が労働市場に入っていくことで、彼らのスキルや視点によって、IT組織がいかに変わっていくかというものがある。彼らが心地よいと感じるのは次のようなものだ。マルチタスク、ソーシャルメディア、場所や時間を選ばずに働く、モバイル中心、これらは既に今日の高校や大学の子供たちが手にしているものであり、もちろんのこと、これからの10年間でこれらの子供たちが従業員として入ってくるのだ。変化に対応しなければならないのは、我々古い世代の人間の方だ。

EAの世界の中では、現在のアジャイルエンタープライズの中でのEAフレームワークとの関連性に関しては、対立する見方が存在している。Jason氏は、EAフレームワークの凋落の背後にある理由を説明している。

伝統的なEAは、「as-isの」アーキテクチャから初めて、「to-beの」アーキテクチャを練り上げる。これは、あたかも理想的な固定の「to-be」状態を作成することができ、一度、この天国のようなアーキテクチャにたどり着けば、全て完了といっているようなものだ。しかし実際のところ、「to-beの」状態など存在しない。その代わりとして、継続的なビジネスの変革が存在するのだ。私たちは、現在の柔軟性のない状態からビジネスアジリティのある将来の「状態」に移行する必要があるのだ。しかし、わたしが「状態」とカギ括弧付きで表現したのは、アジャイルな状態になるためのポイントは、変化が常であると意識することだからである。このビジネスアジリティへの移行のためには、アーキテクチャとエンジニアリングを完全に見直す必要がある。

エンタープライズ・ソフトウェア・ベンダがエンタープライズソフトウェアの崩壊を避けるにはどのようにすればよいかをJason氏は次のようなアドバイスしている。

深い相互運用性が重要であり、市場が成熟していって、顧客は完全な相互運用性が保証されないソフトウェアは購入しなくなるだろう。顧客が我慢しているので、今のところ、ベンダは不十分な相互運用性で済ませている。もちろんのこと、顧客をプロプライエタリな提案にロックインすることができるので、ベンダは不完全な相互運用性を好んでいる。顧客が利口になり、購買行動でベンダを制御できると気がつけば、生き残ることができるベンダは相互運用性に真剣に取り組んでいるところだけになるであろう。

ZapthinkはまもなくZapthink 2020のコンセプトを表したポスターを作成し、組織が次の10年のIT組織の中での変化の文脈を理解するのに役立ててもらおうと考えている。

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