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Nokia が Windows Phone 7 に関して Microsoft と提携

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原文(投稿日:2011/02/11)へのリンク

Nokia は Microsoft と広範な戦略的パートナーシップを結び,Windows Phone 7 と Bing,Office,そして XBox Live を同社の携帯デバイスに統合すると発表した。

Nokia の携帯電話 マーケットにおけるシェアは下降を続けている。2009 年第3四半期の 36.7% から,1年後の2010年同期には 28.2 % へと低下した。これが Nokia の対応を促し,同社は 2010年9月,Microsoft のビジネス部門の責任者であった Stephen Elop 氏を新たな CEO に迎えた。活況を呈する携帯電話マーケットにおける リーディングポジションを維持するため,Nokia には改革が望まれていた。同社はそれに応えたのだ。

今週の始めには,Nokia の CEO が社員に宛てた 社内メモ に関する報告が表面化している。そこでの Elop 氏は非常にオープンで,かつ直接的だ。氏は Nokia の現状を北海油田の火災に例えている。燃え盛るプラットフォームを離れて未知の世界に飛び込むことだけが,残された選択肢なのだ。

私たちもまた,"燃え上がるプラットフォーム" の上に立っているのです。自らの行動を変える決意をしなければなりません。…

競合他社から発する灼熱は,これまで経験したことのない速さで私たちに迫っています。Apple はスマートフォンを再定義することで市場を破壊し,極めて閉鎖的ではあるが強力なエコシステムで開発者を魅了しています。…

そして Android があります。2年ほどの間に Android は,アプリケーション製作者とサービスプロバイダ,ハードウェア製造者を引き付けるプラットフォームを作り上げました。Android はハイエンドから参入しましたが,現在はミドルレンジで成功を収めています。間もなく €100 以下の携帯電話にも降りてくることでしょう。Google が重力となって,業界のイノベーションの多くをそのコアに引き寄せているのです。

ローエンドの価格レンジを見落とすことはできません。MediaTek が 2008 年に,携帯電話チップセットのための完全なリファレンス設計を提供しました。これによって中国深セン (Shenzhen) 地域のメーカたちは,信じられないほどのペースで携帯電話を生み出すことができるようになったのです。ある報告書によれば,このエコシステムは今や,世界で販売される携帯電話の3分の1を生産していて – 新興市場における私たちのシェアを奪っているのです。

Elop 氏は Nokia の社内開発にも言及して,社内に多くのイノベーションを所有しながら, マーケットへの展開があまりにも遅い点を不満としている。

Nokia 社内には素晴らしいイノベーションのソースがあるのですが,それらを十分な速さでマーケットに提供できていません。私たちは MeeGo を,ハイエンドスマートフォンで勝利するためのプラットフォームとして考えていました。しかし現在のペースでは,2011年中に市場に投入できる MeeGo デバイスはたったひとつになるかも知れません。

ミドルレンジで私たちが持っているのは Symbian ですが,北米などリーディング市場において競争力のないことは,すでに明白です。加えて,拡大する一途の消費者からの要望を実現する上で,Symbian が対応困難な環境になりつつあることが明らかになってきています。そのことが製品開発の遅れを招き,新たなハードウェアプラットフォームを活用しようとする上での不都合を生じさせているのです。

それでも Elop 氏によると,最大の問題点はエコシステムの欠如にあるようだ。

競合他社が私たちの市場シェアを奪っているのはデバイスではなく,彼らのエコシステム全体によるものです。ですから私たちはエコシステムを自ら構築するか,その発生を誘発するか,あるいは参加するか,という決断を下さねばなりません。

これは私たちに必要な意思決定のひとつです。

このレポートは Engadgett が最初に発表したものだが,Nokia からの新たな 発表 と照らし合わせると,特に真実味を帯びてくる。以下は Nokia の下した決定の概要である。

  • Nokia は Microsoft との提携を通じてモバイルデバイスのためのグローバルなエコシステムを構築し,消費者,事業者,開発者に対してデバイス,ツール,サービスを提供する。
  • Nokia は Windows Phone 7 を主要なモバイルプラットフォームと位置付け, 今後の Phone 7 開発, および2社の共同によるモバイル戦略とロードマップの構築に関与する。
  • Nokia は検索エンジンとして Bing を,広告サービスとして adCenter を採用する。対して Microsoft は Nokia Maps を使用する。
  • Nokia Windows Phone のアプリケーション開発には Microsoft 製のツールを使用する。
  • Nokia は自社の app store を Microsoft Marketplace に統合する。

今回の戦略的提携は Nokia の将来における潜在的利益を大幅に変更するだけでなく, 停滞を続けている Microsoft の Windows Phone 7 プラットフォームを促進する上でも重要な意味を持っている。これによって Microsoft の OS が,数億台という Nokia の製携帯電話にインストールされることになるのだ。

Nokia は合わせて,組織とマネージメントの変更 を発表している。Nokia 社内にスマートデバイス (Smart Device) とモバイルフォン (Mobile Phone) という2つの独立した部門が設置され, それぞれが "採算について責任を持ち,製品開発と製品管理,マーケティングを含む ユーザエクスペリエンス全般に関するエンド・ツー・エンドの責務を負う"。モバイル部門が Microsoft とのパートナーシップを具体化する一方で,スマートデバイス部門は Symbian スマートフォンと MeeGo コンピュータを含むスマートフォン市場をターゲットに見据える。Nokia のすべての携帯電話について,将来的に Windows Phone 7 が搭載されるかどうかは明らかになっていない。というのも,Nokia のあるブログポストによると,Series 40 と呼ばれている重要な製品ラインでは "Java サポート拡張と今後の SDK" への対応が継続される,というからだ。

Microsoft の CEO である Steve Ballmer 氏は Elop 氏との共同声明に, 今回のパートナーシップに Office と XBox Live が含まれていることを付け加えている。

ちなみに Google の技術担当副社長である Vic Gundrota 氏は Nokia と Microsoft の提携に対して, "2羽の七面鳥は鷹にはならない" とコメントしている。

世界最大の携帯電話メーカと,(かっての) 世界最大のソフトウェア会社との間で結ばれた今回の戦略的提携の持つ効力がどれほどのものかを知るには,今後の展開を見なければならない。ひとつ確実なのは,この動きが破壊的な影響力を持つものであることだ。

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