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FireFox: Mozilla の望む新たな開発プロセス,Firefox 4, そしてロードマップ

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原文(投稿日:2011/03/23)へのリンク

Mozilla チームはリリースのスピードアップを図るため,Firefox の開発プロセスをスケジュール駆動 (schedule-driven) に変更しようと考えている。数多くの改善を行った Firefox 4.0 が先日リリースされたが,ロードマップにはすでにバージョン5, 6, さらには 7 の概略プランが掲載されている。

Mozilla チームではこれまで,Firefox に機能駆動(feature-driven)の開発プロセスを用いてきた。この方法では製品は,機能が未完成と判断される限り開発中になるため,リリース周期が長期化する。実際に Firefox 4 では開発に1年を要した。同社が ブログポストで公開したところによると,チームは開発プロセスをスケジュール駆動に変更しようとしている。新しいバージョンのリリース期日を,機能の完成とは切り離して設定するのだ。この新たなプロセスの背景には,"長期的な作業を中断することなく,ユーザに対して一定周期で改善を提供する" という考えがある。ロードマップによれば,Mozilla は年内に Firefox 4, 5, 6, 7 の4バージョンを出荷する計画だ。Firefox 4 は先頃リリースされたばかりだが,今後は 16 週周期でリリースが行われる予定である。

Google と同じように,Mozilla は開発に4つのチャネルを使用する予定だ。それぞれの名称は,mozilla-central – 未完成なものを含むすべての新機能を持つナイトリービルドで,およそ10万ユーザのアクセスを見込む,fx-exp – 通常リリースの外部チャネル (同100万ユーザ) で,機能的に未完成な場合もある,fx-beta – 次期リリースに搭載予定の機能を含む (同1000万ユーザ),そして Firefox – 公式リリース,である。チャネルにはそれぞれ,独立した Mercurial レポジトリが用意される。新機能はまず mozilla-central チャネルに導入され,後続の各チャネルを経由した後に,最終的な製品に適用される。その過程で機能が廃止されることや,必要になれば後に再導入されることもあり得る。チャネルとリリース時期,周期との関係は下図のようになる。

image

 

濃紺色は,機能が最終製品に達するまでのチャネルの遷移を表している。その他の色は,1回のイタレーションで作業が完了しないために,それぞれのチャネルに留まる必要のある機能を示す。ブログのポストには,サイクルの各週において実施されるべき内容と,Firefox チームが機能駆動プロセスからスケジュール駆動プロセスに移行する方法に関して,詳細な情報が記載されている。

Firefox チームが開発プロセスを変更するためには,対処しなければならない問題もいくつかある。Firefox ロードマップに示されているのは,

  • アドオンのバイナリ互換性の提供が必要である。
  • 旧ブランチをサポートし,メンテナンス修正を行う必要がある。
  • 黄信号点滅(intermittent oranges)は不可避である。
  • ローカライズ実施対象の拡大。
  • 大規模ベータテストを実施しないため,変更による影響が予測できない。
  • すべてのコードに対して,公式レビューが必要である。
  • すべてのコントリビュータが,適切なコードレビューの実施方法を知る必要がある。
  • ユーザインタフェースの設計と技術の優先順位の問題に関して,すべてのコントリビュータが平等な発言権を持つ。

長らく待たれていた Firefox 4 が先日リリースされた。注目すべき 新機能 としては,

  • パフォーマンス。JaperMonkey JIT コンパイラと新しい JavaScript エンジンにより,Firefox 4 は前バージョンの6倍高速である。
  • ページレンダリングのためのスペースの拡大。
  • タブの追加。頻繁に参照するサイトページは,常時表示される小さなタブに縮小することができる。
  • パノラマ。よくアクセスするタブを管理,検索するための方法である。
  • 閉じたタブの再オープン。滑らかなスクロール。
  • Firefox Sync。ブックマーク,アプリケーションタブ,履歴,パスワード,フォームデータの,複数システム間での同期を可能にする。
  • Do Not Track 機能。履歴の記録やクッキーの保存を防止するプライバシーツールである。
  • HSTS機能 – HTTPS 使用への自動切替。
  • HTML 5 サポート: グラフィック表示のハードウェアアクセラレーション,WebM による HD ビデオ再生,3D グラフィック,オフラインストレージ,タッチスクリーンインターフェース,Mozilla オーディオ API。
  • Flash,QuickTime,Silverlight プラグインのクラッシュからの保護。

将来的なロードマップの中では,次のような新機能について言及されている。

Firefox 5

  • アカウント マネージャー
  • シンプルシェアリング (Simple Sharing) UI
  • UI アニメーション
  • 64 Bit Windows 対応
  • 応答性,安定性,UI の改良など,優先度の高い実施事項。

Firefox 6

  • Web アプリケーション
  • FasterCache
  • OSX 10.7 対応
  • JS 最適化
  • 応答性,安定性,UI の改良など,優先度の高い実施事項。

Firefox 7 の見通しはあまり明確ではなく,ロードマップにあるのは "e10s? deXBLification?" という機能だけだ。このリリースに何が含まれるのかを知るには,もう少し待たなければならない。

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