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W3Cがコミュニティグループとビジネスグループを設立

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原文(投稿日:2011/08/16)へのリンク

W3Cはウェブの技術についての仕様の開発者やテスト、議論が簡単にできるようにするためのコミュニティグループとビジネスグループの作成を支援するため、同団体のインフラとノウハウを公開した。W3Cコミュニティグループは誰でも参加でき、参加費は無料。一方、ビジネスグループは参加費が必要で、非公開にすることも出来る。また、W3Cの電話会議の設備も使える。

InfoQはW3Cのマーケティングとコミュニケーションの責任者であるIan Jacobs氏にこの新しいグループについて詳しい話を聞いた。

InfoQ: なぜコミュ二ティグループが必要なのでしょう。

W3Cがコミュニティグループを作ったのは、人々がW3Cに参加しやすくするためであり、世界的なウェブの専門家のネットワークと連絡を取りやすくするためです。コミュニティグループは素早く作ることができ、厳しくないライセンスと著作権使用料無料の特許条項の元、仕様の開発が行えます。このグループを使えば開発者コミュニティは新しいアイディアを出しやすくなり、作業の全体の質を向上させることができると思います。

私たちは何もないところからコミュニティグループを作ったのではありません。W3Cの内外の人と参加者を増やすにはどうしたらいいか、価値を提供するにはどうしたらいいか話し合いました。また、現在の"インキュベータグループ"からも多くを学びました。このグループはコミュニティグループと似たような目的を持っています。対象のメンバは限定的ですが。

InfoQ: この2つのグループはウェブ関連の技術のグループを想定していますか。それとも、他の産業のグループとしても使えるのでしょうか。

私たちはウェブに力を注いでします。しかし、ウェブのフォーマットやプロトコルだけではありません。例えば、特定の産業向けにウェブの技術を適用するための活動を行うグループがあってもいいと思います。その産業向けの用語をW3C標準を元にして作ることができます。ウェブにはまだ特定の産業に特化できる部分があると思います。それも多様な形でウェブに関連しているはずです。

InfoQ: これらのグループで作成された仕様や標準が最終的にW3Cによって支持されることもあり得ますか。

もちろん。それが目的でもあります。順調に活動が始まり、活動が成熟してコミュニティのサポートや必要な特許やライセンス条項が揃っていれば標準化を進めることもあります。

InfoQ: コミュニティグループのメンバは無償を含むすべての特許のライセンスを提供しなければなりませんか。ビジネスグループのメンバはどうでしょう。

コミュニティグループもビジネスグループも同じ方針に従って運営されます。

著作権についてですが、コミュニティグループの仕様は緩いライセンスの元で利用できます。ビジネスグループの場合は、コミュニティグループと同じか、W3Cドキュメントライセンスを使って公開されます。

特許も使用料無料の特許という方針に従います。この方針を作ったのはグループが活動の開始や活動への参加を素早くできるようにするためです。グループに参加するとき、参加者は、参加者向けのライセンス契約書(CLA)にサインして、自分の活動の成果が使用料無料で使えるということに同意します。このような契約条項はW3Cの特許についての方針と同じです。従って、後になってグループの活動を標準化するのも簡単になります。仕様に関する特許の安全性を高めるために、グループは参加者に(任意で)"最終仕様合意書"にサインを求めることができます。これによって仕様全体に対してCLAと同じように同意を求めることができます。

またこの方針の作成には他の点も考慮ました。特許の所有者がグループに参加しやすくするという目標と開発者が仕様を安心して使えるようにするという目標のバランスを取るためです。

InfoQ: コミュニティグループとビジネスグループに比べてW3Cメンバシップはどのような利点がありますか。

W3Cのメンバはこの組織の技術的、戦略的方針を決定するという基礎的な役割を担います。新しい標準に向けた提案や戦略会議、継続中の審議などを通じてメンバは職員とともにこの組織が取り組むべき標準化についての課題を設定します。メンバはワーキンググループにもインターネットグループにも参加できますし、コミュニティグループやビジネスグループにも(無料で)参加できます。

コミュニティグループは幅広い参加を受け入れることができます。メンバもメンバではない方も参加できます。しかし、標準化に対してはメンバとメンバでない方の影響力は同じではありません。

ビジネスグループが提供するのはコミュニティグループとメンバシップの中間くらいの利点(メンバでない方や個人でのビジネスグループへの参加が有償なのはこのためです)です。例えば、職員によるサポートや各種調整などを享受できます。

年間の粗利益が50万USドルを越える法人がW3Cのメンバになる場合、年会費68,500USドルを払わなければならない。これ以外の組織や非営利法人や行政組織の年会費は7,900ドルだ。ビジネスグループに参加する場合、大きな(メンバではない)法人(粗利益が50万USドルを越える)は年会費10,000USドル、それ以外の組織は年会費2,000USドル。無所属の個人の場合は、年会費$300USドル。コミュニティグループには無償で参加できる。W3Cのメンバは追加料金なしですべてのグループに参加できる。

既に設立されたグループもある。一般ウェブ技術コミュニティグループは現在のウェブ技術を評価する。インタラクティブな3Dの要件を考えるウェブアーキテクチャのための宣言的3Dコミュニティグループ。権利記述言語であるOpen Digital Rights Languageを考えるODRLイニシアチブコミュニティグループ。どこでも利用できる決済システムの標準を考えるウェブ決済コミュニティグループ。セマンティックウェブの技術の産業への適用を考える石油、ガス、化学ビジネスコミュニティグループなどだ。

このようなグループはソフトウエアコミュニティを招待している。様々な産業で利用できるウェブ関連の、広く受け入れられる新しい仕様を開発するためだ。

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