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“標準が成功するのは人々がそれを話題にしなくなったとき” - Richard Soley (OMG CEO)

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原文(投稿日:2011/08/28)へのリンク

Object Management Group (OMG) CEO の Richard Soley 氏が SearchSOA とのインタビュー の中で,クラウドコンピューティングと SOA の採用パターンをハイプサイクルの効果という面から解説している。インタビューの主な話題は,クラウドコンピューティングが大企業よりも新興企業に対して関係が深いことの,財務的および技術的な理由に関するものだ。

氏はクラウドコンピューティングに関する誇大な宣伝が,ちょうど過去10年間に SOA を巡って経験された激しい変化のように,その本当の価値を分かりにくいものにしていると考える。同時にまた SOA が,ハイプサイクルの終わった幻滅の後も多くの組織で採用され続けている,という事実にも言及している。その裏付けとして氏があげているのは,OMG における SOA コンソーシアムの成功と,OMG のビジネスエコロジー構想の継続だ。ハイプサイクルに対する氏の見方は,次の言葉に表されている。

SOA は主流になったのかと問われるなら,答は "Yes" です。標準の成功を判断する材料のひとつは,人々がそれを話題にするのを止めて,単にそれを行うようになった時なのですから。

同じように氏はハイプが,クラウドコンピューティングが素晴らしいアイデアであるという評価に影響しないことを望んでいる。しかし現実としてのクラウドコンピューティングでは,セキュリティやレガシーシステムの移行,あるいは相互運用性に関する標準など,大規模なビジネス導入に影響を与える懸念に対処できていない。その一方で,運用コスト(opex)対設備投資(capex) の議論ではクラウドコンピューティングを,新興企業のあり方を根底から変えるものである,としている。すなわち,

クラウドコンピューティングは資本コストを経費コストに転換するものですから,新興企業にとっては大きなパラダイムシフトになります。資本不足で限られたコンピュータ機材しか持たなくても,あるいは何も所有していなくても,事業を開始できるようになります。そして事業が発展した後に,クラウド上のコンピュータパワーへのアクセスを – 必要に応じて柔軟に – 購入すればよいのです。

 

クラウドコンピューティングが大企業よりも新興企業にとってパラダイムシフトであるとする理由は,もうひとつあります。問題なのはレガシーシステムです。単にレガシーアプリケーションをクラウドに移行する,というだけではありません。手元に残ったコンピュータリソースを,いかにしてパブリッククラウドで実行されるシステムと統合するか,という点が重要なのです。

クラウド実装管理の技術的懸念に対処する標準の大半がそもそも存在しない,という問題を別にしても,クラウドの移植性標準には唯一の勝利者がいまだ現れていない。しかし氏の話の中にも,Cloud Standards Customer Council (CSCC,クラウド標準ユーザ協議会) の創設という明るい兆しはある。CSCC はエンドユーザによるグループ組織で,OMG や The Open Group, WWW コンソーシアム,IETF, DMTF といったクラウド標準化組織に対する要求の定義,その優先順位の設定などを担当している。

あなたはどう考えるだろう? 他のハイプサイクルとの比較は可能か,あるいは最終的に,SOA ハイプサイクルとでも呼ぶべきものに帰着するだろうか。それとも SOA の性質に特有 の何かが存在しているのだろうか?

 

 

 

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