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SOPA, PIPA - 技術者としての関心

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原文(投稿日:2012/01/22)へのリンク

1月18日,wikipedia.org など約 10,000 のサイトが,SOPA と PIPA を承認する米国の立法計画に抗議するためにサービスを停止した。法案の投票は最近になって延期されたが,インターネットコミュニティは引き続き状況を注視する必要がある。ソフトウェア技術者には影響がないと思っているかも知れない。もし米国外にいるのならなおさらだ。しかしながら,ビッグデータやクラウドコンピューティングなどの動向を考えれば,それはあまりにも単純な見方と言えるだろう。

Wikipedia によると,SOPA (Stop Online Piracy Act / オンライン海賊行為防止法案) は Lamar S. Smith 下院議員の提案によるもので,その目的は,

米国の法執行機関による,知的財産や模倣品のオンライン不法取引への対処能力を向上することにある。条項には,著作権侵害の Web サイトによるネットワーク広告や決済機能などビジネス行為の禁止,そのようなサイトに対する検索エンジンのリンク禁止,および ISP(Internet Service Provider) に対してそのようなサイトに対するアクセスブロックの要求といった裁判所命令の要請が記載されている。この法律では,著作権侵害のストリーミングを対象とするように既存の刑法を拡張した上で,最高で懲役5年の刑を科すものとしている。

PIPA (Protect IP Act / 知的財産保護法案) ,より正確には "経済創造性に関するリアルオンライン脅威と知的財産の盗難を防止する法律" は,Patrick Leahy 上院議員によって提案され,以下のような侵害行為を定義している。

違法コピー,偽造品,あるいはデジタル著作権管理 (DRM) に反する技術の配布。"[そのサイトを] 使用した,主体的に従事した,運用を許可した,あるいはそれらの行為のほう助を示す事実ないし状況証拠が存在する" ならば,侵害として認められる。この法案は既存の実体的商標法,あるいは著作権法を変更するものではない。

SOPA と PIPA の対処する目標は正しいが,提案されている手段は果たして正しいのだろうか? 反対者が SOPA と PIPA に危惧するのは,ただひとつの場所で侵害行為の事実が見つかった場合にもドメイン全体が ブロックされる可能性があるため,それが自由な発言や革新に対する脅威となるのではないか,という点だ。このようなインターネットブロックの影響は,中国などの国家で実際に経験することができる。

従業員のひとりが企業の Web サイトに不正なファイルをポストすれば,少なくとも理屈の上では,企業サイト全体が法的処置により停止させられる可能性がある。要するにこの法律は,個人の違法行為の責任をインフラや Web プロバイダにシフトするものなのだ。企業がますます世界規模の分散ネットワークを利用して,情報やコンテントを交換する Web アプリケーションを提供し展開するようになれば,このようなリスクも単なる理論上のものとは言えなくなる。疑問に思われるのは,このような著作権違反や侵害行為に対処するソフトウェアが設計可能かどうかだ。

John Traenkenschuh ( InformIT) 氏や J.D. Hildenbrand (SD Times) 氏など多数の IT 専門家や ゲーム開発者 らが,SOPA と PIPA に対する意見を表明している。

著作権違反や侵害行為を防止する必要があるのは当然だろう。しかし言論の自由やイノベーションの観点から見た場合,SOPA や PIPA のような法案による代償はあまりにも大きいのではないか。法律から直接影響を受けるのは,コンテントやファイル共有を行う Web やクラウドアプリケーションを開発するソフトウェア技術者たちだ。そのためエンジニアとしても,あるいはソーシャルサイトのユーザとしても,これらの法案を無視することはできない,というのが SOPA/PIPA 反対論者の言い分だ。

この問題に付いて関心があるだろうか? SOPA と PIPA に対して,どのような意見をお持ちだろう?

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