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HP が webOS のブラウザ Isis をオープンソース化

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原文(投稿日:2012/02/15)へのリンク

HP は QtWebKit ベースのブラウザ Isis をオープンソース化するとともに,Open webOS ガバナンスモデル の基本方針を提示した。

HP はこの 1月から Open webOS の提供 を開始している。最初にオープンソース化された JavaScript フレームワークの Enyo は,同社の発表によると,最近3週間で 40,000 回以上ダウンロードされた。HP はさらなるオープンコードのリリースを2月に行うと約束していたが,新たに webOS ブラウザ Isis のコードをリリースし,webOS の今後の開発における ガバナンスモデル を提供したことによって,その約束を守ったことになる。さらに WebKit の JavaScriptCore の統合も発表されている。今月後半には Enyo ウィジェットがリリースされる予定だ。

このニュースで興味を引くのは,元々は Nokia がオープンソースにした QtWebKit をベースとするブラウザである Isis のコード公開だ。WebKit ベースのブラウザエンジンの採用を決定したのは,HP によれば動作が高速で,かつ標準に準拠していたからだという。応答性のよい UI を提供するために,Isis はユーザインターフェースとレンダリングプロセスを分離したクライアントサーバモデルを採用している。Browser Server がコンテントの内容をオフスクリーンの共有バッファにレンダリングして,Browser Adapter がバッファの内容を画面に表示する処理を担当する。

Isis は Netscape プラグインと Flash をサポートする。 Isis のインターフェースは Enyo で記述されているが,HP では将来的に他のプラットフォームへの移植を計画している。タブレットを含む,さまざまなデバイスフォームファクタがその対象だ。ソースコード は Apache 2.0 ライセンスで提供されている。

ガバナンスモデルでは webOS の管理性と開発者の関与を促進するため,プロジェクトを Enyo と Isis, Linux 標準カーネル,webOS システムマネージャという複数の小規模プロジェクトに分割することも言及されている。各プロジェクトは,コミュニティから選出されたコミッタで構成されるプロジェクト管理委員会 (Project Management Committee / PMC) が主導する。当初はすべてのコミッタを HP から選出するが,その後はコミュニティの他のメンバが,関与の内容に基づいて選出される予定だ。モデルでは "総意による意思決定","オープンで透明なコミュニケーション","コミュティを尊重した責任ある管理" を約束している。全体として,HP の採用したモデルは Apache の方法 に着想を得ている。しかし Apache へのプロジェクト委託を示唆するものはなく,そのような計画も存在しない。

HP は webOS のオープンソース化にかなり深く関与していて,リリース計画の決定にも固執したようだ。プロジェクトの将来がメーカや開発者の採用に強く委ねられている今は,その成否を予想するのには時期尚早だろう。Linux 標準カーネルを採用したことによって,デバイスメーカが採用しやすくなったことは確かだ。しかしながら HP が TouchPad であまりにも手痛い失敗をした後であり,しかも Android タブレットが十分な市場シェアを獲得できていない現状において,それを行う勇気を持っている企業がどれ位あるのかは分からない。

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