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Oracle対Googleの審理

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原文(投稿日:2012/04/28)へのリンク

 

Oracle対Googleの審理で、Googleの会長であるEric Schmidt氏は同社がJavaのライセンスのためにSunに求められた30万ドルから50万ドルを払う用意があったと発言した。GoogleはSunが求めた金額は拒否しなかったが、Androidをより自由に扱いたかったという。同社がAndroidを開発しリリースした時のCEOだったEric Schmidt氏とSunのCEOのJonathan Schwartz氏のメールのやり取りが陪審員に提供された。

Wiredによれば、Schmidt氏は"払う用意はあった"と発言した。しかし、SunがGoogleにJavaのソースコードに触ることを許可するつもりがないことが明らかになったので、GoogleはJavaの"クリーンルーム実装"を始めた。Schmidt氏が証言する前、Android社の創業者であったAndy Rubin氏は月曜と火曜の証言で、このクリーンルーム実装がGoogleが作ったものだと発言した。しかし、審理で明らかにされたRubin氏の内部向けのメールには、この開発がどれだけ難しいものになりそうかが書かれていた。

チームの知識が足りないので、クリーンルーム実装は上手くいかないと思う。それに業界に対立する立場を取るのは、私たちに似つかわしくない挑戦的なやり方だ。

ComputerWorldは、Rubin氏のメールにJava.langAPIが著作権で保護されていると書かれていたことについての、Oracleの弁護士であるDavid Boies氏とRubin氏のやり取りを報じている。

Boies氏: "Sunによって著作権で保護されているという意味ですか。"

Rubin氏: "そうは書いていません。"

Boies氏: "でもこれはSunによって、ということでしょう。"

Rubin氏: "ええ、この文脈ではAPIは著作権で保護されているという意味だと思います。"

Boies氏: "Sunによって?"

Rubin氏: "そうですね。"

Sunの前CEOであるJonathan Schwartz氏は水曜に証言に立ち、SunはJavaのAPIをオープンにするべきたと考えていた、と証言した。氏はこのAndroidについての係争をApache Harmonyを巡る問題に絡めて説明している。氏によれば、Javaというブランド名を使わない限り、Apacheソフトウエア財団がJavaのAPIを実装した製品をリリースするのにJavaのライセンスは必要ない。しかし、CNETの報道によれば、氏は、GoogleのAndroid発表をSunが全面的に支持していたわけではない、とも証言している。

我々は、[GoogleがAndroidを使ってやっていたことを]好ましく思っていませんでしたが、非難して止めるつもりはありませんでした。....我々が見たのは私たちのブランドやライセンス制約を回避する携帯端末です。...我々は歯軋りしながらも、Androidを支持することにしました。Androidの支持者に対して、Sunもバリュー・チェーンの一部を担っていることを示すためです。例えば、開発者がNetBeansを使ってAndroidアプリを作れるようにしたり、 Android上で動作するJavaFXを開発したりしました。

反対尋問の中で、Oracleの弁護士Michael Jacobs氏はSchwartz氏から、この問題はSunの法律的立場の問題ではなく、ビジネス上のアジェンダの問題だ、という発言を引き出した。ZDNetによれば、Schwartz氏は"私の仕事は事業戦略を決めることで、契約書を書くことではありませんでした"と発言している。またJacobs氏は、SchwartzはOracleによるSunの買収が完了する際、CEOを辞めさせられたのか、と尋ねた。これに対してSchwartz氏は"私は自分から退職したのです。すでにCEOがいましたから"と答えたという。

そして、金曜にはOracleのCFOであるSafra Catz氏が証言に立ち、氏や氏の同僚がどのくらいGoogleにJavaのライセンス料を支払わせようとしてきたか説明した。しかしGoogleは、同社はオープンソースを適切に利用しているだけで、Oracleの知的財産を侵害していない、と主張した。

また、この公判では普段Googleが公表していないAndroidの収入の一部が明らかになった。The Vergeに掲載されている、2010年7月のGoogleのプレゼンテーションの予測によると、同年のAndroidの収益は278.1万ドルだ。その内158.9万ドルが広告からの収益で、アプリの収益はたった3.8万ドルしかない。これは、GoogleがiOSデバイスから生み出している収益よりもかなり少ない。Googleは2011年と2012年に1000万台のAndroidタブレットを販売し、タブレット市場の3分の1を確保しようとしている。

著作権に関する事案の最終弁論は月曜に行われる予定だ。また、陪審の評決も来週中に答申される可能性がある。その後、Oracleのふたつの特許請求の審議が行われる予定だ(3つ目の特許請求は既に却下されている)。陪審にはAPIが著作権で保護される可能性があることが説示されているが、評決の答申後にAPIが著作権で保護されるかどうかを裁定するのはWilliam Alsup判事だ。

さらに混乱に拍車をかけているのは、GoogleがOracleが主張するJava APIの著作権の一部を無効にする判決を求めていることだ。GoogleはOracleのAPIを実装するためのソースコードやオブジェクトコードは著作権で保護されている著作物の派生物ではないと主張している。また、今回審理の対象となったJavaコードをコピーすることは取るに足らないことであり、起訴の対象になり得ないとも主張している。Googleの報告によれば(Groklaw)、

以下の見地により、Googleは法律問題としての判決を受ける権利を有します。第一に37のAPIを実装したソースコードとオブジェクトコードはOracleの仕様の派生物ではありません。第二にセクション102(b)や、メソッド名やメソッドの引数のような短い字句が著作権保護の対象にならないことを踏まえれば、メソッドのシグネチャは保護されません。第三に係争対象である単なる字句のコピーは些細なことであり、起訴の対象になりません。第四に37のAPIパッケージの仕様はOracleの仕様を侵害していません。第五にOracleは著作権登録に影響を受ける実質的な著作物を示せなかったため、Googleは著作権全体の事案について法律問題としての判決を受ける権利を有します。第六に法廷がOracleの新しい"集団的な著作物"という考え方を受け入れる限り、Oracleはそれら著作物の個別の著作権を証明できなかったため、Googleは著作権登録された著作物のすべての個別の要素に対して侵害していない、という法律問題としての判決を受ける権利を有します。

Oracleは"著作権を侵害している製品と比較するために、37のAPIパッケージは著作物全体を包含する"と主張している。これは、Javaプラットフォーム全体がOracleの著作権規約の下にあるというGoogleの主張と対立する。この記事の執筆時点ではこの問題は解決していない。陪審の評決がOracleに有利であったとしても、それは表面的な勝利なのかもしれない。

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