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Wikispeed - アジャイルですばらしいことをする

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原文(投稿日:2012/07/23)へのリンク

 

Wikispeedの創業者でビジネスプロセスコンサルタントのJoe Justice氏が、ニュージーランドのウェリントンで開かれたAgile Professional’s Networkのミーティングで講演した。彼の話は、Wikispeedが「社会善(Social Good)のためにすばやく課題解決すること」をモットーに、社会的課題を解決するための国際的なボランティアネットワークを構築すべく、アジャイルテクニックを使ってやってきたことについてだった。

彼らが取り組んだ最初の課題は、100MPG(1ガロンで100マイル走る)自動車づくりだ。彼らは「安全で、手頃な、極めて効率のよい車」を作り上げ、プロジェクト開始から3ヶ月で、最初の動作する公道走行可能なプロトタイプを作った。

彼は、アジャイルソフトウェア開発からのプラクティスをたくさん取り入れたTeam Wikispeedのアプローチと、従来の製造アプローチとを対比して語った。従来の製造方法だと1000万ドル以上かかるドアの金型を例にあげ、「もしエンジニアがドアをもっと安く安全に作る方法を見つけたとしても、金型のコストが償却されるまで、会社は新しいやり方で作りたがらないだろう。」と言った。

彼は、自動車を完全にモジュール構成にし、アジャイルプロセスによって変更コストを削減することで、すばやい開発サイクルを実現したTeam Wikispeedのやり方について説明した。

WikispeedのWebサイトでは、彼らのプロセスを以下のように説明している。

  • リーンソフトウェア設計からは、どこに責任があろうともムダを減らすという考えを取り入れています。これは「ムダを減らす」ための常識的な指示に基づいており、現代のソフトウェアチームによって明確で適用可能なやり方で定義されています。
  • XP (Extreme Programming)からは、ペアリングとスォーミングのプラクティスを取り入れています。これらのプラクティスは少なくとも師弟モデルまでさかのぼりますが、トレーニングやプロセスドキュメントといったいろいろなニーズを置き換えるべく、注意深く定義されています。
  • アジャイルソフトウェア開発からは、変更コストを削減するという原則を取り入れています。ここで言う変更とは、チーム、材料、機構、さらにはゴールに対する変更まで含まれます。
  • スクラムソフトウェア開発からは、明確に定義されたロール&レスポンシビリティを取り入れています。これによって、機能しない(マネジメントだけの)役割をなくし、ミーティングを2つだけにして、製品をすばやく開発することに時間がかけられます。
  • テスト駆動開発から、まず失敗するテストから始め、それからソリューションを開発する、というやり方を取り入れています。これにより、現在やっている作業がテストをパスさせることに向けられていなかったり、システムのほかのところに問題を引き起こしていたりすると、すぐにわかります。これらは時間のムダです。
  • オブジェクト指向プログラミングからは、契約ファースト開発を取り入れています。これはWIKISPEEDカーのモジュラリティとソリューションすべてを可能にしています。

彼は写真を見せながら、100MPG自動車を作る1000万ドルのチャレンジ、Progressive Insurance Automotive X-prizeへの参加準備中の自動車の進化について説明した。Team Wikispeedよりずっと資金豊富な参加者らがいるなか、彼らは146チーム中10位に並んだ。

そのコンペ以降も、彼らは自動車の開発を続けている。現在のバージョンについてはここで見ることができる。自動車は2万5千ドルで販売されている。

Justice氏はこう話を続けた。車を作ることが究極の目標でない。自動車づくりに、オープンソースやクラウドソース(crowd-source)を使い、アジャイルの価値と原則を土台としたまったく新しいアプローチで取り組んでいるのだ。

開発センターは世界各地にある。彼らは優先順位づけられた開発アクティビティのバックログを使っており、各センターには、全体のプロダクトバックログに連動した自分のバックログアイテムがある。チームメンバはそのスキル、知識、手の空き具合によって貢献し、現地チームは自分たちのバックログにあるアイテムに取り組むよう自己組織化されている。バックログはここで見ることができる。バックログのアイテムは自動車づくりを超えて、ワクチンの配布など他の領域の社会善にまで及んでいる。

彼は最後に「爆発の前でゴリラとサメがハイタッチしている」絵を見せ、聴衆にこう促した。自分の人生にすばらしさをもたらそう、週に2-4時間かけて「社会善のためにすばやく課題解決すること」に関わろう。チームWikispeedに参加するか、社会に貢献する別の方法を見つけるかしてね。

Wikispeedのモデルは、ITの範疇を超えてアジャイルを取り入れ、そのアプローチにより持続可能な社会的利益を提供することを目指している。

彼のウェリントンでの講演ビデオはここにある。Justice氏は8月のAgile 2012カンファレンスでキーノートをする予定だ。
 

 

Shane Hastie氏。 オーストラリアとニュージーランドでソフトウェア教育に取り組んでいるアジャイルコーチ、トレーナ、コンサルタント

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