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APIコミュニティでの議論 - ガバナンス対イノベーション

原文(投稿日:2013/03/12)へのリンク

 

先日の API Strategy and Practiceカンファレンス でのホットな話題は,"APIガバナンス"の必要性についてだった。スタートアップからベンダ,大企業に至るまで,APIの実務家と専門家たちが幅広くこの議論に参加していた。

Smartbear Softwareでソリューション戦略ディレクタを務めるLorinda Brandon氏は,その 議論の報告 に合わせて,ガバナンスとイノベーションは "敵でなければならない" のだろうか,と疑問を呈している。氏が指摘するのは,カンファレンスのさまざまな参加者の中で,以前から意識されていた大企業と新興企業のギャップが,今も変わらず残っていることだ。"この違いは 「ガバナンスおよびプロセス」 と 「急速なイノベーション」 の対立として,私がこの業界に入った当時から常に存在していたものです。"

カンファレンスに参加した技術者のほとんどが,新しいAPIエコシステムの最前線でイノベーションを推進する側にいることは間違いない。その一方で大企業には,信頼性と品質を重視するユーザからのプレッシャがある。氏はそのどちらの陣営にも加わりたいと思っている – プロセスと品質管理を信奉するこの業界において,踏みにじられることなくイノベーションを "楽しむ" ための,それが手段だと考えるからだ。そして "ガバナンスとイノベーションを統合する術を見つけられれば,お互いに完璧なパートナシップを構築することができるはず" と結論付ける。

氏の意見に賛同した,カンファレンス主催者のひとりでもあるAPIエバンジェリストのKin Lane氏は,"ガバナンス" よりも適切な言葉 はないかと考えている。 ガバナンスにはポジティブな意味とネガティブな意味がある。ネガティブな意味では権力,官僚主義,権威,管理であり,対照的にポジティブには指導,影響,協調,標準化という意味を持つ。過剰な権力や管理がイノベーションを抑圧することを大部分の経営者が理解していない,と氏は嘆いている。APIがイノベーションのレベルに達するまでに成長し,進化するためには "酸素" が必要なのだ。

この話は 2008年初めのSOAコミュニティ で起きた同じような議論を彷彿とさせる。ZDNet記者でアナリストのJoe McKendrick氏が,当時この件を取材していた。テクノロジの世界だけの問題ではないだろう。同じZDNet記者でアナリストのDion Hinchcliffe氏は,Running Your SOA like a Web Startup と題した自身の記事に,イノベーションとは何をするかではなく,どのようにするかという問題だ,と書いている。

APIがSOAに増して持つイノベーションのひとつは,コラボレーションや開発者の関与,セルフサービスといったものの恩恵を受けていることだ – ミドルウェアベンダWSO2のCTOであるPaul Fremantle氏はこのように指摘して,ノー・ミーティング アプローチと呼んでいる。今回の議論に注目して,果たしてAPIがガバナンスとイノベーションのトレードオフをうまくやってのけられるのか,成り行きを見守るのも面白いのではないだろうか。読者の考えはどうだろう?

 

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