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アジャイルを使って分散型開発チームを構築する

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原文(投稿日:2013/12/04)へのリンク

XP Days Benelux 2013カンファレンスでJoost MuldersとAndriy Korpan両氏が,分散アジャイルチームについての体験談を発表した。両氏はオランダの製品開発会社において,ウクライナのニアショア開発チームを統合した経験を解説した上で,そこで得た分散型アジャイルでやるべきこと,やってはいけないことについて話した。

Mproofは中規模の企業を対象として,ITサービス管理ソリューションと管理サービスを提供する,アジャイルソフトウェアベンダである。競合他社の業務拡張に遅れをとらないため同社では,ウクライナの企業であるSymphony Solutionsと協業することにした。最初に採用されたウォーターフォールアプローチが成功しなかったので,同社はアジャイルに移行することを決定した。分散型アジャイルに必要不可欠なものとして,両氏は5つのものを挙げている – 文化,コミュニケーション,コミットメント,コネクション,そして能力管理だ。

Joostの言を借りるならば,"文化は作り出すのではない,育てるものなのだ"。例えばウクライナには,男女間の労働環境に違いがある。スクラムマスタの役割を担う上では,チームのオランダ側に女性を選任して,ウクライナ側の女性をサポートすることによって,この問題に対処した。それとは別に,チーム内の年少者と年長者の配分を維持しつつ,年少者と年長者を同じレベルにするような変化を促すことで,すべての人々とその意見の価値を明確にした,という例もあった。

電話会議だけでは参加者の意識を引き込めないということが分かったので,両氏は通常のミーティングやコードレビュー,ペアプログラミングでもビデオを活用することにした。さらに,メンバ同士が顔を合わせることができるように,当初はプロジェクトマネージャではなく,チームメンバが出張をするようなアレンジも行った。結果としてすべてのメンバが出張を経験し,お互いを知る時間を持つことができたのだ。現在では,子供の世話のため出張を望まない人も考慮に入れるなど,チームメンバの都合や必要性に合わせた調整も行っている。これについてAndriyは,"遠隔地で作業する人たち同士のコミュニケーションは,直接的に顔を合わせる機会があるかどうかで大きく違う" と説明している。

分散型チームでさらに困難なのは,チームメンバ全員がチームに対して参加意識と責任意識を持つことだ。責任の意識については,オランダのチームメンバに対して優先的な扱いを一切行わないこと,スクラムマスタをウクライナから選出することによって改善することができた。チームとしては,定期的に顔合わせを行うとともに,会社の通常のイベントには,相手側のメンバであっても可能な限り参加するようにした。

チームメンバに会話がない場合,共有のコーヒーメーカやランチを共にする習慣がないのであれば,チーム内コネクションを促進するために他の方法を見つけなければならない。両企業はこれを機に,仕事とプライベートの両面でソーシャルメディアを活用することにした。さらにはオンラインサッカー大会といったような,ソーシャルイベントも組織した。"チームがコミュニケーションの楽しさを感じられるように,一緒に働くことを楽しめるようにしたいのです。" とAndriyは言っている。

最初の頃のニアショアチームは,リソースのプールという扱いだった。開発力を要求される一方で,直接的なフィードバックは認めず,ウクライナのCEOを経由する方法に限定されていた。この方法が期待通りにいかなかったため,管理のアプローチを変更することにしたのだ。オランダ側のチームメンバがウクライナチームのメンバ採用に関与して,評価のために直接の作業指示を出すようにした。そしてチームのオランダ側とウクライナ側の間に,オープンなフィードバックを形成するためのレビューを導入した。

分散型開発チームの構築には時間と組織的な取り組み,お金と労力の投資を必要とする。分散型チームはアジャイルの手法,つまり学習と改善の繰り返しによって実現可能だ。

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