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GoogleのコンテナツールをMicrosoft, IBMなどがサポート

原文(投稿日:2014/07/16)へのリンク

Googleは先頃,Kubernetesを披露した。大規模なDockerコンテナを管理するための,オープンソースのオーケストレーションツールだ。先週末にはMicrosoft, IBM, RedHat, Docker, Mesosphere, CoreOS, SaltStackといった企業が支持を表明し,同プロジェクトを支援すると約束した。各ベンダの支援にはそれぞれ独自の理由があるとしても,この迅速なコラボレーションはLinuxコンテナの勢いの強さを示すものだ。

Google上級副社長のUrs Hölzle氏はブログ記事で,コンテナの優位性を大いに売り込むとともに,前述のベンダをプロジェクトが歓迎すると述べた。

本日,Microsoft, RedHat, IBM, Docker, Mesosphere, CoreOS, SaltStackの各社がKubernetesコミュニティに加わりました。プロジェクトに積極的に貢献してくれることと思います。各企業が独自の強みを提供することによって,Kubernetesがアプリケーションや環境を問わず – プライベート,パブリック,ハイブリッドいずれのクラウドにおいても,強力かつオープンなコンテナ管理フレームワークになり得ることを,私たちは共に確信しています。

Hölzle氏によるとMicrosoftは,Kubernetesを同社のAzureクラウドに対応させる作業を行う。RedHatは自社のハイブリッドクラウド製品にサポートを追加する予定だ。IBMはガバナンスモデルの確立を通じて,KubernetesとDockerにコントリビュートする。Dockerは,libswarmという自社の同種サービスをKubernetesに適合させると約束している。CoreOSは,同社のDocker指向オペレーティングシステム上でのKubernetesの動作を保証する。Mesosphereは,自社のMesosという管理システムにKubernetesを統合するとしている。SaltStackは,Kubernetesを同社の構成管理ツールセットの一部とする予定だ。

コンテナのアイデアは新しいものではない。しかしDockerは昨年,シンプルなアプローチを持って突如として登場し,この技術概念に対する関心に火をつけたのだ。企業での採用が広がると,必然的にスプロール現象 – Googleによると1週間で20億以上のコンテナが起動されたという – が発生し,効率的な管理機構が急務となった。この問題にKubernetesがどう対処するのか,CoreOSチームが説明する。

Kubernetesはポッド(pod)というコンセプトを導入します。ポッドは,ひとつの論理サービスとしてデプロイされるべきコンテナのグループを表すものです。ポッドの概念は通常,コンテナ毎に単一のサービスを実行するという,一般的なパターンに適合しています。Kubernetesはこれを,単一のマシン上あるいはクラスタ全体で複数のポッドの実行を容易にすることによって,リソースの利用性を向上し,高可用性を実現します。それと同時にポッドの状態をアクティブに監視して,クラスタ内で常に動作していることの保証も行います。

DockerやKubernetesを巡る関心の高まりは,今日のクラウドで主流となっているサーバ仮想化モデルに対する不満を表すのだろうか? VentureBeatは今回のコラボレーション発表の背景として,このような点を指摘する。

Kubernetesに対して新たな支援が現れたことで,セグメント化が進む上にプロプライエタリ化の傾向も見られるハイパーバイザ技術が見限られることになるかも知れません。ハイパーバイザはサーバオペレーティングシステムの最上位に位置し,各物理サーバでアプリケーションを実行するために,多数の仮想スライスを生成します。開発者や企業がKubernetesを使い始めるようならば,VMwareなどハイパーバイザソフトウェアを販売している企業は,コンテナ化のムーブメントに加わるための方法を検討し始めることでしょう。

多様なKubernetesコントリビュータ – Amazon Web Serviceの名前がリストにないことは注目に値する – たちはこのテクノロジを,パブリッククラウドとプライベートクラウドの両方で推進したいと考えている。このようなフレームワークは,“企業が特定のクラウドプロバイダやオペレーティングシステムプロバイダに囲い込まれることを"防止するという意味で,クラウドおよび非クラウド開発者のいずれにも有益である,とVentureBeatは指摘するNew York Times Bitsブログのインタビューでは,Google Cloud幹部のMiles Ward氏がKubernetesについて,パブリッククラウドとプライベートクラウドの橋渡しとして有効だと述べている。Googleは完全なパブリッククラウド企業ではあるが,“企業内部のコンピューティングに関連する予算は,現在も数兆ドルに及んでいる”ことも理解しているのだ,と氏は言う。コンテナは従来のサーバ仮想化を死の淵に追いやるだろうか? “仮想化はもはやナンセンス”だ,未来はコンテナにある,とKerbenetesに協力するMesophereは考えている。その一方でMicrosoftは,コンテナはシステムの実行に使用するソリューションのひとつに過ぎない,という意見だ。

Googleにとって,この珍しい組み合わせのグループで作業することによるメリットはどこにあるのだろう? Googleにとってコンテナは,広範な投資を迫られる破壊的技術である反面,成長を続ける自らのプラットフォームにとって極めて都合のよい技術でもあるのだ。GigaOmとのインタビューでは,このあたりが詳細に説明されている。

GoogleのプロダクトマネージャであるCraig McLuckie氏は,今回の活動において,検証と開発を実施し,一般的なソフトウェアパートナのエコシステムを構築する上で,パートナを持つことの重要性を認識しています。“本気のソフトウェア企業を持つこと ... コンテナに本気で取り組むことが重要になるでしょう。” と氏は言いました。“コンテナは破壊的技術なのですから。”

しかしながら,DockerとKubernetesがアプリケーション管理の標準メソッドになれば,クラウドにおける差別化のポイントはインフラストラクチャのレベルにまで後退することになります。そこはGoogleが,世界最大を構築した数十年の経験によるアドバンテージを持つと自負する場所なのです。“私たちは,インフラストラクチャの品質に大きな自身を持っています” と氏は言います。基盤となるインフラストラクチャに基づいてユーザがプロバイダを選択するテクノロジこそが,と氏は付け加えました。“Googleにとって極限的に有利なのです。”

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