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BDDは境界よりも向心性を重視するコミュニティである

原文(投稿日:2015/04/16)へのリンク

先日CukeUp 2015カンファレンスのパネルディスカッションで,振る舞い駆動開発(BDD)とは実際には何なのかを説明する試みが行われた。Paul Rayner氏にとってのそれは明確だ。BDDは価値観においてコミュニティ指向なのであって,境界や排他的な意味でのコミュニティを重視しているのではない。その原則が,新たなプラクティスの導入に対してオープンであることに変わりはないのだ。

DDDとBDDのチームコーチおよびデザインメンタを業務とするRayner氏は,コミュニティに対する境界重視(Bounded Set)と中心重視(Centered Set)という2つのアプローチの起源として, 人類学者であるPaul Hiebert氏の著作を引用している。境界重視のアプローチとは,集合に参加するオブジェクトが必ず保持しなければならない,いくつかの基本的な特性を定義する方法だ。明確な境界により,オブジェクトは参加可能か不可能かのいずれかで,その中間はあり得ない。これに対して,中心を重視したアプローチでは,オブジェクト間のバリエーションが容認される。境界に代わって重視されるのは,集合の中心に対するオブジェクトの相対的な移動方向だ。中心との距離には関係なく,中心に向かって移動するオブジェクトが,集合の一員として認められる。

BDDが境界を重視した集合であるならば,特定の事例やTDDに従う,というように,BDDを実施する上で必須となる,基本的な特性が定義されるはずだ。BDDを実践していない者を,その主張に関わらず明確に区別して,BDDの実践者を決定するためには,境界を維持することが非常に重要となる。

BDDにおける中心は,Rayner氏が示唆するように,コミュニティがその中心として持つ原則と価値によって定義される。氏は今回のパネルセッションで,その内容を明確に列挙することができたと考えている。さらに氏は,BDDを学び始めたばかりで,それゆえ中心からは遠い位置にいる者であったとしても,中心を目指している限りはBDDの実践者と見なされる点を指摘する。それでもまだ,BDDの実践者とそうでない者の明確な区別は存在する。コラボレーションを一切排除したウォーターフォールをBDDとは呼べないからだ。

Liz Keogh氏は先日,他のメソッドや原理から派生した方法論との境界が不明確なため,BDDの定義は困難である,という内容の記事を書いた。その代わり氏は,BDDを一種のアンカー的な用語だとしている。中心をなすのは会話とコラボレーション,それらを自動化するためのシナリオであり,それをさまざまな知識をもたらす多数のプラクティスとツールが取り囲んでいるというのが,氏の考えるBDDの姿だ。

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