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Infosysがベルカーブによる業績評価を廃止

原文(投稿日:2015/09/30)へのリンク

InfosysのCEOであるVishal Sikka氏は,同社が176,000人の従業員の業務評価を行う上で,これまで使用していたベルカーブ(bell curve,釣鐘曲線)事象の利用を中止すると発表した。同社で人事部門を担当する上級副社長のRichard Lobo氏がThe Economic Timesで,今回の発表について説明している。

今四半期から,強制的な段階評価を廃止します。10月の評価では,従業員はオープンに評価されるようになります。マネージャは今後,称賛と報酬を受ける立場になります。” 上級副社長 Richard Lobo

マサチューセッツ工科大学発行の白書“Punishing by Rewards”によると,今日では多くの企業が,業績評価のプロセスにベルカーブを採用している。ごく限られた数のトップパフォーマを報償し,中間層の大部分には改善を促し,下位層をレイオフするという方式である。白書の著者陣はベルカーブに対して,次のような見解を発表している。

プレッシャは,それを一定のレベル以下に維持できるのであれば,より高いパフォーマンスにつながることが確認できています。しかしながら,従業員に対して定常的なプレッシャとなるレイオフは,パフォーマンス低下の原因となります。企業の業績が低下すると,マネージャはベルカーブの剛性分布に従って,ハイパフォーマも低いレベルに評価せざるを得なくなります。このような人為的降格はハイパフォーマの意欲を削ぐことになり,活動のレベルを低下させます。マネージャの側でも,実質的な部分よりも,目に見えるパフォーマンスの方を重視するようになります。その結果として,企業の人的資本が損なわれる可能性があるのです。

Lobo氏によると,今回の新たな取り組みによって,同社の離職率には改善の兆しが見え始めているという。

人員減少率は13%近くになりました。これ(今回の行動)を決定した最大の理由は,ベルカーブの意識的な廃止にあります。新たなシステムは,業績に対する報酬を明確に重視した,よりオープンで柔軟なものになります。

同様な動向として,Accentureでも年次業績評価を廃止する予定であると,同社CEOのPierre Nanterme氏がWashington Postで述べている。

Ciscoも従業員評価でのベルカーブ方法論の利用を廃止し,新たなフィードバックシステムを導入することを決定した。この発表は同社人事部で責任者を務めるFrancine Katsoudas氏が,IndiaTimesに対して行ったものだ。

従業員の立場からは最も嫌われるプロセスです。 リーダでさえ,そのシステムでは望むものが得られない,と言っています。そうした中で今回,私たちが下した,これまでの評価方法を廃止するという決定は,その規模の面からも非常に大きなものです。これまでの年次評価という概念も,今回の変更で廃止する予定です。

氏によると,Ciscoでは現在,マネージャが部下に対して,年4回の非公式な話し合いの場を持つように要請しているという。

従業員を年末の2ページ程度の書き物で評価するのではなく,4半期毎の対話を通じて彼らの業務を把握し,成果に対するフィードバックを提供することで,彼らの行動が最も重要な目標に沿ったものであることを確認すると同時に,次の段階へと進むための準備と,マネージャ自身がその備えをする時期について会話する機会を持つことを期待しています。

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