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Obeyaによるプロジェクトポートフォリオ管理

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原文(投稿日:2015/10/08)へのリンク

Obeya(大部屋)は,作戦室(war room)とプロジェクト管理の視覚化を特徴とするマネジメントアプローチである。Malika Mir氏は,管理システムとしてのObeyaについて,CIOを対象とした講演をLean IT Summit 2015で行う。イベントの内容はInfoQでも報告する予定だ。

InfoQはMir氏にインタビューして,Obeyaを開発した理由,Obeyaを導入したプロジェクトポートフォリオの管理,実際にObeyaを使用した経験とそこで得られたメリットについて聞いた。

InfoQ: Obeyaの作業方法について,簡単に説明して頂けますか?

Mir: 基本は視覚的な管理です。そのために数週間あるいは数ヶ月を記入した,とても大きな用紙を壁に貼り出します。その上で,各ドメインのマネージャが自身のチームの週次ミーティングを実施して,私たちの決めたトップ3の基準に従って,IT戦略から見たプロジェクト状態についてレビューするのです。最初に私たちは,その3つの基準を決めることから始めました。VOC(顧客満足)の目標率として9/10,品質定義としてプロジェクトのローンチまで3ヶ月間バグ0,営業上合意した最初のデリバリ期限を遵守するオンタイムデリバリの3つです。週次ミーティング中に,達成できたマイルストンは黒,遅延については赤で資料を更新します。

InfoQ: 自身の部門をリードするために,Obeyaを実施しようと決めた理由は何でしたか?

Mir: Obeyaは使う上でも,システムに取り込むのも簡単で,新たな方法論を学ぶ必要がないと思ったからです。しかも視覚的なので,結果をすぐに見ることができます。特に改善については,効果がすぐに分かります。これはチームの団結や,構成を簡略化する上でも有効です。チームリーダが作業で忙し過ぎる場合には,チームの週次ミーティングを欠席することも可能になります。Obeyaでは,チームミーティングは必須になっているので,ベストプラクティスを共有したり,同僚に助言することもできます。スタンドアップ形式でフィードバックや経験を共有することで,わずか1時間のチームミーティングが見違えるほど効率的になるのです。

InfoQ: Obeyaの実践方法について,詳しく説明して頂けますか?Obeyaへの移行はどうだったのでしょう?

Mir: 外部のコンサルティング会社であるOperaeのサポートを受けました。Obeyaを正しく実施するには,その専門的な知識が必要だったからです。彼らはまず現在の状況と,戦略目標に対するデリバリの状況を評価するところから始めました。評価の結果はオフィスセミナの中で,プロジェクト管理チーム全体に対して発表されました。プレゼンテーションが終わると,プロジェクトチームは,それぞれの部屋で週次ミーティングを始めました。これは1時間程度のミーティングで,各プロジェクトマネージャがプロジェクトの進捗と問題点,KPIに関する情報を発表します。進捗はプロジェクトルームの壁にある,大きな用紙に報告されます。参加者全員が同じことばで話し,プロジェクトの状況を理解するために,カラーコードやデザイン体系といったものが使用されています。

InfoQ: Obeyaがポートフォリオ管理にどのように役立つのか,実例で示して頂けますか?

Mir: 私は直属の部下に対して,毎月,私たちの基準に従ったポートフォリオの総合的状況を報告するように求めていますし,問題管理やプロセス全体の改善についても議論しています。

InfoQ: 第1線のマネージャはObeyaをどのように利用していますか?彼らからの評判はどうでしょう?

Mir: 第1線ではフル活用しています。自分たちの行動を完全にコントロールできることの価値を理解しているのです。ベストプラクティスのソースをチーム内で共有することによって,プロジェクトポートフォリオ管理の域を越えようとしています。

InfoQ: Obeyaを使用したことのメリットは何でしょう,例を挙げて頂けますか?

Mir: 全員が同じアプローチを使用するという意味では,明らかに前進したと思います。チームが顧客満足に集中することで,ユーザに納得されるものを提供できるようになった点も評価できます。ここでの重要な指標は顧客満足度です。昨年始めた時点では6/10でしたが,1年後の現在は8/10になりました。これは大きな改善です。私たちはポートフォリオを完全に管理できるようになりました。これまでにはなかったことです。私のチームでは,再発する可能性のある障害への最終的なソリューションを保証するために,問題管理にも力を入れています。私たちは主要なサイトにObeyaルームを設置しました。プロジェクトマネージャとしての次のステップは,Obeyルームでユーザと共にプロジェクト状況のレビューを実施することです。

InfoQ: Obeyaの採用を検討している他の組織に対して,何かアドバイスはありますか?

Mir: Obeyaの実施にはCIOによる強力なリーダシップが必要です。私は今でもドメインのObeyaを訪れて,しっかりした規律とKPI(Key Performance Indicator)重視の姿勢が維持されていることを確認しています。私の執務室にもObeya用の壁があって,ドメイン毎のプロジェクトKPIのコピーが掲げられています。他のCIOにも同じことをお勧めします。ポートフォリオについて議論するよいきっかけになりますし,具体的な疑問や課題が発した場合には,その内容を起点として詳細な調査を行うことも可能です。同じ形式でプロジェクトレビューが実施されることで,関心を高め,維持することや,第1線のマネージャをサポートあるいはコーチする上にも効果があります。

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