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OSF, AllSeen, Microsoftの見るIoTの未来

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原文(投稿日:2016/03/08)へのリンク

IoT接続ソリューションの標準化を目指す,主要なグループが3つある – OCFAllSeen Alliance,そしてThread Groupだ。彼らはそれぞれ別の道を歩むことになるのだろうか,それとも,ひとつに収斂して,すべてのIoTデバイス間コミュニケーションが標準化される日がくるのだろうか?

OIC(Open Interconnect Consortium)は先日,Microsoft, Qualcomm, Electroluxをメンバとして加え,Open Connectivity Foundation(OCF)と改名した。OICは2014年にIoTデバイス間通信の標準化を目的に設立され,当初はCoAPプロトコルをベースとして採用していた。設立メンバはIntel, Broadcom, Samsungの3社である。OIC仕様の参照実装はIoTivityという,Linux Foundationの管理するオープンソースプロジェクトで,Apache 2.0でライセンスされている。

OCFは,OICの以前の開発成果をベースに,それをさらに押し進めて,“Wi-Fi, Bluetooth, Bluetooth LE, Wi-Fi Direct, Zigbee, Zwave, Ant+など,特定の無線ないし有線の通信技術にとらわれない,テクノロジを越えて動作する”IoT標準の確立を目指している。OCFは,OICのIoTivityの他,ネットワークデバイスの相互検出と通信が可能な複数のプロトコルで構成されたUPnPなども取り入れている。UPnPは当初UPnP Forumが開発していたが,IoTデバイスを対象に含めるため,この1月,OIC下にその開発を移行している。

OCFには現在,IoTデバイスの製造,ネットワーク接続や動作に関するソフトウェア開発などを行なう,150を越える代表的な企業がメンバとして参加している。前述したものに加えて,他で著名なメンバにはCisco, GE, IBM, Dell, Lenovo, Acer, Asus等がある。

AllSeen Allianceは,OCFと同様な目的で2013年に設立された,さらに別のコンソーシアムだ。リファレンス実装であるAllJoynは,Qualcommが最初に開発したプロジェクトに基づくもので,同じくLinux Foundationの管理下でオープンソースとして公開されている。AllSeen AllianceにはCanonやLG, Philips, Sharp, SONYなど,200を越えるメンバが参加している。AllSeenのプレミアメンバであるMicrosoft, Qualcomm, Electroluxが,現在はOCFにも参加している点が興味深い。

それでも不十分というのだろうか,Thread Groupが2014年7月,OICと同じ時期に設立された。目的は他の2つと同様だが,Google Nestプロトコルに基づいたメッシュネットワークの構築という,範囲を限定したシンプルなアプローチを採用したこのグループには,ARMやIntel, LG, Microsoft, Nest, Qualcomm, Samsungなど200社ほどが参加している。

IoTはまだ緒に就いたばかりだが,業界の進む道は分かれている。IoTデバイス間の通信プロトコルの標準化には,3つの主要な提案がなされている。いずれかひとつを支援する企業もあれば,2つないし3つをサポートする企業もあるといった状況だ。その中で,ソフトウェア開発のジェネラリストたるMicrosoftは,すべての基盤をサポートする意向を持っている。Windows 10はAllJoynをサポート済みで,Thread上でAllJoynを動作させる予定である。さらにIoTivityのサポート予定も発表している

Windows 10デバイスは,OCFの新標準との相互運用性をネイティブに備えているので,家庭やビジネス環境などにおいて,さまざまなIoTデバイスの検出,通信,管理を簡単に行なうことができます。OCF標準はまた,“AllSeen用に設計”された,現存する2億台のWindows 10デバイスとも完全な互換性を備えています。

我々は,MicrosoftのシニアコミュニケーションマネージャであるRyan Day氏に,この業界の分裂とそれに起因する課題について聞くことにした。現時点では3つのグループをすべてサポートしているが,Microsoftとしては,標準化団体は1つであることが望ましいという考えから,業界がある時点で合意に達することを望んでいる。

将来的には すべてのデバイスが結合されるべきだ,とMicrosoftは考えています。OCFは,オープンな仕様とプロトコルの開発を通じて,さまざまなメーカ製のデバイスの,セキュアでシームレスな相互通信を可能にします。メーカやオペレーティングシステム,チップセット,あるいはトランスポートプロトコルを問いません – OCF仕様に従ったデバイスでさえあれば,一緒に動作するようになるのです。Microsoftがこれまで先頭に立ってOCFを推進してきたのは,オープン標準の実現する未来と,その可能性を強く信じているからに他なりません。Windows 10デバイスは,新しいOCF標準との相互運用性をネイティブに備えているので,家庭やビジネス環境などにおいて,さまざまなIoTデバイスの検出,通信,管理を簡単に行なうことができます。

3つのグループに関与する企業の多くは,自分たちが主流を外れないようにIoT開発に注目することが目的だが,いくつかの企業は,自らの支持する標準と関連製品に時間や資金,労力を投資しようとしている。現在の分裂した状況を業界が容認し続けるのか,あるいはひとつの標準化団体に集結することを選ぶのかは,引き続き様子を見続けなくてはならない。そして最後に,ユーザにとって何よりも重要なのは,複数のプロトコルに対応するブリッジを用意しなくても,すべてのデバイスが他のデバイスと簡単にかつシームレスに動作することなのだ。

 
 

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