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ソフトウェア業界の燃え尽き症候群についてJohn Willis氏のQ&A

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原文(投稿日:2016/04/14)へのリンク

QCon London 2016において、John Willis氏が燃え尽き症候群について講演をした。InfoQは、Willis氏にインタビューし、燃え尽き症候群について話そうと思ったきっかけ、燃え尽き症候群が人に与える影響、ソフトウェア開発の業界に燃え尽き症候群がどのように悪影響を与えるか、燃え尽き症候群になりそうな先行指標と、その指標を燃え尽き症候群を防ぐためにどのように利用するか、そして、燃え尽き症候群の原因となる従業員と組織のミスマッチに対処するための提案について聞いた。

InfoQ: 燃え尽き症候群について話そうと決めたきっかけは何ですか?

Willis氏: 2015年の初めに、DevOpsコミュニティの同僚であり、友人だった人が自殺したことを、あるカンファレンスで知りました。その友人が、死につながる燃え尽き症候群の臨床的症状を経験していることは、彼の親友たちや彼のTwitterの投稿から極めて明らかでした。私は、過去に自殺しようとした人たちと問題の解決に取り組んだことがあり、この出来事は、私の感情の転換点となりました。そこで、私はカタルシスな反応として、過労自殺についてブログを書きました。しかし、結局、IT業界において、これが深刻な問題であることを認識させたのは、ブログの投稿への反応でした。ブログには、48時間以内に1,000件以上のコメントがつきました。この業界の人たちが対処している問題について、個人的な告白が書かれた200通以上のEメールを受け取りました。こうして、私は、Devopsdays NYCの基調講演で燃え尽き症候群について話すことを決めて、その時からこの問題について、非常に多くのリサーチをしてきました。

InfoQ: 燃え尽き症候群が人に与える可能性のある影響は何ですか?

Willis氏: 燃え尽き症候群を、臨床上、PTSDやうつ病のような病気と同じカテゴリに入れる研究者もいます。最終的には死に至る場合もあります。しかし、もっと一般的な結果は、健康状態に関係するストレスの症状(脳卒中、心臓発作)です。日本では、1980年代後半に、政府が仕事に関係する燃え尽き症候群が広まっていることを見つけ、それを特別な名前(過労死 - 働きすぎによる死)に分類しました。他のワークライフバランスの問題は、未解決の燃え尽き症候群の症状からやってきました。例えば、離婚、家族や友達から孤立等です。燃え尽き症候群に関して分かった興味深いことの1つは、臨床上の燃え尽き症候群の状態になるのに、平均6ヶ月かかり、回復するのに、平均2年かかることです。多くの場合、燃え尽き症候群の犠牲者は、その業界を去って終わりになるので、問題は決して解決しません。

InfoQ: 燃え尽き症候群がソフトウェア開発業界にどのように影響を与えているか、例を教えてください。

Willis氏: 燃え尽き症候群に関して、業界の主要なテストは、MBI (Maslach Burnout Inventory)と呼ばれています。2013年に、ITセキュリティ業界は、自殺率が高かったため、コミュニティのMBIを実施しました。MBIの3つの主要な指標は、疲弊感の増加、シニシズムの増加、効力感の減少です。IT Sec Burnoutの調査は、私の知るところでは、IT業界の燃え尽き症候群に関する最初の調査です。この調査は小規模な調査でしたが、IT業界で働く人たちが、3つの分野で、非常に高い数値(悪い意味で)であることが分かりました。また、生産性の低下によるバーンアウトで失われる厳しい機会費用があることを、他の研究では示しています。私が見つけたもっとも興味深い研究の1つは、一般的に、もっともバーンアウトの影響を受ける人は、もっともパフォーマンスの高い人たちであることでした。

一般的に、燃え尽き症候群に何も対処しない組織は、次のような影響を受けます。

  • 健康管理費用の増加
  • 訴訟の可能性
  • 離職 (主要な従業員を失う)
  • 視覚 (将来の従業員から認知されるか)

また、隠れた費用も組織に影響を与えます。

  • 納期遅れ
  • 機会損失
  • 危険な兆候の見逃し
  • 革新の減少

InfoQ: 燃え尽き症候群の可能性を図る主要な指標は何ですか?

Willis氏: MBIの作者、Christina Maslach氏は、職業上の燃え尽き症候群に関する主要な研究者の1人です。最初のリサーチの中で、Maslach氏は、燃え尽き症候群の指標として、前述の3つの分野(疲弊感、シニシズム、効力感)に分類しました。疲弊感は、一般的にシニシズムや効力感よりも明らかです。臨床的な燃え尽き症候群/シニシズムの指標は、一般的に、引きこもりのように見えます。(例えば、私はただ自分の仕事がしたいから、ほっといて) 効力感は、見分けるのがもう少し難しくなります。効力感は、一般的に、自尊心や、従業員の価値を理解していない組織の認識に関係します。すべてのケースにおいて、これらは、専門的な助けを受けて対処すべき指標です。しかし、適度に費用を抑えたMBI SaaSサービスで有名なものはほとんどありません。実際のところ、私は自分のためにMBIを実施し、Qconの発表の中で結果を発表しました。

InfoQ: 燃え尽き症候群を防ぐために、これらの指標の使い方について提案はありますか?

Willis氏: 一般的に、燃え尽き症候群は臨床的な心理的病気です。すべてのケースにおいて、終局には専門的なアドバイスを含むべきです。MBIは自己認識を手助けできる、優れたハイプリッドなツールだと思います。

InfoQ: あなたは、現在働いている、または、働きたいという従業員と組織の間で起こり得るミスマッチが、燃え尽き症候群の原因となることがあると話しました。これらのミスマッチはどのようなものですか?

Willis氏: Christina Maslach氏のその後の研究の中で、6つのミスマッチと呼ぶものを明らかにしました。この研究で興味深いのは、従業員に焦点を当てただけではないことです。このモデルでは、従業員と組織の間にあるミスマッチを見るために、これらの6つのミスマッチを使います。言い換えれば、いくつかのケースは、従業員、または、組織のどちらかのことではありません。Maslach氏が発見したのは、それがミスマッチであることです。例えば、自ら進んでいく組織は、本来、手段を選びません。従業員はこのような理想と対立するかもしれません。この場合、どこにも悪い人はいないか、悪い人とは、実はシステム(例えば、ミスマッチ)なのかもしれません。

6つのミスマッチの一覧です。

  • オーバーワーク
  • 制御不足
  • 不十分な報酬
  • コミュニティ崩壊
  • 公正さの欠如
  • 相反する価値

InfoQ: 1つ以上ミスマッチがある場合に、何を提案しますか?

Willis氏: いくつかのMBI SaaSサービスでは、ワークライフ調査の分野と呼ばれるものを提供しています。これは、統計的調査で、6つのミスマッチに基づく、心理学のデータを含みます。また、Christinana Maslach氏は、ご想像の通り、燃え尽き症候群に関する本を2, 3冊しか書きませんでした。しかし、私見ですが、何年もの間、私を助けてくれた2冊の本(直接関係していませんが)は、David D Burns氏の「フィーリングGood:新しいムードセラピー」と、Matthieu Ricard氏の「Happiness幸福の探求」です。

InfoQ: 燃え尽き症候群やその防ぎ方についてもっと学びたい人は、何を見ればよいですか?

私の燃え尽き症候群のプレゼンテーションの中で、私の研究のほぼすべてのリンクが見つかります。

 
 

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