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ブリストルで開催されるGirl Geek Dinnerのイベントでインターフェイスとしての身体と身体を解釈することに関するトークが行われる

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原文(投稿日:2016/07/14)へのリンク

Scott Logic社のTamara Chehayeb Makarem氏とJenny Gaudion氏は7月20日にイギリスのブリストルで開催されるGirl Geek Dinnerイベントでトークを行う予定であり、これは‘Body as Interface(インターフェイスとしての身体)’と‘Interpreting the body(身体を解釈する)’の話題のあいさつである。彼らはInfoQにテクノロジシステムによって身体は異なる方法でインターフェイスになりうること、私たちのUXについての考え方を変更し身体に基づいたデータをを解釈する必要があることについて話した。

InfoQのためにお話しを頂きありがとうございます。簡単に自己紹介をお願いできますか?

Tamara氏:私はロンドンにあるScott Logicでユーザ体験のデザイナをしています。Scott Logicでは、クライアントと共に働いており、主に金融サービスで、取引アプリケーションからデータ解析プラットフォーム、金融管理ツールやイントラネットに渡り広範囲に関わっています。Scott Logicの前はレバノンとニューヨークでクロスプラットフォームのアプリケーションのデザインをしており、eコマース、ヘルスケアと小売業界のクライアントと関わっていました。私はニュースクール大学のパーソンズでデザインと技術に関するファインアートの修士(MFA)を、ベイルート・アメリカン大学でグラフィックデザインに関するファインアートの学士(BFA)を取得しました。

Jenny氏:こんにちは!私はブリストルにあるScott Logicでソフトウェア開発者をしています。私のバックグラウンドはC#、SQLとMicrosoftのテクノロジスタックですが、今年はAngularとReactを使用したフロントエンド開発に焦点を当てています。

Tamaraさん、あなたの話題はインターフェイスとしての身体であり、ブログで記事を書いていますね。あなたのいうインターフェイスとしての身体というのは何を意味していますか?私たちがテクノロジと触れるとき、常に身体の一部を使用しているわけではないということでしょうか?(私の指はこの質問をタイプしています)

まったくです。私たちのは絶えず身体をインターフェイスとして使用しています。私はこのようなことを行う環境には大きく二つのカテゴリがあると考えています。第一は制御された環境内にあり、第二はデバイスが身体の一部、もしくは拡張部となるときです。第一のカテゴリはある場所に私たちを制限します。やりとりは前もって企画されたものであり、私たちの身体をインターフェイスとして使用することができるようにデザインされた空間です。手を叩いて、音に反応してライトがついた時、もしくは自動ドアに近づいてドアが開く時のことを想像してください。芸術のインスタレーションとビデオゲームにこの種のやりとりの方法の例を数多く見つけることができます。

第二のカテゴリでは、私たちは自由に動くことができますが、BluetoothヘッドセットやGoogle GlassやFitbitのようなデバイスを身につけたり、携帯するように制限されます。これらのデバイスは身体と調和し、比較的邪魔にならないように工夫されています。これらのデバイスはジェスチャ動作や目の動きを監視することができます。いくつかのデバイスは心拍数、血圧もしくは体液の流れのような生体データをやりとりのきっかけとして活用することさえできるのです。

現在私たちが使用しているインターフェイスは 、自然な動作に適応できるようデザインされていないため、ややユーザの邪魔をしてしまっています。むしろ、ユーザがデバイスに適応することを期待しているのです。同様に、私たちのテクノロジに対する体験はデザインの方法に不自然に拘束されうるのです。私たちはスクリーンを前提にしたインターフェイスのためのデザインに慣れているためスクリーン観点で検討を行います。しかし、この方法が与えられた状況でユーザがやりとりする最良の方法かどうか自分自身に問いかける必要があります。デザイナは既存の嗜好をまかなうだけではなく、ユーザの要求を予想する必要があります。

私たちが慣れた‘単にシンプルである’ということを超えて、デバイスに対するインターフェイスとして身体を考えた時に考えに入れておくべきことは何でしょうか? 何が制限で、何が可能性を秘めていますか?

直面する一つの制限は収集したデータを計測して解釈する技術の精度のレベルです。ユーザの振る舞いを解釈することを可能とする技術が必要です。例えば、Fitbitは理想を言えば振動が加わったこととユーザが歩いたことを区別できるべきですが、まだ誤検知の余地が残っています。環境のパラメータはデザインが制御できない方法で変化することがあります。私がコンピュータビジョンから収集した色を追跡するインスタレーションをデザインした時の課題の一つは日ごとに変化する展示スペースに照明を当てることでした。この制限は身体をインターフェイスとして使用する例特有の制限ではありません。最近、 Tesla Motorsの自動運転車が“まぶしく照らされた空”のせいでトラクターの側面の白線の検知に問題を抱え、致命的な結果となる技術的な失敗を招きました。

そして、私たちはデバイスや場所に依存しない拘束されないインターフェイスとして身体を表現することを可能とする解決方法をまだ手に入れていません。テクノロジを用意する場所や、テクノロジを使用することを可能とするデバイスを装着しなければならないかのどちらかです。

可能性の面では、インターフェイスとしての身体の思考回路で設計することによって、使用している技術や、技術に対する態度を根本的に変えることができます。このことで、慣れ親しんだインターフェイスの観点から抜け出すことができます。例えば、タッチスクリーンの導入によりマウスの代替を提供することができました。そこからさらに、KinectやVRゴーグルにより、タッチスクリーンからよりジェスチャを活用したものに移行しました。私たちはデザインが進む方向を明らかにするためにユーザにさらに自由を与えるデバイスを作り出す必要があります。インターフェイスとして身体を考え、そのような思考回路でデザインをすることによって、思考をより実験的、反復的にすることができます。

この領域でこれまで行われてきたことの多くは芸術とゲームのものに思われますが、実際のビジネスアプリケーションはどこにあるのでしょうか?どのようにやり方が変わっていくのでしょうか?

すでに顔認識やタッチ認証によりセキュリティを強固にする実際のアプリケーションが存在します。同様のアプリケーションが金融サービス分野で使われています。例えば、トレーダのストレスレベルを計測するために生体データを使用することができます。体温、心拍数、血圧や呼吸数を追跡し、感情に基づいて決定を行いそうな時はトレーダに取引をやめさせることができます。感情センサは精神的に緊張した状況でのユーザ自身の動作をよりよくコントロールすることを補助することができます。

これらのセンサはユーザの周りの環境を制御することにも使えます。色彩がどう人間の気分に影響するかの洞察は、ユーザの動作を変えることに役立てることができます。例えば、カジノの照明はギャンブルを続けるように人々を高揚するように設定され、ファストフード店の暖色は食欲を誘います。同様の洞察を職場にも適用できるのです。例えばオフィスの照明と色彩をリラックスしやすいように変更することができます。このことで従業員の生産性を向上し、意思決定を改善することができます。

第二の側面に関してですが、デバイスが身体の一部になったとき、何が変わるのでしょうか?ウェアラブルデバイスのことについて話題にしているのですか?

ウェアラブルデバイスによって、ユーザのやりとりはより受動的になりました。普段の動作を変える必要はありません。スマートウォッチは階段を何段上がったか、どのような睡眠パターンかを動作を適応させなくても追跡することができます。いくつかのデバイスは身体に埋め込まれさえされます。例えば、 Southpawは皮膚の下に着用するようにデザインされたコンパスであり、ユーザが北を向いた時に作動します。

デザイナが直面する課題は、テクノロジをいつでもどこでも使えるようにすることと、ユーザの邪魔をしないことのバランスを見つけることです。ウェアラブルと組み込みデバイスによりこの課題の解決に近づいています。

UXの観点で、この種のデバイスをデザインする際に考慮しておく必要があるところはどこでしょうか?

ウェアラブルデバイスとインターフェイスとして使用する身体の部位の設計をするとき、少し気にかけるべき点があります。

私たちはデザインするアクションをユーザが請け負い、変更されるかもしれないと意識してもらう必要があります。ユーザの動作はデザインを主導し、文脈を設定します。ユーザは歩いたり、走ったり、ジャンプしたり、あるいは睡眠をとったり等々するでしょうか?ユーザの動作をいつも予測することはできないので、異なるシナリオに対応するために柔軟なデザインを創り出す必要があります。私たちは異なるスクリーンサイズに適応する一つのデザインを作ることに慣れています。将来、インターフェイスデザインとはユーザの動作に適応するために絶えず変化する動的なデザインを創ることを意味することになるでしょう。

動作が実行される環境もまた、必ず良く検討されるべきです。空間にいるたくさんの人や、照明などをいつも思い通りに制御することはできません。誤認識を減らすために実際の空間でデザインをテストすることが必要です。ユーザの身体は異なり、ユーザ特有の属性は要件を変化させます。スクリーンに基づいたインターフェイスでは、きっと親指のサイズを考慮するか、色盲の方々のためにデザインを適応させる必要があります。全身がインターフェイスとして利用されるとき、やりとりの範囲はもっと広くなるため、もっと多くの事柄を考えに入れる必要があります。例えば、 Apple Watchが最初にリリースされたとき、タトゥーを入れた人々については心拍数の数値を信頼できませんでした。なぜなら、インク柄と色がセンサからの光を遮ったからです。

“体験をデザインする”ということについてお話しされていますが、インターフェイスが可能とする新しい、もしくは今までと異なる体験の例について教えていただけますでしょうか?

身体をインターフェイスとして用いる主要な領域の一つとして、私はヘルスケアの領域で今までとは異なる体験を作り出せると思っています。そのような思考回路で設計をすることで、障害を持つ人々に対応出来る可能性があります。Stephen Hawkingが記述を行うためにどうまばたきをするのかを考えてみてください。そのようにすることで、私たちの感覚が増幅されたり、失われていたものが復元されるときは特に興味深いです。例えば、聴覚の弱い人々に対し音の代わりに振動を解釈させるための多数のバイブレータが感覚の代替の形で開発されました。

Jeniferさん、あなたの着目している領域は身体を解釈するということですが、どういうことを意味していて、身体の活動からどんな種類の情報を引き出すことができるのかを教えていただけますでしょうか?

身体を解釈するというのはテクノロジとやりとりするために身体を使用する様々な方法について議論を行うことです。それは実際、Tamaraさんの話題である、インターフェイスとしての身体に始まる一連のものの二番目の話題となります。伝統的に、テクノロジはキーボードを使ってコマンドを入力をする、もしくはマウスを使ってUIに表示された特定の項目をクリックするような正確に定義された入力持ったものでした。現在、多くの企業がやりとりするための代替手段を探しています。すでに音声コマンドは大いに進歩し、SiriOk Googleのように広く使用されています。意思疎通のための選択肢には、ジェスチャー認識や、目の位置、表情、身体中の化学成分などが考えられます。

やりとりや動作を解釈するために、テクノロジには何をすることを求められるのでしょうか?そしてそれはどのように達成されるのでしょうか?

テクノロジにより効率的に意思疎通をおこなうためには、高い精度でアクションを認識し、膨大な範囲のちょっとした違いをうまく処理する必要があります。ソフトウェア開発者として、どうソフトウェアがユーザからの入力を受信するかというよりは、どうすると最もユーザに効率的に意思疎通を行うための情報を出力できるかをいつも苦心しなければならないと思っています。人々が行うことができる同じ動作について膨大な範囲の方法が存在するため、機械学習は必要不可欠です。例えば、手を動かすジェスチャーを解釈するために、ソフトウェアは様々な手の形状や色々な動きを認識できなければいけません。音声コマンドを解釈するためには、単語やフレーズが異なる速さ、音の高さ、アクセントでどのように聞こえるかを認識する必要があります。これらのシステムは膨大なデータに支えられ、使用可能なデータが増えるにつれて改善されていき、個々のユーザー向けに調整されます。

Girl Geek Dinnerでこのトークを行っていますが、このコミュニティについて少し教えてください。

Tamara氏:Girl Geek Dinners (GGD)はロンドンでSarah Lamb氏によって女性がまだあまり進出していない情報技術を女性に広めるために設立されたものです。今ではアメリカ合衆国、カナダ、オーストラリアとニュージーランドを含む国々で運営されています。イベント期間中には、複数の目玉の発表者がトークを行い、参加者はネットワークを広げる機会を得ます。私もインターフェイスとしての身体 について7月20日にブリストルでトークを行う予定で、GGDコミュニティに参加できてとてもうれしいです。私はGGDが投資している努力、つまりSTEM(訳注:科学、技術、工学、数学の頭文字を取ったもの)に興味がある女性を増やし、テック分野でのキャリア構築を成功させるということを大いにサポートします。

Jenny氏: Girl Geek Dinnersはテクノロジ分野で共に働く女性に会うとても良い手段で、女性たちは技術系企業でばらばらに働いている状態ですのでこのことは重要です。特に、カンファレンスでは女性の参加者や発表者の割合がとても低いのです。トークはとても幅広い分野に渡るので、(女性メンバのゲストとして男性が参加することを含め)興味を持った人は誰でも連れ立って参加することができ、STEMに関する業界で働くことについて発見するには良い方法です。私はブリストルにあるグループに、技術コミュニティの熱心なサポータであるScott Logic社の励ましもあり参加し、参加できてとてもうれしく思っています。トークは素晴らしく、リラックスした雰囲気なので質問したり繋がりを作る時間が十分にあります。ブリストルのグループにはソフトウェア開発者は多くいるので、メンターを見つけるには素晴らしい環境です。

時間を割いてInfoQにお話しを頂きありがとうございました。

 
 

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