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リーダーシップ再考: 非凡な結果を達成するために普通でいること

原文(投稿日:2016/09/15)へのリンク

アジャイル/リーンのコーチであるKatherine Kirk氏は、リーダーシップにおいて、普通でいることが非凡な結果を達成する助けになる、と主張している。また、多くの人がリーダーシップを再考し人をリードするための基本的な振る舞いに立ち返ることを示すアプローチを模索している。これらのアプローチは小さい平凡なことであるが、この示唆は組織管理の方法に革命をもたらすかもしれない。

Katherine Kirk氏は今年の始めのQCon London 2016普通でいることが導く革命というプレゼンを行った。このプレゼンで氏は、現代のリーダーシップでの普通でいることの重要さについて語った。氏のプレゼン内容は次の通りだ。

彼女はまず、普通の人がマネジメント層になると振る舞いがおかしくなるのを見て驚いたという自身の経験を語った。意図は正しいのにもかかわらず、おかしな挙動をさせてしまうようなねじれがある。

ひょっとしたら時代遅れのリーダーシップモデルで考えており、その時代遅れのリーダーシップモデルをなんとか実現しようとしているのではないか、それによって、苦しんでいるのではないかと思ったのです。文脈が変わってしまったのです。

解決策を探る中、彼女は仏教哲学に言及した。仏教は普通であることが最終的に非凡な変化を生み出すということに価値を置いている。彼女は、"リーダーシップには革命が必要です。重要なのはエゴに逆らい、普通でいることにフォーカスすることです"。

以前の反問題の原則についてのインタビューで、Bob Marshall氏はリーダーは人々のニーズに寄り添うべきだと主張した。なぜ、この基本的な振る舞いがおろそかにされることが多いのか、という質問に対して、氏は次のように答えている。

私たちはWalter Wink氏のいう"支配システム"の中で8,000年生きてきました。このシステムは、さまざまな理由で、私たちが贖罪の暴力の神話を信じるように教育し条件付けてきました。つまり、暴力は自然であり、欲しいものを手に入れるための効率的な手段であるという考えです。多くの人が毎日苦しんでいる非人間的な職場の根底にはこのシステムが横たわっています。そして、職場は、"感覚や感情、個人的ニーズはない場所"であると考えられています。

氏は、組織でのリーダーシップを変えるには人間がどのように振る舞うかについての深い理解と今までとは違う考え方と態度が必要だと説明する。

協働的な知識労働を支援する職場環境の作り方については興味深い点がたくさんありますが、それとは対照的に、現実には人々の生活と創造性を搾取する環境が広がっています。私たちが人と心理を深く理解するまで、そして、新しい知識を適用するまでは、進展は見られないでしょう。反問題の原則はひとつの単純な文にまとめられます。人々のニーズに寄り添うこと。この文は役に立つというにはシンプルすぎます。しかし、それが力になります。組織の中心にこの原則を置くことで、人について考え、喜びのある職場が普通になり、生来の能力と熱意が無駄にならないようになります。

Kirk氏によれば、仏教の理論を踏まえると、私たちの産業には次の3つの特徴がある。

  • すべては常に変化の中にある。
  • 私たちは協力する必要がある("私"ではなく相互依存のため)
  • 常に不満に対処する必要がある。

Kirk氏は現代のリーダーシップでの穏やかな凡庸さの必要性を強調する。オクタン価の高い協働的な職場(私たちの産業の性質によって生まれる)が求められていることによって、リーダーにもチームにもストレスフルなやりとりをもたらし、簡単に効率さが失われるうようになったのだ。

この点について、氏はデリバリのリズムが1980年には10年に1回だったのが2015年には1日に複数回になったと仮定した場合、デリバリの回数の増加に伴って、やりとりの数や協力の割合も爆発的に増えている、と指摘している。仮にひとつのデリバリに3つの役割が絡むなら、年に1度デリバリするなら最低3つのやりとりが必要だ。1日に7回なら年に1,344回のデリバリになり、最低でも4,032回のやりとりが発生する。

加えて、すべてのデリバリには"結果"が伴う。結果は悪い意思決定を明白にする。継続的デリバリでは、私たちは多くの結果を手に入れ、学習ループなしの悪い意思決定だらけだったとしたら、恥ずかしくなり、隠し事が生まれるかもしれない。さらに、継続的に協力することは人々が互いにやりとりをするということなので、高いレベルのやりとりが正しく管理されていなければ、疲弊してしまう。Kirk氏はHarvard Business Reviewの次の言葉を引用している。"60%の従業員が毎日、最低でも10人の同僚に相談して仕事を終わらせている"そして、"30%の従業員は20人以上"だ。

このことを考慮すると、リーダーは継続性と"協力疲弊"をうまく扱う方法を見つけ出す必要がある、というのが氏の考えだ。氏は、リーダー自身もチームも短距離走のマインドセット(短い期間で大きな目標を達成しようと強烈に推し進める)からマラソンのマインドセット(皆で協調して働き、短期の目標も長期の目標にも効率的に向かっていく)にシフトすることを薦める。今、成功は長期の協力も求め、間違いを歓迎し、フィードバックを尊ぶからだ。

氏の言及したこの産業の3つの特徴の文脈では、氏はリーダーが自身の創造的思考能力(氏はこれを360度思考と読んでいる)を拡大するように促している。複雑で、変化し続ける文脈に対する効果的な対処の助けになるからだ。狭い視野と単純化された解決策("第一の思考")は重要なデータと文脈を見落としてしまう可能性がある。氏によれば、リーダーにには単純化への圧力、が常にあり、非凡であることへの圧力がかかっている。しかし、常に変化し続けている私たちの環境では、この圧力は望ましくない結果をもたらす。

Kirk氏は、現在ほとんどのマネージャが同僚の真似をしたり、社会的な例を参考にして振る舞い、意思決定をしている。しかし、私たちは、すべてが変化する技術という文脈の中では時代遅れになってしまったリーダーシップモデルを使っているのだ。協力も進化するが、私たちの産業の3つの特徴は継続する。継続的な変化、相互依存、不満に対して、困難への対処の仕方や意思決定を支援するマインドセットを適用する必要がある。状況が制御できるものでなくても、反応の仕方で影響を与えることができる。

アジャイルチームでよく使われるリーダーシップのアプローチはサーバントリーダーシップだ。Johanna Rothman氏はサーバントリーダーから何を見付け出すべきか書いている。

サーバントリーダーの大きな特質のひとつは彼、または彼女はほかの人と仕事するのを楽しんでいるということです。サーバントリーダーはプロジェクトに関わる人に仕えます。また、組織に属する人々にも仕えます。

以前のInfoQのインタビューでTomasz Wykowski氏はサーバントリーダーシップの適用を阻むものについて語っている。氏は、サーバントリーダーシップを発揮することでリーダーは、人々を尊敬し彼らのニーズを理解しようと聞くので普通に振る舞うようになる、と説明している。

サーバントリーダーシップの始点となる基本的なパラダイムは"私はOK – あなたもOK"ということです。与えたものが得られるということです。皆に信頼して欲しいなら、彼らを信頼する必要があります。大人として振舞って欲しいのなら、大人として扱う必要があります。そして、違いがあるのは問題ではありません。異なる意見、異なるゴール、価値を持つのは問題ないのです。リスペクトしましょう。評価をするのではなく彼らが何を言い、なぜそう言うのか聞きましょう。

私たちには人々をマネジメントするための今までとは異なるアプローチの新しいマネジメントのマインドセットが必要だ。Kirk氏はマネージャがコントロールしようとし過ぎてしまったり、完璧であろうとし過ぎてしまうのをやめ、協力と継続性を受け入れるのに役に立ちいくつかのテクニックを紹介している。

個人のレベルで役に立つのは以下の実践だ。

  1. 感謝の方法
  2. よい意思決定モデルを見つけ使うこと
  3. 穏やかにオープンな好奇心をもって真実を探求すること
  4. 可能な場合はバイアスを特定し駆除すること
  5. そして、外部に居心地の良さを求めるのではなく内部の安心さに拠って立つこと

Kirk氏は、私たちを啓発し、文脈を与え、デッドロックを解消し、私たちが集中するのを支援するリーダーが必要だ、と繰り返して言う。氏はリーダーが普通の方法で非凡な結果を生み出すために、次の例をあげる。

  • 答えがないのなら、同僚が答えを持ってきてくれるように彼らの話を聞き、フィードバックを与えること
  • 専門家でないのなら、質問し学び情報を照合して、人々が効果的に解決に向かえるようにすること
  • あなたが部屋にいる最良の人物でないのなら、ほかの人の洞察を促す役割を果たすこと

Kirk氏は普通であることと協力して働くことによって、非凡なことを成し遂げることができると結論付けた。氏はこれが革命だと強調した。

 
 

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