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SnapchatのIPO申請で懸念されるGoogle Cloud依存度の高さ

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原文(投稿日:2017/02/09)へのリンク

Snapchatを提供するSnap Inc.の30億ドルというIPO申請を前に、Google Cloudに対する同社の依存度を疑問視する声が上っている。

日平均1.58億のアクティブユーザと年間売上高4億440万ドルが報告され、株式市場の評価報告には250億ドルという領域が示されている同社は今年、今後5年間にわたって、最低で年間4億ドルのクラウドサービスを購入するという同意をGoogleと交わしている。

Snapの目論見書は、具体的なリスクとしてGoogle Cloudに言及している。

当社はコンピューティング、ストレージ、通信帯域その他のサービスの大部分をGoogle Cloudに依存しています。当社の利用するGoogle Cloud運用に対する何らかの中断ないし妨害は、当社のオペレーションにマイナスの影響を与え、事業にも重大な障害をもたらすでしょう。

Googleのインフラを利用するというSnapの決定は、大手企業としては異例のものだ。“Behind Snap’s Marriage to Google and the Cloud”という記事では、Amir Efrati氏が次のように書いている。“つまりSnapは、例外的な存在なのです。同社に先行するコンシューマ向け大手企業 – Yahoo, Amazon, Google, Facebook, Twitter, Uber – はすべて、データセンタ内で稼働するサーバなどの設計も含めて自社内にインフラストラクチャを構築しており、それを誇りに思っています。”

Efrati氏はさらに、Snapを大手クライアントとして引き止めるためにGoogleは、少なくとも50%のディスカウントを提供している、とした上で、“価格と同じくらい重要なのは、Google Cloud Platformのいわゆるサイト信頼性技術チームに対して、Snapが24時間365日アクセス可能で、些細なものを含むすべての問題の発生への対処と、Snapchatを更新するためにSnapが公開済みのコードのレビューが受けられるという点です。”

このクラブでの注目すべき例外はDropboxで、独自のユースケースに対する最適化を可能にすべく、2015年にAmazon Web Serviceから自社保有のデータセンタへの移行を実施している。同社ソフトウェアエンジニアのPreslav Le氏が、AWSを離れた状況をInfoQに説明している

さらに注目すべきなのは、収益の急激な成長にも関わらず、Snapが2016年に50,240万ドルを損失していることだ。Snapはその原因のひとつとして、2016年第3四半期の成長を鈍化させた“技術的問題”を挙げており、いくつかのサービスと複数のアップデートがSnapchatのパフォーマンスの低下をもたらしたためだ、と説明している。“これらパフォーマンス上の問題が、同四半期後半のアクティブユーザ数の成長を減少させた”、というのが同社の考えだ。

Snapはさらに競合他社に対する警戒も続けており、特にInstagramの“ストーリ”機能については、Snapchatのストーリ機能の“大々的な模倣”であると指摘している。

Bloombergの技術記事“Snapchat's Performance Doesn't Match IPO Hype”では筆者のLeonid Bershidsky氏が、ホスティングのコストによってFacebookがいまだライバルのSnapchatを上回っている点を警告している。

大手ソーシャルメディア企業の規模においては、自社サーバが経済面で有利です。Facebookの原価 – 大部分はコンピューティングパワーに関するものです -は、2016年には38億ドルに達しています。これは収益1ドル当たり約0.14ドル、アクティブユーザ1ヶ月あたりならば2ドルという計算になります。Snapchatの原価は45,200万ドルで、収益1ドルに対して1.11ドル、アクティブユーザ1ヶ月では3ドルに達します。

2011年にシンプルなiOS画像メッセージアプリのPicabooとして始まったSnapchatの収益は、2015年の5,800万ドルから、2016年には40,000万ドルにまで成長した。さらに同社は、モバイル上でSnapchatに動画や画像を同期するサングラスのSpectaclesによって、すでにウェアラブル技術への拡大も果たしている。

目論見書で自身を“カメラ会社”と説明するSnapは、“当社では、人々の生活やコミュニケーションを改善する手段としてのカメラの再発明に、最大のビジネスチャンスがあると考えています。当社の製品は、人々が自身を表現し、この瞬間を生き、世界を知り、ともに楽しむことを支援するものです。と述べている。

 
 

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