MicrosoftがAzureで新たなブロックチェーンプロトコルをサポート

Coindesk Consensus 2017カンファレンスに先立って、Microsoftは、Azureのブロックチェーンプロトコルサポートの拡張を発表した。今回新たに投入されるのは、HyperLedger Fabric、R3 Corda、Quorum、Chain Core、BlockAppsなど、より複雑なブロックチェーンと分散台帳ネットワークデプロイメントのサポートだ。

MicrosoftはAzureにおいて、これまでは開発/テスト環境など比較的シンプルなトポロジを重視してきたが、今回はより高度なトポロジのサポートを追加する。同社シニアプログラムマネージャのChristine Avanessians氏は、今回のサービス拡張を次のように説明する。

当社はこれまで、R3やEnterprise Ethereum Alliance、Chain、BlockAppsといった組織とのパートナシップを通じて、さまざまなプロトコルの開発用およびデモ用マシンを提供してきました。これまで受け取ったフィードバックは総じて肯定的なものでした。ユーザがさらに高度なシナリオを使うようになったことを受け、今回、さらに高度なトポロジをサポートするように拡張を行います。

今後の方針として、Microsoftは、デプロイメントを３つのカテゴリに分類している。

1. Dev/Test – 開発者がブロックチェーンアプリケーションの開発を手軽に始められるようにする。一般的には、Azure内部で動作する単一のノード、あるいは仮想マシンで構成される。このトポロジで既にMicrosoftがサポートしているデプロイメントとしては、BlockApps、Corda、Quorum、Syscoin、Chain、Parity(Ethereum)などがある。
2. Single Member – 単一の組織内の複数の部署あるいはビジネスユニットによる、実用レベルのワークロードのテストおよびシミュレーションを可能とする。この構成では、多数の地理的リージョンの複数のノードを含むことができる。
3. Multi-Member – このトポロジでは、複数の組織による実用レベルのワークロードのテストおよびシミュレーションが可能である。これらのワークロードは、一般的に複数のリージョン、Azureサブスクリプション、Azure Active Directoryテナントにまたがって構成される。

今回の発表時点において、Microsoftでは、次のようなSingle Menberトポロジの提供を予定している。

HyperLedger Fabric – このソリューションでは、複数ノードのHyperLedger Fabricネットワークを展開する。ネットワークは、メンバシップサービスを実行するノード、オーダリングサービスを実行するノード、および複数のFabricピアノードで構成される。

R3 Corda: – このソリューションは、複数のCordaネットワークを展開する。ネットワークマップを実行する単一ノード、公証サービスを実行するノード、複数のメンバノードでネットワークを構成する。

Quorum: – このソリューションでは、マルチノードのQuorumネットワークを展開する。ネットワークは、ひとつのブロックメーカノード、複数の投票者(Voter)および監査人(Observer)で構成される。

Chain: – 複数ノード、複数リージョンのChain Codeネットワークを展開するソリューションである。ネットワークは、単一のブロックジェネレータノード、複数の署名者(Signer)および参加者(Participant)で構成される。

BlockApps: – このソリューションは、マルチノードのBlockApps Stratoネットワークを展開する。ネットワークは単一のマーカノードと複数の承認者(Validator)で構成される。

MicrosoftはAzure Marketplaceを提供しており、無償や従量制(pay as you go)、BYOL(Bring Your Own License)など、さまざまな価格モデルのファーストおよびサードパーティのサービスをデプロイすることができる。ブロックチェーンソリューションもユーザのデプロイメント支援の一環として、このMarketplaceに含まれている。Avanessians氏は次のように説明する。

当社が提供する他の多くのブロックチェーンリリースと同様に、ブロックチェーンネットワークのインフラストラクチャの構築と構成に要する時間を削減することにより、ブロックチェーンパイロット開発に注力できるようにします。