React NativeモバイルアプリのWordPressを目指すShoutem

Shoutemは先頃、新たにReact Nativeベースのアプリケーションビルダをローンチした。開発者を対象とした、モバイルアプリ用のWorsPressのようなものだ。

Shoutemでは、レイアウトやコンテンツソース、サードパーティモジュールの統合など、アプリのさまざまな要素を定義可能なビジュアル環境を使うことで、React Nativeベースのアプリを短期間に開発することができる。アプリのレイアウト設計は、定義済みのテンプレートを選択した上で、各要素のコンテンツを定義することによって行なう。アイコンのグリッドや、あるいはテーブルが作成可能だ。テキストやアイコン、リッチメディアなど、各レイアウト要素に関連付けられたコンテンツは、静的に記述したり、RSS / XMLベースのフォーマットを使用してインポートしたり、あるいはソーシャルネットワークやTwitterやEventbriteなど、サポート対象のWebサービスからフェッチすることができる。ビジュアル開発環境にはさらに、カメラやオーディオストリーミングといったデバイスを実際に必要とする機能以外について、アプリケーションをテストするための“ライブプレビュー”機能が含まれている。Shoutemプラットフォームで作成したプロジェクトのプレビューと共有が可能なShoutem Previewアプリを使用すれば、さらに詳細なテストの実施も可能だ。

Shoutem Mobile App Creatorは、開発者以外の人がコードを１行も書かずに簡単なアプリケーションを作成できるようにすると同時に、開発者がJavaScriptやReact Nativeを駆使してあらゆる方向のカスタマイズが可能となることを目標としている。

同社マーケティングVPのRobert Sekulić氏に、Mobile App Creatorについて詳しく聞いた。

ShoutemはモバイルアプリのWordPressであるという意見を述べられていますが、プラットフォームの特徴を考えれば、これは非常に自然な比較だと思います。モバイルにWordPress的なものが必要だと思うようになった理由は何ですか？

当社は8年間にわたって、市場においてさまざまなバージョンの製品を提供してきました。最初のイテレーション以降、当社のプラットフォームでは、新たなユーザや加入者が着実に増加しています - モバイルアプリにおいてWordPressに需要がある、これが何よりの証拠です。新しいユーザの大部分はプログラミングの知識を持たず、新たなアプリを１行のコードも書かずに作成したいと思っています。

しかしながら、プラットフォームの当初数回のイテレーションでは、カスタマイズ能力に制限がありました。それでも、WYSIWYGエディタを越えたニーズを持つユーザを惹きつけけることができ、プラットフォームへのロックインとしては大成功を収めています。カスタマイズ要求を持ったユーザの数が増えたことで、私たちは、プラットフォームを見直す必要があることに気付きました。これまでのプラットフォームでは主に視覚的なカスタマイズが可能でしたが、最新のアップグレードでは、プッシュ通知やアナリティクスプロバイダの変更、さらにはプラットフォームにまだ存在しない機能の追加なども対象としています。

ShoutemとWordPressの比較では、どこが不足しているのでしょう？

何もありません！私たちはShoutemで、素晴らしい開発者エクスペリエンスを作り出しました。その中には、すべてのクライアントコードをオープンソース公開していることも含まれています。つまり、Shoutemでアプリケーションを開発するだけでなく、そのソースコードをローカルにプルして、自分の望むことを行なうことができるのです。可能性は無限大です。当社のものを使いたくなければ、他のCMSプロバイダに接続することもできるのです。

新たなプラットフォームの最も大きな目標は、オープンソースのエクステンション(WordPressのそれに似ています)をカスタマイズして再利用したり、あるいは新規開発することによって、アプリ開発を効率化する手段を提供することです。面倒な作業は私たちに任せてください。標準機能を再実装することはやめて、自身のアプリのイノベーションに集中してほしいのです。自動アプリ公開やSDKの自動更新、ユーザやアプリの管理といった、単調な仕事は私たちが面倒を見ます。アプリの開発プロセスに行き詰まった時は、プラットフォームに関する詳細かつ広範な資料が用意されています。

Shoutemを使って開発するモバイルアプリのタイプとしては、どのようなものがありますか？完全にネイティブであることのメリットを、現在でも利用しているものはあるのでしょうか？

Shoutemの背景にある思想は、React Nativeの使用に制限されることなく、効率的なアプリ開発を可能にすることです。基本的には、ShoutemはReactネイティブアプリを構築するためのアーキテクチャなのです。ですから今の質問の答は、React Nativeを使用すべき時、ということになります。Shoutemとしては、React Nativeは、あらゆるタイプのモバイルアプリの開発において利用すべき技術だと考えています。最終的な結果がネイティブアプリであれば、アプリ開発のコストを大幅に削減することができます。

React Nativeはネイティブコードに基づいた抽象化概念です。クロスプラットフォームの記述に使用するのと同時に、iOSとAndroidテクノロジの概念の違いが抽象化できない分野では、ネイティブコードの使用も可能です。React Nativeで構築されたアプリは、複雑なアニメーションや並列ロジックを備えていて、非常に応答性が高くスケーラブルです。どうすれば分かるのか、ですか？とにかく見てください！Airbnb、Instagram、Skype、Wix、Tesla ... 既にReact Nativeで開発されたアプリがありますから。

Shoutemの今後のロードマップについて教えてください。

React Nativeアプリの既存ユーザの移行です。一部のユーザを対象として、マイグレーションを既に始めていますが、新しいバージョンには、古いプラットフォームのすべての機能はありません。新プラットフォームに機能を追加したら、ユーザを移行する予定です。2017年末までには、すべてのユーザ移行を完了したいと思っています。このマイグレーションが完了すると、Shoutemは、React Nativeアプリの公開企業としては最大のものになります。