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学び、心理的安全、継続的デリバリの重要性:Agile on the Beach 2017

原文(投稿日:2017/07/19)へのリンク

アジャイルとポストアジャイルソフトウェア開発手法における最新の開発について議論を交わすため、英国Cornwellで開催されたAgile on the Beach 2017カンファレンスに、何百という講演者、参加者がに集まった。要点として、多くの企業が複雑適応システムで働くにつれ、組織の誰もが学びや共進化を奨励されなければならなくなっている;心理的安全を促す環境の醸成は不可欠であり、人々が実験し、失敗し、学ぶためには安全を感じる必要がある;例えばユーザーストーリーマッピングといったマップの利用は、組織で共通の理解を深めるためには欠かせない;チームはビジネスバリューを継続的に届けることに集中するべきである;新しいテクノロジーを効果的に導入し、利用する方法を学ばなければならない、といったことがあった。

オープニングキーノートである”Learning Leaders Learn Always(学ぶリーダーはいつも学んでいる)”は、FutureWorks Consulting LLCの共同創立者であるDiana Larsen氏によるもので、ソフトウェア開発が知識労働であり、知識労働は学習労働であるゆえ、効果的な学習は機敏さや弾力性につながり、それは複雑な環境で働くには不可欠であるという根拠に焦点を合わせていた。W. Edwards Demingの”学習は義務ではない、生存することも義務ではない”を引き合いに出し、Larsen氏はモダンなビジネス環境の大部分が本質的に変動的で、不確実性があり、複雑で、曖昧(VUCA)であり、それゆえ効果を出すためリーダーは勇気、思い遣り、自信を必要とすると説いた。

Learning is not compulsory

勇気は”learning out loud”や、好奇心旺盛になること、時には間違えることによって見られる。リーダーは学ぶための障害を取り除くよう努力するべきである;個々には学びのために時間を作ることは自己中心的なことではなく、新しいスキルに熟練するまでは、うまくできない自分を許すことが必要だ。チームレベルでは心理的安全は不可欠である。Matt Sakaguchiによるの最近のQCon New Yorkでのキーノートを引用し、Larsen氏はAmy EdmondsonによるGoogleチームの有効性の研究について話した。そして、個人間で生じるリスクを負えるよう、チームが安全であるという共通の信条をリーダーは育まなければならないと主張した。

学びは先立つものに基づいてイテレーティブであるべきで、これには信頼が必要となる。Larsen氏は自身のFive Rules of Accelerated Learning(学びを促す5つのルール)について話した:存続させること - これはエネルギーやコラボレーションに関する感覚である;最初に設定すること - 学びを促進する環境を作ること;向上のために懸命に努力すること - 挑戦するシミュレーションを作り、学ぶ人が練習したり学びを強化できるようにすること;明確に始め、明確であり続けること;今のスキルレベルと提示されている課題を良いバランスでフローに到達できるよう集中すること。終わりに、Larsen氏は聴衆に対し、他の人を勇気づけ、効果的に学べるようにするという最終的なゴールに向かって継続的な学びと還元に励むよう勧めた。

その日の最初のセッションは、Jason Bootle氏によるストーリーマッピングのイテレーティブワークショップだった。ワークショップは、Jeff Patton氏とPeter Economy氏によるユーザーストーリーマッピングのテクニック概論から始まった。フリーランスのプロダクト/サービスデザイナーであるBootle氏氏は”共通のドキュメントが共通の理解であるとは限らない”と述べ、ユーザーストーリーマッピングは、作られるべきものの一貫したビジョン、優先度を付けたバックログ、この先のイテレーションのためのロードマップを得るのに役立つコラボレーティブなテクニックであると話した。ユーザー調査やデザイン活動を正確に適用できるよう、苦労や機会も強調されうる。ユーザーストーリーマッピングはまた組織を横断して共通の言語を作るのにも役立つ。

共通のドキュメントが共通の理解であるとは限らない。

チームがユーザーストーリーマッピングを始める前に、Bootle氏はバリュープロポジション、コアビジョンとゴール、ペルソナやフォトペルソナ、検証すべき仮説などをデザインすることを提案した。ワークショップのイテレーティブセクションのため、これらの重要な要素はあらかじめ提供されており、参加者はストーリーマッピングのイテレーションをいくつかこなすために小さなグループを編成した。ワークショップは速いペースで進み、テクニックの基礎を学ぶ機会に富んでいた。セッションは参加者が経験を共有することで締められ、Bootle氏はオフライン調査のための参考資料を提供した。

User story mapping

午後のセッションは、cotelicのディレクター兼コンサルタントであるJohn Clapham氏による”Team Design for Continuous Delivery(継続的デリバリのためのチームデザイン)”で始まった。Clapham氏は、すごいエンジニアリングチームを作る公式は広く知られてきているようだ、と話した;彼らは”機能横断的で、T型人材で、ピザサイズの人数(訳注:7+/-2人)で、マニフェスト対応”であるに違いない。しかしながら、これは多くのチームにとっては現実的でなく、講演の残りは、効果的で継続的なデリバリのためにチームの特性をどう育んでいくかということに重点を置いていた:

  1. 学びと共進化に対する強い情熱
  2. ビジネスの規範の理解、それを実行する自主性
  3. 安全性 - リスクを取り、失敗に成功するため
  4. ハイレベルな相互作用を管理する能力
  5. 成果の自己管理

共進化は、動物が共生関係に基づいて繁茂する自然界に見られ、この特性は、学ぶ能力を示し、組織の至るところでそれを進化させなければならなくなるにつれ、ビジネス価値を届けるためにソフトウェアを利用する企業にとって欠かせないものとなっている。リーンエンタープライズを引き合いに出し、Clapham氏は”リリースのリスクを減らし、サイクルタイムを短くし、小さいバッチで動かせるよう実用的にするため、継続的デリバリを使おう”と提案した。そして有効に作用させるためには、企業が達成しようとしている全体的なビジョンとゴールを、誰もが理解する必要がある。

ビジネスの規範を理解することに加えて、人々は変化を取り込むための自主性を与えられるべきだ。モダンなビジネスは複雑な環境で運営されることがますます多くなり、Clapham氏は参加者に対して”Team of Teams(チーム・オブ・チームズ)”を読むように勧めた。この本はGeneral Stanley McChrystal - Joint Special Operations Command (JSOC)として米国主導のイラクに対する暴動鎮圧作戦で行動した - が世紀のマネジメントの知恵を捨て、機械的な効率の追求から有機的な適応性に転換した記録である。

Team of Teams

Clapham氏はまた、Googleの社員に関する大規模な研究で、チームの心理的安全・&s安を感じずにリスクを取る能力・≠ニ効果には高い相関性があると結論づいたGoogle's Project Aristotleを引き合いに出した。他に重要な要因としてチームメンバーへの信頼、ゴールとロールの構造と明確さ、仕事の意味とインパクトがある。Clapham氏は、sociometric badgesを活用して対話の数、タイプや質を計測した多様な実験についても話した。高いレベルにある社会的対話は、効果的な結果と相関があることを多く示していた - 例えばバンク・オブ・アメリカは、対話を計測し、対話を最大化するために休暇計画を変更してから、年間生産性で15億ドルの上昇を叩き出した。

ケ譫・

Clapham氏の講演の要点は:自分の仕事ぶりについてフィードバックを求めること;好奇心旺盛になり、質問を歓迎すること;(正しい)行いに対して報酬を与えること;役職は無視し、ビジネス価値を届けることに集中すること;小さく考えること。

Ilan Kirschenbaum氏は”7 Dangerous Things You Should Let Your Teams Do(チームにさせるべき7つの危険なこと)”について講演した。これは人気のTEDトークである”子供にさせるべき5つの危険なこと”(関連書籍)に発想を得ている。Kirschenbaum氏の中核的な論点は、わたしたちが今、probe-sense-respond(調査 - 把握 - 対処)をするには最も効果的なこの複雑な世界で経営するようになったということである;わたしたちはチームが実験するように働きかけ、失敗することに対して安全なようにしなければならない。Kirschenbaum氏は仮説生成、実験、ふりかえりを促進する利点について話し、実験の例を示した。指揮統制型の企業の開発者は対面で顧客に会うこと、ライブ(適切な安全性)でコードをインストールする開発者、チームにFOSSプロジェクトを作ることを奨励すること、会社規模のハッカソンを開催すること。セッション最後の20分では対話型ワークショップが開かれた。参加者はグループに分かれ、自分の組織で実施できそうな実験をデザインした。

Cynefin framework

その日最後のキーノートはDan North氏とJames Lewis氏が”How to Break the Rules(ルールを破る方法)”について講演した。Eliyahu Goldrattの独創性に富んだ書籍”ザ・ゴール”を用いて、North氏は”テクノロジーは、制限を減らせた場合のみに利益をもたらすことができる”と主張し、わたしたちがなぜ新しいテクノロジーの採用と活用が下手なのかを説明した。テクノロジーを効果的に採用する一連のルールが示された:

  1. テクノロジーのパワーとは何か?
  2. テクノロジーはどの制限を減らせるか?
  3. どんなルールでこの制限を扱えるようになるか?
  4. どんな新しいルールが必要か?

資材所要量計画(MRP)や企業資源計画(ERP)のようなテクノロジーを語る中、North氏とLewis氏は、古い/既存のプロセスとテクノロジーに対処するルールは、月次計画や大きなまとまりでの購入、活用の最大化、原価勘定など、しばしばポリシーや規範になると示唆した。その結果、この領域で新しいテクノロジーを採用する際、組織は頻繁に計画を練り直し、より小さな時間枠で注文し、スループット会計を利用して価値の流れを総合的に計測するために順応する必要が出てくる。クラウドや継続的デリバリを採用する際に対処するための古いルール、例えばガバナンスとコンプライアンスの中央集権的実施、手動検証の必要性などはしばしば文化構造の一部となり、それにより組織は費用のかからない自発的な実験の実施方法を学び、継続的デリバリのビルドパイプラインにおける全てのステージを自動化しなければならない。

Agile on the Beachカンファレンスの初日は、Gyllynvase Beachでビーチパーティーがあった。参加者はビーチBBQをしながらその日のことを考えたり、経験やストーリー、コーンウォールの労働歌を共有した。カンファレンスの追加情報はAgile on the Beachウェブサイトで見られる。ビデオやプレゼンテーションはAotB YouTubeチャンネルに順次アップロードされる予定である。

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