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Spotify Modelは"アジャイルの涅槃"ではない

原文(投稿日:2017/10/12)へのリンク

Spotifyでは、マネジメントと組織の動きは人を育てることによってチームとアジャイルの実践を支援している。しかし、Spotifyは"アジャイルの涅槃"ではない。継続的に成長し、変化し、新しいチームに分裂するような高い成果を産むチームに達するのは難しい。Spotifyのチームとリーダーシップのコーチを務めるJoakim Sundén氏は、ビジョンを持ち続け、小さなステップを刻みながら向かうことを推奨している。

Sundén氏はSpotifyでのスムーズに進まなかった問題やどのようにその問題を解決しようとしたのかについてLean Agile Scotland 2017で語った。InfoQはこのカンファレンスの模様をインタビューや記事で取り上げている。

InfoQはSundén氏にインタビューし、うまくいかなかったことが製品にどのような影響を与えたのか、Spotifyでエンジニアリングマネージャと技術リーダーが日々行なっていることと彼らのSpotifyの成功への貢献、マネージャが面談で何を話しどのようにエンジニアを支援するのか、どのように改善を行うのかについて話を聞いた。

InfoQ: "Spotify Model"を知らない人のために、これが何なのか簡単に説明していただけますか。

Joakim Sundén:私たちは"Spotify Model"という言葉を作ったわけではありません。単に、私たちが今、実践していることについて話しただけです。"単純化された記述"という意味でモデルと呼ぶことができるかもしれませんが、"従ったり真似たりできる"ものという意味では使えません。モデルという言葉のシソーラス上のふたつの異なる定義を使うことはできないのです。Spotifyの外部向けに話すと、私はこのモデルはスクワッド、チャーター、トライブ、そしてギルドという組織構造の話から2012年に発表したホワイトペーパーと人気のエンジニアリング文化のビデオまで、全てを含むものだと理解しました。"Spotify Model"の表面に"アジャイルの涅槃"という独自のアイディアを投影するまでになっています。もしそうなら、実際にSpotifyで働き始めてみると間違いなく驚くでしょう。

InfoQ: Lean Agile Scotlandでは、Spotifyでうまくいかなかったことについて話していましたね。具体的な例を教えてください。

Sundén: 誤解しないでください。私はSpotifyが作り上げてきた文化と働き方を愛しています。しかし、"アジャイルの涅槃"からははるかに離れています。例えば、しっかりとしたアジャイルの経験がある多くの人が驚くのが、例えば、テスト駆動開発やペアプログラミング、きれいなコードや単純な設計といったエンジニアリングの実践が一般的ではないことです。こうした実践をスクワッドが頻繁に行なっているのを見るのはルールでそうしているのではなく例外的なことです。実際、多くのスクワッドはチームとしてのアジャイルの実践をするような規律を持っていません。計画作りのミーティングをするかもしれませんが、必ずしも計画に対してどのように仕事をしたのか追跡したり、改善のための振り返りをしません。カンバンを作っているチームがWIPの制限を使うことはほとんどありませんし、使ってもほとんどの場合、無視されます。これらの説明が全てのチームに当てはまるわけではありません。しかし、6年以上、多くのチームと一緒に仕事をし、他のコーチと会話をしてきた中で私が見聞きしてきたことから言えることです。

InfoQ: このような状況は製品に影響を与えませんか。

Sundén: よりアジャイルな開発をしてもっと規律を持てば私たちの製品はさらによくなると考えているか。この問いにはイエス、と答えます。改善の余地は常にあり、アジャイルの実践がどのような効果をあげるかを私は直接的に知っています。私たちは継続的に改善をしようとしています。多くのアジャイルコーチを採用しているのはそのためです。また、Spotifyでは長年、急成長をすることが当たり前の状態になっているということを覚えておく必要があります。これは、もちろん多くの点で強みですが、困難も伴います。このような状態では、継続的に成長し、変化し、新しいチームに分割されるようなチームで高い成果をあげるのが難しくなります。一方で、私たちの文化はこの状況によって欠けてしまうものを補うことができると思います。私たちは大きいプロジェクトや大きいリリースをしようとするのではなく、自律的なチームが実験をして戦略的なニーズと目的に対する優れた解決策を見つけてくれることを信じてきます。私が経験してきた他の多くの現場と比べ、マネジメントや組織の動き方はチームとアジャイアルの実践を邪魔するのではなく支援しています。

InfoQ: Spotifyのエンジニアリングマネージャとテックリードは日常業務としてどんなことをしていますか。Spotifyの成功にどのような貢献をしていますか。

Sundén: 彼らの最大で最も重要な貢献は間違いなく人を成長させたことです。成長とは新しい人の採用とすでにいる人の人材育成の両方を含みます。さらに、彼らを混沌とした環境へ投入することも含みます。急成長と高い自律性、信頼の文化、オープンであることと透明性を備える環境では、多くの人は、道案内を必要とし、情報や機会、日々の意思決定を理解するための支援を必要とします。この点で、彼らは大きな、そして重要な役割を果たしています。私はこの動きは継続的文化的オリエンテーションと読んでいます。彼らのほとんどは週次で直属の部下と1on1をして、彼らを支援し彼らの成長を促します。彼らはかなり安定した点となってSpotifyの従業員の支援をしてくれています。

InfoQ: 1on1では何が話されるのでしょうか。エンジニアにとってはどのような支援になっていますか。

Sundén: ほとんどの場合、1on1では、エンジニアのニーズについて話をします。それがどんなものであれ、です。開発プランやそれに対する正しいコーチングについて、というようなフォーマルな話から、今、人生がどのようになっているか、といった形式張らない話もします。また、1on1はフィードバックと承認を行う時間としても使えます。運用のトラブルシュートやエンジニアが話すべき相手を見つける支援をしたりする場合もあります。リーダーが障害を生み出す必要がある場合もあるでしょう。しかし、多くの場合、エンジニアが自分自身を助けることができるように支援し、組織の中で成果を出せるようにするために1on1をします。

InfoQ: 改善を行いたいと思っているコーチや変化を促すエージェントに対してアドバイスをお願いします。

Sundén: 状況によりますね。一般的には、解決策に飛びつく前に問題を理解しようとすることです。今解決するべき正しい問題なのか。手を振って意見を聞いて、本当に何が起こっているのか調べてみてください。全てが完璧だった場合のシナリオがどのように見えるかを人々に尋ねるのが、良い出発点になります。この質問によって彼らを肯定的な枠組みに入れ、優れた成果に集中することを支援できます。あなたの時間に値する価値があるような改善の機会に恵まれたと思ったら、実際に少しずつ時間をおいて実験してみてください。次のステップに進むために学んだことを活用しましょう。ビジョンを持って大胆であることと、ビジョンを実現するために小さな一歩を重ねていくことは良い組み合わせだと思います。

 
 

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