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W3CがDRMを勧告として採択

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原文(投稿日:2017/09/22)へのリンク

メンバによる採決の結果、W3C(World Wide Web Consortium)はEME(Encrypted Media Extensions)を正式な勧告として採用した。

2017年7月6日、W3CディレクタでWorld Wide Webの発明者でもあるTim Berners-Lee氏は、EME仕様のW3C勧告に移行するという自身の決定について書いた。その中で氏は、次のように述べている。

Encrypted Media Extensions仕様は、Webプラットフォームのメリットを活かしたセキュリティやプライバシ、アクセシビリティといった理由により、ユーザにとって、他のプラットフォームより優れた代替手段となります。Webプラットフォームの将来のためには、いくつかの分野において、さらに検討が必要かも知れませんが、EME仕様をW3C勧告にすることがW3Cにとって適切な判断であることに変わりはありません。

EMEはネイティブなHTML5ビデオエレメントを使って、ブラウザでDRMコンテンツを再生できるように設計されている。EMEはまた、議論の的であるContent Decryption Module(CDM)と連携して動作する。このCDMはクローズソースでプロプライエタリなソフトウェアであるため、一部ではオープンなWebに反するものと考えられている。

2014年にMozillaは、“W3C EME仕様はCDMにアクセスするためのJavaScript APIを記述したに過ぎない。CDM自体はプロプライエタリであり、EME仕様としては詳細に規定されていない”、と記した

2013年、W3CによるDRMの採用を受けて、Electronic Frontier Foundation(EFF)は、“グループの今後の活動としてDRMに反対する”という具体的な目標を持って正式メンバとして参加した。Berners-Lee氏が自身の決断を記した後、EFFは、セキュリティ研究者など特定の団体を訴追から守るため、米国デジタルミレニアム著作権法とカナダの著作権近代化法に基づく妥協案が必要である、とする決定を公式に訴えた

表面上この決定は、DRMを正式にW3C仕様にするか、コンテンツの視聴にプラグインを使用するようユーザに求めるかを問うているように思われる。実用的な観点から見れば、ChromeやEdge、Firefox、Safari、Operaといったメインストリームのブラウザは、既にEMEをサポートしている。そのためユーザからは何の変更も見えず、特別なプラグインの必要もなく、Netflixのようなメディアサービスを使い続けることが可能なのだ。

John Gruber氏は、プラグインを使用するよりもネイティブなDRMの方が有望だと考えている。

例えば、NetflixがDRMなしでビデオを配信することはあり得ません。もっと正確に言えば、映画やTVのスタジオがNetflixにそれを許さないでしょう。プロフェッショナルスポーツリーグやオリンピックもそうです。つまり、WebブラウザでNetflixを見られるか、あるいは見られなくなるか、ということなのです。WebブラウザがDRMをネイティブにサポートしなければ、プラグインを使わなくてはなりません。

勧告の公表後、EFFはW3Cを辞任した。 Doctorow氏は、EFFは、“W3Cがこれまでの知的財産権ポリシを拡張して、メンバがEMEに関連してDRM法を使用することを阻止しないのであれば、EME標準から撤退することで合意した”、と記している。この要請は聞き入れられなかった。Twitterでのやりとりによると、“訴追の決定は、会員のみによる過半数の票決によって、その可否が決定され”、会員の58.4パーセントが賛成票を投じたのだ。

EMEに関する議論は、W3CのHTMLメディア拡張ワーキンググループ(Media Extensions Working Group)で行われた。同グループの定款では、HTML Working Group Decision Policyに基づいた意思決定を行なうことを規定している。ポリシでは合意の形成を求めているが、明確な合意点が得られない場合には、グループの議長がメンバの意向を調査する場合がある、とされている。

 
 

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