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オランダ鉄道はいかにしてアジャイルとリーンを導入したか

原文(投稿日:2018/01/11)へのリンク

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アジャイルとリーンの哲学による考え方は極めて近い – リーンはアジャイルを強化するものであって、逆もまた然りだ。アジャイルプラクティスが複雑なプロダクトの開発に最適な一方で、リーンプラクティスはプロセスの無駄を削減する機会を見つけるのに適している。リーンがプロジェクトの開始からデリバリまで、成果を顧客視点で見る上で有効であるのに対して、アジャイルは顧客に対する最適な価値の提供をサポートする。

スクラムマスタでアジャル移行コーチのFina Piazza氏と、継続的改善とリーンITのマネージャであるChristien van Gastel氏が、毎年開催されるAgile Consortium Netherlandsカンファレンスで、オランダ鉄道(NS、Dutch Railways)におけるアジャイルとリーンについて講演した。InfoQではこのイベントをQ&Aや要約,記事を通じてお伝えする。

Piazza氏とvan Gastel氏に、継続的改善をサポートするためのアジャイルとリーンの組み合わせについて聞いた。

InfoQ: アジャイルとリーンの組み合わせについて講演しようと決めたのはなぜですか?

Fina Piazza: カンファレンスのことを聞いて、リーンとアジャイルの話をしないかと、私がChristienに持ちかけたのです。2人ともこの領域で仕事をしていますし、いくつかのチームで行った作業が、お互いに補完的なものだったと思っていましたから。“パラドックス”という言葉のおかげで、カンファレンスの名称もきっかけになりました。

Christien van Gastel: Fina Piazzaが私にアイデアを話してくれたとき、リーンがアジャイルを、アジャイルがリーンを、いかに力強くする存在であるかを話す上で、絶好のチャンスだと思いました。そのような状況を目の当たりにしていたからです。

InfoQ: アジャイルプラクティスが最も相応しいのは、どのような状況でしょう?リーンプラクティスについてはどうですか?

Van Gastel: リーンとアジャイルは、起源は生産業とソフトウェア開発とで異なりますが、哲学としての思想については、実は非常によく似ているのです。よりアジャイルになるためには、リーンはとても適していると思います。その一例が標準化です – 標準なくしては、継続的改善(カイゼン)を始めるのは事実上不可能です。継続的改善では、無駄(ムダ)を排除して製品の質を高め、製品をより早く提供したいと考えています。

私たちはよく、バリューストリームマップを作ります。プロセスのデザインではなく、現実がどうなっているかが分かるからです。ステップ(アクティビティ)はそれぞれ、ポストイットに書かれています。すべてのアクティビティには、それを行なっている人(役割)、実行に必要な時間(作業時間)、次のステップに進むための時間(待ち時間)、このアクティビティの発生頻度、追加される情報があります。

Piazza: アジャイルプラクティスは一般的に、複雑なプロダクトの開発に適しています。そこで重要なのは、市場投入時間、インクリメンタル、検査と適合、多機能チーム、人間主体(people driven)、自己組織型チーム、顧客にとって最適な価値の提供、といった特性です。一方のリーンプラクティスは、プロセスの無駄を省いてより効率的になる機会を探す上で最適です。

InfoQ: アジャイルとリーンは、どのように補完し合うのでしょうか?

Piazza: NSでは、私のコーチするチームでChristienが、プロダクションライブストリームの無駄を削減する作業をしています。これが私に、例えばDoDに対する見方を改める機会を与えてくれています。次のステップとして何が可能か、どのように相互補完できるのか、定期的に話し合うようにしています。

実際に行った例として、Christienと彼女のチームが、私たちのチームのVSM(バリューストリームマップ)作成作業を支援してくれたことがありました。そのおかげで、短期間で運用に移行するためのプロセス上の要素を見つけることができたのです。それを達成するには、ハンドオーバを排除して、品質をさらに向上する必要がありました。その第一歩として、求められるレベルの品質を実現するため、PBI(Production Backlog Items)にいくつかの詳細を追加しました。このような手順を私たちのDNAに取り込むことができれば、“テンプレート”で表現された詳細はもはや必要なくなるものと期待しています。

Van Gastel: リーンは、開始からデリバリまで、私たちの成果を顧客の視点で確認するために役立ちます。プロセスに他のチームが必要な場合、デリバリが可能でしょうか?ミーティングでリーン/アジャイルのアプローチを使うことで、継続的な改善が可能になるのです。さらにInfo+部門では、測定による効果も導入しました。ダッシュボードを用意して、例えば、スプリント単位のコミットと実践の対比をチーム毎に、準備の完了したストーリの比率、回帰テストのカバレッジ率などで表示しています。これによってチームが、成果物を完全に管理するようになりました。

InfoQ: チームの改善を通じて、どのような経験をしましたか?

Van Gastel: 私たちは一時的な改善チームとしてではなく、無駄の削減やプロジェクトの改善を目的として、同僚とともに明確な問題や疑問に取り組んでいます。Finaのチームでは、最初はチームの改善のために協力していましたが、現在ではビジネスの改善を作業の対象としています。VSMに関して多くの改善点が特定できたので、次はその上位3つに取り組んでいるところです。自動テストがその一例です。私たちのチームは、組織の改善に絶えず関心を持っているのです。

Piazza: 当社のチームはすべて、他のチーム(リーンチーム、CI/CDチームなど)と協力して、継続的な改善を行なっています。ですから、改善チームという名称にはしていません。オーナーシップを共有し、仕事を楽しんで、成功を祝福し、失敗から学びます。最近ではベストプラクティスを共有し、互いから学び合う場として、組織内でギルドを立ち上げました。隔週でミーティングを行って、事例や同僚と共有する話題、潜在的な改善要素について話し合っています。

InfoQ: 継続的改善の実現を望む組織に対して、どのようなアドバイスをしますか?

Piazza: とにかく始めることです!やりましょう!スクラムを使うと決めたのなら、スクラムでするべきことはすべて、例外なく実践しましょう – リーン、検査と適応 ... 必ずです。

Van Gastel: リーンの朝礼(daily start)とレビューを必ず実施してください。参加者全員が躊躇なく話せることが大切です。まず注意すべきなのは、誰でも発言できて、他の人たちが熱心に耳を傾けるような、安全な環境です。リーダの活動、例えば管理が極めて重要です。まず自分が話を始めて、他の人の発言には助け船をだすようにしてください。

ボトムアップとトップダウンを併用しましょう。作業の管理には朝礼とレビューが重要です。同席者は自分たちに関連することを探し、自分たちの仕事環境においれ効率をよりよくする方法を示さなくてはなりません。

経営陣は人々が生き生きとなれるように変化し、彼らの仕事を可能な限り支援する必要があります。他の人たちの手本となって、「誰が」ではなく「何を」と問うようにしてください!

 
 

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