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Martijn Verburg氏に聞く - AdoptOpenJDKとNestmates

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原文(投稿日:2018/06/04)へのリンク

読者の皆様へ: 皆様のご要望にお応えするべく、ノイズを削減する機能セットを開発しました。皆様が関心をお持ちのトピックを、EメールとWeb通知で受け取ることができます。新機能をぜひお試しください。

InfoQでも以前に報告したとおり、AdoptOpenJDKプロジェクトは先日、同プロジェクトのビルドファームが完全な運用状態となり、フリーソフトウェアとしてコミュニティ版OpenJDKバイナリを開発中であると発表した。InfoQでは先頃、London Java CommunityのリーダでAdoptOpenJDKの共同創設者でもある、jClarityのCEOのMartijn Verburg氏と話す機会を得て、AdoptOpenJDKビルドファーム全体と初期機能ビルドの目的、NestmatesとJava 11に対する氏の意見、AdoptOpenJDKの2018年の計画と開発者がそれに参加する方法などについて議論した。

InfoQ: あなた自身とAdoptOpenJDKにおけるあなたの役割、AdoptOpenJDKの全体的なミッションについて、簡単に説明して頂けますか?

Martijn Verburg: 私はMartijn Verburg(別名“The Diabolical Developer(極悪非道の開発者)”)です。現在はjClarityのCEOで、AdoptOpenJDKを含むさまざまなJavaエコシステムイニシアティブのリーダを務めています。AdoptOpenJDKでは開発メンバのひとりとして、AdoptOpenJDKビルドファームの戦略的ビジョンの策定と、300人近いボランティアをビルドファームの共通の目標に導く役割をしています。また、私よりもはるかに優秀なエンジニア達の指導を受けながら、ビルドスクリプトやドキュメントの作成に関わる技術的な作業も行なっています。
 
AdoptOpenJDKは元々、OpenJDK(Java自体のOSSプロジェクト)の支援および指導を行なうプログラムとしてスタートして、現在もその役割を担っています。しかし最近は、OpenJDKのための長期的に安定したビルドプラットフォームを提供する活動に注力しています(専門的にテストされたJavaバイナリの提供も合わせて行っています)。

InfoQ: AdoptOpenJDKには完全に機能しているビルドファームがあって、コミュニティ版OpenJDKバイナリをフリーソフトウェアとして作成していますが、ビルドファーム全体の目的は何ですか?

Verburg:  全体としての目的は、数百万のJava開発者によるエコシステムに対して、少なくとも4年のLTS(Long Term Service)の無償提供を含む、プロフェッショナルがテストしたJavaバイナリへの継続的なアクセスを提供することにあります。これによってJava開発者は、ライセンスや長期的なサポートを気にすることなく、Javaの開発を続けることができるようになります。有償サポートによる快適さを希望する企業については、OracleやIBM、Azul、Red Hatといったベンダのサービスを利用することも可能です。
 
もうひとつの大きな目標は、JavaがメインストリームであるLinux x86やMac OS X、Windows以外のプラットフォームにおいても、WORA(Write Once Run Anywhere)という約束を果たし続けてほしい、ということです。そのために、zOSやAIX、Linux z390、ARM 32および54などのプラットフォームをサポートするビルドスクリプトを提供し、ノードを構築しています。

最後に、ValhallaやAmberといった試験的プロジェクトのEA(Early Access)ビルドを構築することで、OpenJDK自体の開発をサポートしたいと思っています。

詳細はAdoptOpenJDKのAboutページで説明しています。

InfoQ: “OpenJDK amber with Hotspot”ビルドや、そこで実装されている生文字列リテラル(raw string literals)などの機能について説明して頂けますか?Switch ExpressionやLambda Leftoverなど、Project Amberの新機能やビルドも、近いうちに提供されるようになるのでしょうか?

Verburg:  Project Amberのraw-string-literalsブランチは、JEP 326の初期実装です。開発者が早期に試してOpenJDKチームにフィードバックを提供できるように、現在は主要な3プラットフォーム向けのビルドを用意しています。
 
いま挙げられた他の機能のブランチについても、間もなく追加される予定です!

InfoQ: 現在提案されている、関連する“nestmate”クラスからプライベートクラスへのアクセスを許可するJava Virtual Machine Specificationの変更については、どのような考えをお持ちですか?

Verburg:  セキュリティと混乱の軽減という意味で、小規模ながら優れた機能拡張だと思います。現在のJVMでは、同じファイル内に記述されたクラスがアクセスコントロールを共有するために、ブリッジを作成する必要があります。JEPの言葉を借りれば、“このようなブリッジはカプセル化を棄損し、配信されるアプリケーションのサイズをわずかに増大する上に、ユーザやツールを混乱させる可能性”があります。Value Typesのような大きな機能を実現するには、このような小さなJEPを数多く用意しなくてはなりません。
 
このような修正によってセキュリティが強化されることで、OpenJDKチームがもっと大きく、もっと困難な問題に取り組むためのデータポイントや知識を得られるというのは、常に望ましいことだと思います。

InfoQ: Java 11についてはどう思われますか?開発者に何をもたらすのでしょう?

Verburg:  すべてではありませんが、重要な変更のいくつかを挙げるならば、

  • Aarch64(ARM64)のパフォーマンス向上 — 急成長中のプラットフォームにとって素晴らしい!
  • ZGC Garbage Collectorの初期リリース — Azulの有償Zing JVMに実装されているものと同様に、大規模なヒープにおける動作遅延を低減する。
  • Java EEとCORBAモジュールの削除 — ビルドツールでサードパーティ製の相当ライブラリに置き換える必要がある。
  • 長く延期されていた、新しいHTTP2クライアント!サードパーティ製のWebSocketやHTTPライブラリもこれに加えられる。
  • Flight Recorderがソース公開され、制限なく開発に利用できるようになった。JVMのパフォーマンス監視には大きなメリットがある!

Java 11リリースでは、これ以外にもいくつかの変更が予定されています。

InfoQ: 2018年は、AdoptOpenJDKプロジェクトとしてどのような計画がありますか?

Verburg:  プロフェッショナルなテストを実施する他、すべての主要プラットフォームと多数のマイナープラットフォームを対象として、TCKを実施したJava 8と11のバイナリを、4年間のTLSポリシとともに提供する予定です。

InfoQ: 今日は私たちのために時間を頂いて、ありがとうございました。他に何か,InfoQ読者に伝えておきたいことがありますか?AdoptOpenJDKプロジェクトに参加するには、どのような方法が一番よいのでしょう?

Verburg:  ビルドファームは、Javaの長期的な実行可能性を考える上で、重要な基礎だと思っています。最新のビルドやテスト、デプロイメント環境のスキルを習得する上でも素晴らしい場所です。あなたのキャリアにとってきっとプラスになります!最もよい参加方法はSlack Channelを通じることです — 300名近いボランティアがサインアップしていて、低レベルのシェルスクリプトからWebサイト設計、ドキュメント作成、マーケティング、支援運動にいたるまで、ありとあらゆるアクティビティがあります。

NestmatesとAdoptOpenJDKに関しては、InfoQの以下の記事でも紹介されている。

  1.  JavaのNestmateが進行中
  2.  コミュニティのOpenJDKビルドファームが稼働

InfoQ Javaホームページにアクセスして,Java関連の最新ニュースを確認することも可能だ。
 

 
 

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