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可観測性のメリットと課題と議論するo11ycon

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原文(投稿日:2018/08/09)へのリンク

新たに開催されるo11yconカンファレンスは、ソフトウェアおよびシステムが期待通りに機能しているかどうかを理解し、問題の診断と解決策の特定を可能にする、可観測性という新たなコンセプトに対する包括的視野を提供する。

リアルタイムのシステムデバッグ機能と可観測性のプロバイダであるHoneycombをCEOとして率いるCharity Majors氏は、開会挨拶の中で、可観測性にはさまざまな定義があるが、今回のイベントがその意味を明確化し、可観測性に関わるベストプラクティスに益するものになることを期待している、と述べた。

Majors氏は現代システムの開発における課題として、運用環境でのテストと複雑な運用システムの状態把握を挙げた。これらを含む課題の解決として可観測性の向上が望ましい、と氏は主張する。

電子メール、カレンダ、連絡先を統合する同期APIプロバイダのNylasで CTOの職に就くChristine Spang氏が基調講演を行い、可観測性の向上に対するニーズについて語った。あらゆるものがソフトウェアを使用するこの世界において、ソフトウェアアーキテクチャはLAMPスタックと単一サーバとデータベースの時代から、SOA、マイクロサービス、分散システムへと劇的な進化を遂げている、とSpang氏は説明した。

監視の動向として、何が起きているのかを判断することがますます難しくなっている点を指摘した上で、Spang氏は、可観測性の課題とメリットを明確にするために、次のような説明をしている。

ソフトウェアはもともと不明瞭なものであって、何が起きているかの手掛かりとなるデータを生成する必要があります。可観測性を備えたシステムは、正常に動作しているかという質問に対して回答するとともに、答がNoであった場合には問題点を特定し、範囲と影響を判断することが可能です。可観測なシステムでは、それらを行うためのデータが用意されていることに加えて、迅速かつユーザフレンドリな方法でそのデータにアクセスし、検索と理解を行なうことが可能です。

o11yconでは、参加者がその日の終わりにさまざまな話題を議論し、新たな知見の要約を報告する場として、いくつかのブレークアウトセッションを用意している。可観測性とトレースのトラックでは、可観測性とトレースと監視の間にある重複と差異について考察が行なわれた。そのグループでは、さまざまなシステムと言語に対してオープンかつ一貫性のある方法を選択することの必要性がしばしば論議された。Open TracingOpen Censusの両プロジェクトは、この分野に対する支援を試みる2つの取り組みだ。

Epsagon CEOのNizan Shapira氏は次のように説明する。

現代的な分散システムでは、標準的なメトリクスの計測だけでは十分ではなく、システム全体を重視する必要がある、ということを学びました。さらにサーバレス環境では、メッセージキューなど多くの要素が管理されるため、事ははるかに複雑になります。このように多数の管理対象要素があることは、アプリケーションのパフォーマンスに大きく影響する可能性がある上に、基盤となるインフラストラクチャへのアクセスがまったくできないため、監視は極めて難しくなります。可観測性の進歩が、この問題の解決に寄与することを願っています。

カリフォルニア大学サンタクルーズ校のコンピュータ科学の助教授であるPeter Alvaro氏は、専門家の衰退と可観測性の将来について語った。氏が重視しているのは、個人や少数の人々の心理的障害となることの多いアイデアやプロセスを取り上げ、チーム全員がそれにアプローチ可能とすることで、すべてを専門家の収集した洞察ではない、誰でも観察できるものにすることだ。

HepitoのCTOで、以前はKubernetesの共同創設者であったJoe Beda氏は、アップデートとリリースの頻度について、これまでは四半期や年次といったリリースサイクルが受け入れられてきたが、現在の企業にはアップデートやリリースをロールアウトする速度に選択の余地はなく、より速いリリースを可能にするためには可観測性が重要な要素であると説明した。

可観測性に関する詳細な情報として、o11yconセッションのビデオが近く公開される予定である。

 
 

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