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Spark the Change Paris 2018: 才能を解き放つ

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原文(投稿日:2018/08/09)へのリンク

好奇心を最優先にする、いつどのように仕事が生じるべきかを問う、テクノロジによる断片化を肯定してタスクベースの社会を実現する、採用において真の人間関係の可能性を最大化する、質問によって変化を促す、労働力として難民を取り込む方法を模索する – これらはいずれも、人々の才能を解き放つための提案と結論の一部である。

Spark the Change Paris 2018は6月26日、パリで開催された。InfoQではこのイベントについて、記事やサマリ、Q&Aでお伝えしている。今回の記事は、才能の解放に関連する講演を要約したものだ。

Laurinci SpeakersのCEOであるNadia Laurinci氏は、革新的な人材を求める企業について講演した。

あらゆる変化の中心にあるのは人だ、と言うLaurinci氏は、HBRの記事“The 5 Skills That Innovative Leaders Have in Common”を参照しながら、変化を起こし、イノベーションを促進する上で有用なスキルについて論じた。特に重要なスキルがひとつある。それは好奇心だ。

好奇心とは、もっと知りたいという願望だ。世界を知る、物事の仕組みを知る、何が可能かを知る、自分自身について知る、それこそが時の始まりからの進歩のエンジンなのだ、と氏は主張する。

好奇心を最優先にしなければならない、と氏は言う。好奇心の時間を作り、好奇心の脳を活性化するのだ。氏によれば、Googleは好奇心を採用プロセスの重要な部分としており、応募者に対して粘り強さと好奇心を求めている。

好奇心は誰にでも可能であり、誰の心にもあるものだ、とLaurinci氏は言う。好奇心のひらめきに従うべきだ。

Slackで南部EMEAの大企業向け販売担当マネージャを務めるOliver Picard氏は、なぜ変化は避けられないのか、人々はどのように協力できるのか、について講演した。

人々は正しい情報を見つけるのに多くの時間を費やしている、とPicard氏は言う。Slackはアプリと情報をまとめることで、情報を素早く、簡単に見つけられるようにする。

“新世代(now generation)”はチームとして働くことを望んでおり、従来の方法論はまったく役に立たない、とPicard氏は主張する。仕事はいつ、どのようにして起こるべきか、という根本的な問いが必要なのだ。

U changeの研究責任者であるKary Bheemaiah氏は、テクノロジが促す断片化について説明した上で、それが将来の仕事に与える影響について論じた。

テクノロジは最初、特定の目的や問題のために特化したものとして始まる、と氏は言う。次には、当初は対象としていなかった問題に対処するための多様化が始まる。多様な状況やさまざまな問題に対して使用されることで、テクノロジはより普遍的なものになり、汎用的に利用できるようになる。それが過ぎると社会化(socialization)の段階に入り、コミュニケーションや情報伝達で使用されるようになる。最後の段階は複雑化(complexity)だ。

InfoQでは以前、テクノロジによる作業の断片化が今後の仕事のあり方にどう影響するかについて、Bheemaiah氏にインタビューしている。

テクノロジによる断片化の効果は、個人が活躍できるような、分断化されたビジネスモデルの創出にあります。19世紀の集産主義的倫理観(Collectivist Ethic)は、テクノロジによる断片化を通じて生み出された、個人ないし少数のグループが価値を創造するためのツールを用いることで、徹底した個人主義へと置き換えられます。

同時にそれは、“仕事(Job)”のために何をすべきかという、私たちの総合的理解を改めなければならない、ということでもあります。断片化がさらに進めば、仕事を基本とする社会から転じて、タスクを基本とする社会が誕生する、と私は信じています。

人工知能によって予測のコストは低下している。予測が安価になれば、予測の持つ価値はより身近なものになるはずだ、とBheemaiah氏は主張する。

Indeedのエンタープライズおよび代理店セールス担当ディレクタであるCharles Chantala氏は、雇用の人間的側面について講演した。

より人間的な求職者エクスペリエンスのために、氏は4つのアイデアを提案する。

1: 企業内に真のコミュニティが構築されているか

2: 最も重要な顧客として求職者に接しているか

3: リクルータは才能の擁護者となっているか

4: 人材募集プロセスにおいて、真の人間関係の持つ可能性を最大化しているか

我々の目は情報を収集すると同時に、人々とのつながりをも求めている、とChantala氏は言う。アイコンタクトは強力な科学反応を引き起こす。最強の職場には豊かな人間のつながりがある。職場に留まる最大の動機となるのは同僚との結び付きだ、と氏は主張する。

Chantala氏は、自身が仕事で係わる人たちを管理する方法について、次のように述べている。“ルールとガイドラインを課すことが私の仕事ではありません。目標を設定し、それを達成する方法は個々に任せています。”

我々は、真の人間関係の可能性を最大化し、個性をより重視し、採用者の決定においては人的適正を試すことのできるような人材募集プロセスを設計しなければならない、とChantala氏は提言し、それを実践する方法の例として、応募者を社内のハッカソンやShip It Dayに招待する、イベントやミーティングへの参加を持ちかける、オフィスの人々を紹介して反応を見る、などを挙げている。

リクルータは才能の擁護者であるべきだ、とChantala氏は主張する。詳細な情報や評価基準、求められているものは何か、求められていないものは何かなど、仕事に関するすべてを面接の前に応募者に説明して、応募者が十分に準備できるようにしなければならない。

École des Ponts Business Schoolのイノベーション&マネジメント学部長であるAlon Rozen教授は、“What? is the Meaning of Life”と題して講演を行った。

氏の講演は、質問(Question)に対する論議から始まった。質問は嗜好のプロセスと学習のプロセスにおいて有効である。歴史の中で我々が進めたすべての進歩の背後には質問がある、と氏は主張する。しかし、ほとんどの大人が持っているのは、質問のマインドセットではなく、答(Answer)のマインドセットだ。“どのようにして大人は、質問する能力を失っていくのでしょうか?” 、氏は聴衆に尋ねた。

質問には多くの種類がある。“本当にこれを着るのですか?”といった、何かを強調する修辞的質問のような、偽の質問もある。このような質問は、回答を意図したものではない。

次にRozen氏は、質問を短くする方法を論じた。まず最初は、“どう思いますか(what do you think)?”、より短いバージョンならば“どう思う(what if)?”、さらに短いものは“どう(what)?”だ。表題である“人生の意味とは何か(What is the meaning of life?)”という質問に戻って、氏は、それは“What?”、つまり“What do you thing?”という問いに対する答を探すことなのだ、と論じた。

我々は未来の指導者に対して、変革を促すような質問をするべきだ、と氏は言う。“変化を起こすために、どのような質問から始めますか?”と問いかけて、氏は講演を終えた。

世界中の起業家プロジェクトを通じて人々を力づける慈善事業のPositive Planetで、エグゼプティブディレクタを務めるMarianne Syed氏が、Spark the Change Parisの最後の講演を行い、難民の労働力への統合について話した。

ドイツは大量の移民と難民を受け入れている、と氏は言う。この10年間で初めてドイツの経済成長が上向きになったのは難民のおかげだ、と氏は主張する。

難民は他の難民を訓練し、支援することができる、とSyed氏は言う。難民虐待に対する強力な解決策として、ストーリテリングを活用して難民の自立を促進するため、氏はThe Odysseyプロジェクトを立ち上げた。同プロジェクトでは、難民が我々の社会にもたらす貢献についての話を公開している。

聴衆に対して、自らの会社をより開放的なものにするために何ができるか、と問いかけて、Syed氏は自身の講演を締め括った。

Spark the Change Parisに関しては以前の記事で、“混乱を引き起こす”と“明日の企業を構築する”という、2つの話題を取り上げている。

 
 

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